海岸の町   作:アイバユウ

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第7話

 

後ろのバカは、下手ね

買い物にずっとついてくる尾行が下手な男の子。こっちは銃をカバンに入れて持ち歩いているし、身の安全は問題ない

物の影に入って適当に撒くのもいいが、それで疑われるものもいやだ。

 

「無視しておこうかな」

 

別に危害が加えられる事はないが、何かあればすぐに私が誰かがすぐにばれるであろう。

彼は私にとってもっとも警戒するべき人間の一人である事に変わりはない。

使徒の力は失われたはずだ。あの旅館で再会したときもダブリスの魂は感じられなかった。

ただ、ダブリスは心に敏感であった。能力の一片が残っている可能性もあった。

 

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「ええ、彼女の尾行は彼がやってるわ」

 

「一応保安部員をつけてるから問題はないけれど彼女の経歴については間違いないのね」

 

カオリ達が乗ってきた車の遠くも近くもなく離れた場所に別の車が止まっており、車の中では女性が電話をしていた

 

「でも、おかしいわよ。今まで戻ってきた人物を調査してきたのに漏れがあったなんて」

 

『何万人と検査しているのよ』

 

漏れがあって当然よと電話の向こうの女性は返してきた。

ネルフは帰還者の中に使徒の力を保有しているものがいないかを検査してきた。

それは再び使徒が現れてはならないからという名目だが

実際は自ら、ネルフの力を壊されないためと今後の抑止力のための実験材料がほしかったからといったところだ

尤も、実験材料といっても別に体を分解するわけでもなくしばらく使徒の力を観察させてもらうだけだ

 

『渚君の話ではシンジ君の話も白を切った。本当に知らない可能性もあるんでしょ』

 

「ええ、少し気になるから調べてほしいって言われて調べたけどまったくの白」

 

過去の経歴など調べようがなかった。カオリの記録はサードインパクト以降に作成されたものだけ

人の記憶もそれ以降ものだけなのだ。サードインパクトの帰還者ということだけにそれ以前の資料はまったくないに等しい

過去をなくしてしまった人間。それが彼女なのだ。

仮に使徒の力に目覚めていたとしても今のところ害はないのだから、しばらく監察が付く程度で本人に不自由は掛からない

 

『まあ、何か変わった事があったら連絡しなさい』

 

「了解」

 

彼女が電話を切ると椅子を倒して横になると冷房の聞いた車内で呟いた

 

「あなたは何を望んでこの世界を創造したの?」

 

「どうしてあなたにとってつらい世界だったのに元に戻したの?」

 

「希望、それがみつかったの?」

 

「ねぇ、シンジ君」

 

その答えが分かるときは来るのだろうか。

 

 

 

その直後、彼についていた保安部員から連絡があった。

 

警護していた人物の突然の失踪と彼が尾行していた女性が消えたという連絡が

 

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「ずいぶんと気持ちの悪い事をしてくれたわね」

 

カオリが女性には似つかわしくない金属製のものを手に持ち、同じ髪の色を持った少年にそれを向けていた

 

「それは、申し訳なかったね」

 

少年は謝るものの何か確信めいたものを持っていた。

 

それはようやくたどり着けた真実に確かな確証がもてたのだ

 

「碇シンジ君」

 

もはや呼ばれることはなかった名前。

 

その名前には忌むべき名前。もはや消えた名前

 

 

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「私があなたの言う碇シンジだって言う証拠は何もないわ」

 

私はその名前を聞くのもいやだといわんばかりに強い口調で言うが、一度確信を持った彼を動かす事は

容易ではないというくらい想像できた

 

「君がそれを僕に向けている時点でやましい事があるんじゃないかい」

 

「あなたが変質者のような真似事をしなければ必要はなかったわ」

 

引き金を引きそうになるとカオルは言った

 

「神様は大変かい?」

 

その一言に私はきっと顔色が青くなっていたと思う。

 

「・・・・・・死んで・・・」

 

『バンッ』

 

カオルは自分の腹部から生ぬるい液体が流れるのを感じた。

それが何かを理解する直前に誰かに首筋を叩かれて気を失った。

私は自分のやってしまったことを理解し叫びそうになるが誰かに口を押さえられて叫べなかった

誰かに見られたということよりもやってしまったことに恐怖を感じて何が何なのか分からなくなった

口を押さえているのが誰なのか見ている余裕もなかったが、耳元で知っている女性の声が聞こえた

 

「私が何とかするから少し落ち着いてくれないかしら。押さえるのも大変なのよ」

 

その声を聞き私が振り返ると空色のワンピースではなく、闇に紛れるような黒色のライダースーツを着ていたルミナさんだった

彼女は携帯電話でどこかに連絡を取り、ついてくるように言われた

私は迷子の子供のようについていった。そのとき、正常な判断能力はなかった

ショッピングセンターの裏の通路をずっと抜けていくと従業員専用の出口がありその前に黒いバンが止めてあった

運転席にはスーツを着た男性が座っていてすぐに出すから座るように言われた。私が車に乗り込み彼女も乗ると発進した

 

「これで、あなたの身は安全よ。写真家の男性もショッピングセンターから出発していて別の場所で落ち合うから大丈夫だから」

 

それとあなたの買い物も代わりにしておいたからといわれた

私が驚いた表情で彼女を見るとトランクと指差せていてそこを見ると買い物袋がぎっしりと詰まっていた

 

「なんで」

 

 

 

知っているの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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