セブンスドラゴンⅢ code:VFD inブルー   作:メレク

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お久しぶりです。いやほんとに。待ってたぜ!という方いらっしゃったら申し訳ない。

少し先までは随分前に書いてた残りがあるので、そこまでは更新したいと思います。


二人の竜

「バーニング...ナッコゥゥゥゥ!!!」

 

レトロの炎を纏った一撃が魔物を跡形もなく粉砕する。

 

「遅い」

 

それを見て動揺した魔物をブルーが横凪ぎに刀を振った。その切れ味は凄まじく、綺麗に体が別れる。

 

「負けるかぁ!」

「ふっ!」

 

休みもしないで駆け出す二人の後を追いながら、アオギリが叫ぶ。

 

「なんなのあの二人ー!!」

 

 

 

 

 

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「勝負しろブルー!どっちが先に目的地につくかだ!」

「いいだろう...」

 

ことの発端は数分前、いざ鍛冶場へ向かおうとしたときのことだ。レトロの持ちかけにすぐさまブルーが食いつく。

 

「提督、よろしいのですか?」

「...早くつくならば、悪くはないだろう」

 

メイヘム討伐メンバーで年長者(生きている年数であればブルーやレトロの方が遥かに上だが)であり現場指揮者となったヨリトモの了承に、ユウマは引き下がった。

 

「行くぞ。案内頼む」

「ついてきて」

 

案内役のシェナにブルーとレトロが最前線でついていく。

 

グラディオンを出て数分で、魔物は現れた。

 

『ja!』

『jjaa!』

 

同じ姿の者が二体、蛇の様に長い体をくねらせる赤い魔物達。

 

『デスワームか!今更お前らが気にする相手でもないが、一応対策を』

「バーニング...ナッコゥゥゥゥ!!」

「失せろ!」

 

ナガミミの話を遮り風を切る音が二つ鳴る。

 

一瞬でシェナの前に出て、炎を纏った拳が、黒い剣がデスワームを死に至らした。

 

『...なんて、いらねぇな』

「もっと強いやつ連れてこいってんだよ」

「全くだ...だが貴様、俺の敵を奪うな」

「はぁー?それこっちが言いてえよ。邪魔しやがって...」

「邪魔などしていない。貴様こそ黙って後ろにいろ」

『...もう俺、マップ作成だけしてるから』

「諦めないでナガミミ!!」

 

ヤイバの叫びも聞かず、文句の言い合いはエスカレートしていく。

 

「大体なんだあの掛け声は」

「格好いいだろ!」

「悪趣味だな」

「な!?氷なんかより最高だろうが!!お前と一緒にするなよ!」

「黙れ」

「あの...二人とも、先...」

『ksyaa!』

『saa!』

「うっせーんだよ!」「黙れと言った!」

 

ユウマの止める声と被って襲ってきた魔物たちは一瞬にして光となった。

 

『別々の方向から同時に...仲が良いのか悪いのか分からなくなってきた......』

「皆、こっちだよ」

「早くついた方が一発殴れる」

「やってやろうじゃねぇか!」

「いい加減にしてー!!」

洞窟内に、ヤイバの叫びが響いた。

 

 

 

 

 

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それからというもの、シェナが走る先に魔物を見つけるとブルーとレトロ、二人に負けられないとユウマが躍り出て、全員が通過する頃には魔物が全滅している。ということが続いていた。

 

そして、後続組であるヤイバとアオギリは。

 

『あいつらが落としたままのDz全部拾っとけよ!あって困ることなんかないんだからな!』

「私、新調された武器まだ一回も使ってないんだけど...」

「アオギリは手にはめるやつだからいいじゃん。私なんか最初に抜いた以外一回も鞘から出してないよ...」

 

ブルー達が倒しているのは魔物だけでない。頭に鈍重な重りをつけ、それで攻撃してくるドラゴハンマオー、四足で大きな角をぶつけてくるスモウドラグ、魚とタコが合体したような見た目のアクアリアなどのドラゴンすらも秒殺だった。

 

そのくせ落ちたDzを放って前へ前へと進むのだからたちが悪い。

 

「この前まで走れもしなかったのに...」

「ついさっきまで連携のれの字もなかったのに...」

 

アオギリと同じように呟くヤイバは、前方の光景を眺めている。

 

レトロが先行し、アクアリアを殴りつける。その隣を、隙間を縫うように近づいたブルーが剣を走らせる。

 

一瞬膠着したブルーを襲うドラゴハンマオーにレトロが蹴りをかます__________やりたい放題にしか見えないそれが、ヤイバの目には息のあった連携に見えた。

 

「あれは好き勝手戦ってるだけじゃ...」

 

(皮肉なものだな)

 

同種族でもない限り竜は連携などとらないし、とるつもりもない。そんな奴等がいきなり連携を組むくらいなら個々に討伐した方が安定するだろう。だがこの二人は例外だった。

 

(お互いに嫌っているからこそ、他の竜よりどう動くかを知っている...そして、効率の良さだけを考えるならこうして戦った方が早い)

 

「腹立たしいが!」

「んなこた俺もだよ!!ざっけんな!」

 

レトロも同じことを考えていたのだろう。ドラゴハンマオーを葬りながら苛立たしげに叫んだ。

 

「はっ!」

「直ぐに次が来る。この道を右に!」

 

容赦なく敵を吹き飛ばすユウマ。ルシェの特性でもある鉱石の声を聞き、道案内兼策敵係になったシェナ。噛み合いそうにない個性が揃い、信じられない成果を生む。

 

