海岸の町   作:アイバユウ

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第100話

私はお昼を食べるために砂浜から旅館に向かってユウさんと帰っていた

お酒はいつもあとで配達してくれるので、注文をしたら帰るだけだ

違う事といえば、いつもは1人なのにこれからユウさんと一緒という事だ

それはそれで少しうれしいのか、足が軽やかだった。やっぱり1人よりも2人の方が楽しい

おしゃべりもできるし。

 

「ところでユウさん。ネルフがらみで何か最新情報は?」

 

「今のところ何も聞いていないよ。大丈夫。彼らだってバカじゃない。国連からの圧力には負けるよ」

 

だと良いですけどと言うと、私達はその後も楽しくおしゃべりをしながら歩道を歩いていった

この思いを永遠に抱き続けることができれば、私にとっては何よりも幸せな事だが

そんなのは夢でしかないというのは分かっていた。私は『人』ではないからだ

いつかは別れを感じることになる。それを考えれば誰かの愛を感じる事に恐怖がある

耐えられるかどうかわからないけど耐えるしかないのだ。それが私に与えられた罪だからだ

罪を背負っていくしかない。それは人間も人間ではない私も同じことだ

その時、彼の携帯電話が着信を告げる音楽が聞こえてきた

 

「ルミナさんからだね。相葉ユウです・・・・・・・・・・・・・わかったよ。情報ありがとう」

 

「何かトラブルですか?」

 

「君には残酷な事だけどね」

 

その言葉を聞き、私はトラブルの内容についてなぜか理解した。恐らくネルフが動き出したのだろうという事を

 

「ネルフですか?」

 

「彼らではなくてチルドレンの方だね。正確にはセカンドチルドレンとファーストチルドレンが第三新東京市を出たと」

 

目的地はこの町だという事も教えてくれた。さらに悪夢のような言葉をかけられるとは思ってもみなかった

 

「彼女たちの宿泊地は僕たちの家。つまりあの旅館だよ。彼女たちは本気で・・・・・・・カオリちゃん!」

 

私は言葉の途中で体を震わせた。恐怖を感じたのだ。ようやく勝ち得た幸せをぶち壊す存在が来るのだから

 

「ルミナさんはすぐに旅館に来てくれるそうだよ。僕たちも急いで戻ろう。対策を練らないとね」

 

「はい」

 

私は恐怖を感じてしばらくその場を動けなかったが彼に手を引っ張られる形で歩き出した

旅館に到着するとすでにルミナさんの車が駐車場に止まっていた

正面玄関から入るとおかあさんが受付で待っていた

 

「カオリ、ルミナさんとティアさんがあなたの部屋で待っているそうよ」

 

「ありがとう。お母さん」

 

お母さんは不安そうな表情を浮かべていた。状況を理解しているようだった。

 

「ユウさん。カオリのことをよろしくお願いします」

 

「必ず守ってみせます」

 

私とユウさんはロビーを抜けると別館にある私の部屋に向かった

部屋に入るとすでに2人がお茶を飲んで待っていた

 

「カオリちゃん。勝手に部屋に入らせてもらっているけど、ごめんなさいね」

 

ティアさんが申し訳なさそうに謝罪をしてきた。私は気にしないでくださいと言った

今からが本番なのだ

 

「それで2人の足取りについては?」

 

「以前あなたが予想した通りよ。偽造IDを作って第三新東京市を出たのを確認。バイクでこっちに向かっているわ」

 

「どうしてわからなかったのかな?」

 

「バイクの名義人が彼女とは関係のない全くの他人だったからよ。免許を持っていた事は知っていたけどバイクを所持していた事は把握できていなかったわ」

 

でもこんなことは言い訳にしかならないけどとルミナさんも申し訳なさそうに言った

確かに他人名義にされたら追跡するのは容易なことではない

あの2人は今回がラストチャンスであることを分かっている事は私にもわかった

この方法は1度きりしか使えないからだ

 

「とにかく対応方法を考えましょう」

 

ルミナさんがリーダーになる形で話し合いを始める事にした

 

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