第65話・第66話
射撃訓練を終えると私は借りていた銃をユウさんに返した
自分のソードカトラスは自室に保管されている。大切に
あれが私の命をつなぐ重要な手がかりなのだ
私はその後、ティアさんの車で旅館まで送ってもらった。
その車中でティアさんは尋ねてきた
「これからこうどするつもり?」
「ネルフへの恨みは晴らしました。後はゆっくりとこの町で過ごすだけです」
「この海岸の町で?」
「はい。私が一番気に入っているこの海岸の町で過ごすのが一番楽しいんです」
「そう。でも刑事の経歴は残しておくわね。何かの役に立つときがくるときがあると思うから」
刑事の経歴、それは私の偽りの経歴だが
ティアさんの言うとおり、私の刑事としての経歴は役に立つときが来るだろう
それはまた事実だ
「感謝します」
「偽の経歴をでっち上げたかいがあったわ。あなたと相葉ユウさんは休職中の刑事ということになっているから」
旅館前に着くと、私は助手席から降りた
そして、また明日と言った
「また、明日」
私は旅館の正面玄関から家に帰っていった
旅館に入ると受付にはお母さんが待っていた。
「お帰り、カオリ」
「ただいま、お母さん」
「何か変わった匂いがするわね」
どうやら私の体に付着している硝煙の匂いを感じ取ったのだろう
「ストレス発散をしてきたの」
「銃を撃ってきたのね。悪い事はしたらだめよ」
お母さんは心配しているのだ。私がまた大胆な行動をするのではないかと
「大丈夫だよ。今日のは本当にただのストレス発散だから大丈夫だよ」
「ストレス発散なら良いのよ。無理な事はしないでほしいの」
私には大丈夫としか言うしかない
答えはまだ定まっていない。これからどうなるかも
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私は自分の部屋に戻ると、ソードカトラスを取り出した
そして1度分解して綺麗に整備をすると再び組み立てなおして弾を装填した
「これで完成ね」
そして私は再び銃を金庫に隠した。布を巻いて
これで今日のやる事はすべてやった。あとは食堂でご飯を食べて寝るだけだ。
旅行の話は明日のお母さんとお父さんの時間があるときにでもすればいいことだろう
今日は少し忙しそうだったしと私はそう判断した。結局、ネルフが忙しいという話題については聞くことができなかった
何か触ってはいけない話題に感じられたからだ。
「とにかく、明日、ティアさんに話をもう1度聞きにいこう」
私はそう独り言を言うと食堂に向かった。時間はもう夕方の午後5時になっていた
そろそろ夕食の時間だ。食堂で食べようと思い、私は自分の部屋を出ていった
その途中で何人かの高校生と見られる生徒とすれ違った。
その全員が私に視線を向けてきたがその一切を無視してきた。
「やっぱり珍しいのかな。私の髪は」
私の髪は銀髪だ。そして赤い目。誰からみてもアルビノは珍しいのだろう
だからこそ私に視線を向けてくるのだろう。そんなことを思いながら食堂に到着する。
そしていつものカウンター席に座ると私用のメニューが出てきた
「今日は少し肉を多めにしておいたからな」
料理長の言葉に私はいつものようにありがとうございますといった
料理長である彼は私の食事体質を少しずつ改善していこうとしているのだ。
それはそれでうれしいことだ。だから決して嫌がることを見せる事はしない。
「いただきます」
そう言うと夕食をとり始めた。しばらくすると林間学校で来ている高校生たちが現れてきた。
私は彼らが来る前に食事を取り終えると、食器を料理長に返すと、早々に自分の部屋に戻っていった。
お風呂は自分の部屋にもあるので、そこで済ませることができる。私は今は1人になりたいと思っていた。
服を脱いでお風呂に入ると体を洗い、湯船に入ると1日の疲れが癒される感触を得た
「今日は気持ち良いわね。このお風呂も」
普段は大浴場のほうを使っているから余計にそう感じるのだろう
これからのことは決してわからない
未来の出来事など誰も想像する事はできないのだから
『神様』となった私ですら
人は欺瞞の中で生きている。私も同じだ。欺瞞の中で生きている。
でもその中で生きているからこそ、価値があるものも存在する
それが『未来』というものだ。
未来は相手から来る物ではない。自分で作り出す物だ
それを理解したとき、私は少し成長できたのかもしれないと感じた
人はいつかは生まれ変わる物なのかもしれない
それがいつになるかは本人達にもわからないが
きっといつか、理解しあえるときが来るのかもしれない
私と『本当の家族』との関係は出会う以前からこうなる運命だったのだろう
すれ違っていたわけでもない、分かり合えなかったわけでもない
私達は誰よりもお互いを理解し、相手のことだけを見つめていた