海岸の町   作:アイバユウ

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第38話

 

銃口を碇ユイに合わせると

 

「死んでください。これが彼のメッセージです」

 

「カオリちゃん!」

 

『バンっ』

 

 

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発砲をしたが的はおおはずれ、まったく別の壁に当たった

はじめから彼女を殺すつもりなんてなかった。ただ、本心を聞きたかっただけだ

その結果がこれだ。ルミナさんが聞いたら何というか

 

「今のちょっとした冗談です。でも伝言は本物です」

 

「シンジが本当にそう言ったの?」

 

碇ユイは信じられないといった表情を浮かべていた

碇ゲンドウも同じく

 

「そうです。私達は彼の代弁者です。嘘はつきません」

 

そう、私の心からの本心

あの悲劇の出来事を生み出した元凶

そんな人間を誰が喜んで歓迎するだろう

むしろ殺したと思うのは当然のことだろう

あの赤い世界では

覚えているのは惣流・アスカ・ラングレーぐらいだろう

彼女も断片しか分かっていないだろう

本当の真実を知っているのはここにいるメンバーだけだろう

 

「どうしてあんな計画を推し進めたのですか。碇ゲンドウさん」

 

「すべてはユイに会うためだった」

 

「それは息子、碇シンジを犠牲にしてもですか」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

「沈黙は肯定とみなしますよ」

 

「そうだ」

 

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「碇シンジは一時神にも等しい立場になったがそれを放棄した」

 

「その結果生まれたのは赤い海と白い砂浜の世界」

 

「あなた方にとっては理想の世界だったんでしょうけど、彼にとっては地獄のような世界だった」

 

「ずいぶんと饒舌なのね」

 

「先ほども述べましたが、私達は碇シンジの代弁者。質問があれば受け付けますよ」

 

私はぶっきらぼうにそう言った。

本心を答えてやる必要はない。

ただ、質問に答えてやれば良いだけだ

 

「シンジは今はどこにいるの?」

 

「碇シンジは死にました。だから私達が代弁者として来ているのです」

 

「どういう死に方をしたの?」

 

「あなた達には想像もつかないでしょうけど、自殺ですよ。私達はその場を偶然立会い、それを手伝っただけです」

 

その言葉に碇ユイは切れたかのように言葉を発した

 

「どうしてとめてくれなかったんです!とめてくれればもしかしたら」

 

「彼の決意が固かったからです。だから手伝った。それだけの話です」

 

他に質問はありませんかといった。

すると今度は碇ゲンドウが質問をしてきた

 

「シンジの墓はどこにあるのか?」

 

「彼の墓はありません。自殺後、火葬にして骨は大海原に撒きましたので」

 

私の中での碇シンジはもう死んだも同然だ。

嘘と真実を交えながら真実っぽく言えば、それが真実になる

たとえそれが完璧な嘘であってもだ

 

「質問は以上ですか?」

 

「1ついいかしら」

 

碇ユイが聞いてきた。

質問の内容は容易に想像が付いた

 

「あなたは何者なのかしら」

 

 

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