海岸の町   作:アイバユウ

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第43話

 

大浴場で体を洗い終えると、ゆっくりとこの旅館自慢の露天風呂に入った

ここからでも夕焼けを見ることができるが、夜は満天の星空が満喫できる

今日1日のハチャメチャな出来事を忘れさせてくれるときでもあった。

そんな時、お母さんが露天風呂に入ってきた

 

「あら、カオリ、今お風呂に入ってたの?」

 

「今日は疲れたから早めにお風呂に入って早く休もうと思って」

 

「そう、そういえば、新聞でネルフ本部のことが書かれていたわ」

 

その言葉に興味を引かれた

どんなないようだったのと尋ねるといつもどおりの批評よと答えた

ネルフに良いことがかかれたことは、世界が『元』に戻ったときだけだ。

それ以降はずっと批判される記事ばかりが目立っている

良い記事は私でさえ見たことがない。

 

「大丈夫よ。あなた達のことは書かれてなかったからルミナさんがうまくやってくれたんだと思うわ」

 

「そうだと良いけど。もし巻き込んだりしたら、そのときは」

 

「あなたは私達の大事な娘よ。必ず守るから心配しないで」

 

お母さんはそう言って私を抱きしめてくれた。その後、適当に世間話を済ませると露天風呂から出た

そしてお風呂から出ると、私は浴衣を着て自分の部屋に戻っていった。

部屋に戻ると何故だか、いつもの落ち着きがないように感じた

それはきっと枕の下に置かれているベレッタM92のせいだろう

ただ、じきになれるだろうとも感じた。そう思える自分が少し嫌になったが

仕方がないことだ。これが私の運命の歯車の1つに過ぎないのだから

これからどうなるかは私にも見当はつかない。すべてはネルフ次第だ。

 

「人の願いはいつもかなわず、か」

 

確かにそのとおりだ。私の願いもかなったことはない。

私の願いはただ1つだけだ。この海岸の町で平穏に過ごせること。

それだけだが、きっとその願いはまだしばらく叶うことはないだろう。

 

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翌日の朝、空は晴天。

天気は良好だった。私は布団をたたむと普段の生活に戻った感じがした

布団をベランダの手すりに布団をかけると、浴衣から普段着のワンピースに着替えた

着替え終わると鏡で髪の毛などの状態を確認したが、私は基本的にストレートなので特に気にしたことはない

一応確認するだけだ。確認を終えると靴を履いて食堂に向かった。

その途中、別館と本館の連絡通路では私を待っているかのように猫たちが寝そべっていた

 

「私の食事よりもネコさん達の方が良いみたいだね」

 

私は連絡通路から本館の裏道を通って事務所に入っていった。

事務所の戸棚にあるネコ缶を用意すると、近くにあった皿にそれを盛った

そしてネコたちの元へと下ろした。ネコ達はそれに群がって食べ始めた

さらに複数の皿にネコ缶の中身を盛るとそれを地面に置くと今まで隠れていたネコ達も現れて大賑わいとなった

そこにお母さんが私の朝食を持って現れた

 

「やっぱりここに居たのね」

 

「ごめんなさい。ネコさんたちが待っていたから」

 

「ネコさんのことを大事に思うあなたの気持ちは分かるけど、自分のことも大事にしないといけないわよ」

 

確かにそのとおりだ。その時、お母さんが私に携帯電話を渡してきた

 

「これ、私からのあなたへのプレゼントよ。持っておいて損はないと思うわ」

 

確かにこれがあれば、何かあったときすぐに連絡が取れるだろう

お母さんは心配しているからこそ、私に携帯電話を手渡したのだろう

 

「ありがとう、お母さん」

 

私は素直に受け取ることにした。

ここで断ったらせっかくのお母さんの善意が無駄になってしまうと感じたからだ

 

「電話帳にはこの旅館とルミナさんの家と相葉ユウさんの家の番号が登録してあるから」

 

「本当にありがとう。心配してくれて。でも大丈夫だよ。私はお母さんの娘なんだから」

 

そう、この事実だけは決して変わってはいけない。私は水川カオリであり碇シンジではない。

この事実だけは不変でありつづける

 

 

 

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