「先行する」

「お前は黙って俺の後ろにいればいいんだよ!」

「貴様こそ黙れ」

 

シェナの指す方向に突っ込むブルーとレトロ。恐らくヤイバ達はもうしばらく戦えないだろう。

 

「ついていくだけで精一杯...」

「ヤイバといったな」

「は、はい」

「この速度についてこられるだけ一般人の域からは抜けている。自信を持っていい」

 

フォローを入れたのはヨリトモだった。

 

『ひたすら走っているのに息一つ切らしてないお前ら皆人外だから安心しろよ』

 

通信機からナガミミの声もした。ただそのフォローはヤイバにとって複雑だったが。

 

「それと、新しい武器を試したければあそこに混ざるか他の所まで行って魔物と戦うんだな。前者は消し飛ばされ、後者は置いてかれるが」

「...大人しくしてます」

 

諦めたヤイバはふとアオギリの顔を見る。彼女の顔もどこか疲れている様に感じた。

 

「...よし!」

 

(今の私がやることは走ってDzを回収すること。頑張ろう!)

 

 

 

 

 

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「ったく...めんどくせぇ奴等だな」

 

モニターを見ながらマップの作成に専念するナガミミは舌打ちした。

 

「まぁ、ヤイバとアオギリの成長も信じられないくらい早いし...ブルーもだいぶ落ち着いてるみたいだし」

 

道中の雑魚も狩り尽くせ。帝竜を倒すことと直接的な関係はない頼みの通り、ブルーはあまり進行ルートに関係ない敵もかたずけている。微々たるものだが策敵能力を上げたレーダーから、敵を示す赤い丸が次々消えていくのは見ていて気持ちいい。

 

「さて、もうじきメイヘム討伐...作戦入って初めての帝竜戦。上手くいけばいいんだが...」

 

 

 

 

 

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「なぜ貴様...そこまで走れる!?」

 

数えきれない程の魔物を倒したブルーがレトロに叫んだ。先行しすぎでユウマすら置いて来てしまったので静かな場所に声がよく響く。

 

それは、ずっとブルーが感じていたことだった。レトロの性格から真面目に歩ける、走れるようになるまで練習するとは思えなかったし、なによりそれなりに努力した自分と同じほど動けるのが気に入らなかった。

 

「はぁ?あぁそうか、お前は大変だなぁ!」

「何を...貴様も同じだろう」

「残念、俺様は元々浮いてたんだ。全くやったことのないやり方を学ぶのと、今までの慣れを全て捨てて一からやり直すのは違うからな!」

「!」

「ざまぁみやがれ、自慢の氷も出せないみたいだし、格下はすっこんで...」

 

得意気な声が静まって、二人が立ち止まる。

 

「「!!」」

 

届いてきたのは指揮官竜の気配。次いで咆哮が聞こえた。道の奥から勢いの良い風が吹いてきている。

 

「いよいよか...腕が鳴るぜ」

「余裕だろう?俺だけでも十分だ」

「お前はさっさと帰れっての!」

「レトロ、お前も一度止まれ。帝竜と戦う前に一度休憩だ。ほとんど走りっぱなしだったからな」

「もう...」

「さすがに...」

「待たなくたって俺様だけで...待つから帰らせようとするなよ」

 

後からきたヨリトモがレトロを戒め、彼がその場で胡座を組むのを見て、ブルーは剣を仕舞って岩にもたれた。

 

(床に座ると四足になりそうだしな)

 

「ブルー、座らないの?」

「必要がない」

「そっか」

 

ブルーの気持ちなど微塵も分からないシェナの提案を断る。彼女も特にそれ以上なにも言わず、初めて背中に吊るした武器_______両手で持つも鎌を構えて見せた。

 

「綺麗だな」

「え...」

「「!?」」

「その武器」

「あぁ...うん、そこの鍛冶場で作って貰った奴なんだ」

 

微妙な顔をしながら帝竜のいる方を見つめる。

 

「でも、メイヘムが住み着いてから何もできなかった...それも、これで終わらせる」

「...そうだな」

 

少し、ほんの少しだけさっきより決意が強固になって、

 

「...各員、準備はいいな。突入する!」

 

ヨリトモからの号令に合わせて走り出した。

 

 

 

 

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サメのような見た目、水色の鱗のあちこちに苔の様なものがついていて、腹は対称的な赤。四本の足で大地に君臨し、頭から生えた不規則な角はやる気を示すように振動する。

 

それが指揮官竜、帝竜メイヘムの姿だった。

 

そこに、真竜の影に隠れているものの歴史に爪痕を残し続けている怪物の元に、七人が訪れた。

 

『通信妨害!?早く復旧...気を付け......ら!』

 

ナガミミとの連絡がぶつ切りされるも、

 

「初めてみるな...ま、どうでもいいか」

 

一番大きく音を鳴らしながら歩き、拳を突き合わせる元指揮官竜レトロ。

 

「...」

「...っ」

 

神妙な面持ちのヨリトモとユウマ。

 

「これが...メイヘム!」

「倒さなきゃ...私達の力で!」

 

剣を、拳を構えるヤイバとアオギリ。

 

「もうこれ以上好きにはさせない。メイヘムにもニアラにも!」

 

唯一この時代の人間であるルシェ、シェナ。

 

「......ここで、殺す」

 

静かな、確かな殺意を込めて二本の黒き剣を構える元指揮官竜ブルー。

 

『gaaaaaaa!!!』

 

それを拒むように、メイヘムが声を響き渡らせた。

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