セブンスドラゴンⅢ code:VFD inブルー   作:メレク

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セブンスエンカウント

咲き誇るフロワロを眺めながら座り込む。実際立てないだけなのだが、棒は置いてきてしまったためどうすることもできない。

 

「あ、ブルー」

「...ミオか」

 

そこに声をかけてきたミオは、なんとも形容しがたい顔をしていた。

 

 

 

 

 

「.....もしかして、歩けない?」

 

 

 

 

 

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新しく腰に刺さっていた二本の棒を地面に突き立て、ようやく立ち上がる。

 

「剣をそんな風に...」

 

ミオは信じられないと言う風に口を押さえていたが気にしない。

 

新しく刺さっていた棒は、人間______自分を殺した三人の内『刀子』と 呼ばれていた人間の持っていた武器と形が似ていた。

 

「これはどうやって使うんだ?」

「えーと...中から剣を抜いて使うんだよ。こっちは鞘って言って、剣の刃をしまうところ」

「...」

 

シュルリ、と金属が擦れる音を立てながら剣を抜くと、銀色の刃が露出した。自分を殺した原因であり、今の自分の支えとなっているもの。

 

「......」

 

黙って剣を戻し、鞘を地面に突き立てる。二つの刀を地面に着けて、ようやく安定した。

 

(夢なら...もう終わりでいい)

 

自分を殺した者の姿に変わり果て、その上で苦労することに疲れていた。

 

「歩ける?」

 

しかし、そんな思いを嘲笑うかのようにミオは質問してくる。

 

「...大丈夫だ」

 

せめて楽しい思いをするまで夢が覚めないことを願いながいながら腹をくくる。気合いを入れるように剣を更に強く握りしめた。

 

「じゃあ、ゴールはこのスカイタワーの屋上だから...行こう?」

「スカイ、タワー...」

 

その言葉に引っ掛かりを覚える。たしか自分を呼び出した第五真竜フォーマルハウトが占領した場所は、スカイタワーという名の______

 

「______から、しっかり______」

「そんな____れても」

「あ、あそこにいるのって...ブルー!」

「ん?」

 

思考していたところに、ミオから声がかかる。

 

「見て!あそこ!」

 

指差した先には、二人の人間が魔物と戦っていた。

 

「ヤイバ!しっかりして!」

「ダメだよアオギリ...」

「そんなことないでしょ!」

 

状況からして劣勢だろうか。相手は小さな魔物一匹なのだが。

 

「助けなきゃ!」

「何故だ?」

「...え?」

 

タイムラグのない返しに、彼女は何故か反応してきた。

 

「なんでって...」

「この世界は強きものが淘汰する。だから人間は家畜を食うし、ドラゴンを狩るのだろ?それができないなら怯えていればいい。あの人間達は自分達の技量すら分からなかった愚か者だ。助ける必要がどこにある?」

「そ、それは...」

「お前がどう思おうと、俺は助ける必要はないと考える」

 

俺の言葉に、ミオは黙りこんでしまった。

 

(意志の弱いやつめ...)

 

しかし、彼女は顔を上げた。

 

「確かに人は、私だって動物は食べるよ?確かに生き残るためとはいえ命を取ってる...でも、私はだからこそ死ねないなって思うの。他の命をもらってるから...ごほっ、ごほっ」

「...」

「...他の命をもらってるから、私は病弱な体でも生きたいって思うの。ドラゴンは...狩らないと、私達は皆死んじゃう」

「自分が生き残るために、他を犠牲にしていいのか?」

「それは違う...違うけど......」

「何が違う?」

「...私じゃ、ブルーを納得させることは出来なさそうだけど......人が倒れてるのを見過ごせない、助けたいって思う気持ちは、本物だから」

「...俺には分からない」

「そっか...」

「......だが」

「?」

 

涙目になった彼女にめもくれず、しまったばかりの剣を引き抜く。光が銀の鉄に当たって乱反射する。

 

自分を支える物が一つ減ったためバランスを崩すが、そのまま。

 

「...はぁっ!」

 

腕の力だけで剣を飛ばした。それは狙いを違えることなく、魔物に突き刺さる。

 

「ひっ!」

「わわっ!」

 

目の前で座り込んでいた二人が恐怖の声を上げ、こちらを見てきた。しかし今は関係ない。

 

「...これは、お前への借りを返しただけだからな」

「あ...ありがとう、ブルー!」

 

体勢を崩して倒れるのに対し、ミオは笑顔を向けた。その笑顔は______どこか引き込まれる物があった。

 

 

 

 

 

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「ありがとうございました!」

「さっきのすごかったね。私からもありがとう」

「...俺はこいつに借りを返しただけだ。礼を言う相手が違う」

「私も、なにも...」

 

助けた二人にお礼を言われるも、それをミオに押し付ける。ミオは戸惑いながらはにかんだ顔をしていた。

 

(さっきまでの意志はどこに...)

 

さっきまでの強い気持ちは消えていた。とても同一人物には見えない。

 

「私の名前はアオギリ、こっちは...」

「ヤイバといいます」

「あ、私は那雲澪です。えーと...」

「...ブルーだ」

 

空気を読んで自己紹介をする。ドラゴンのときはなにも考えなかっただろうが。そもそも名前が氷竜だし。

 

「よろしくねーっと...もしかして、そっちも二人だけで行動中?」

「はい。戦うのはブルーだけで、私はナビ役なんですけど...」

「ほんと?私達も二人だけでさ...これ、前衛三人を推奨してるゲームなのに人数が足りなくて。よかったら一緒に遊ばない?」

「私は大丈夫ですけど...ブルーは?」

「...俺の邪魔にならなければ、増えようが減ろうが構わない」

「それじゃあよろしく!」

 

話しかけてきた赤髪の人間______アオギリは、ひらひら服を揺らしながらにこやかな笑みを向けてきた。

 

「ほらヤイバも!」

「え、えと...お願いします!」

「私こそ、よろしくお願いします」

 

黒髪の人間______ヤイバも、アオギリに連れられて頭を下げる。それに対してミオも頭を下げ返していた。

 

「それじゃあこっちの道だよね?いこうか!」

「「うん!(はい!)」」

 

アオギリを先頭とし、ミオとヤイバがそれに続く、それを見ながら、ブルーは剣を突き立てながらついていった。

 

「ブルーはなんで剣を使って歩いてるの?」

「...二足歩行が出来ないんだよ」

「何かの病気?」

「...歩き方を忘れただけだ」

「ぷぷっ...あははっ!!なにそれ!」

「アオギリ失礼だよ」

 

事実を言っただけで笑われる。この人間斬ってしまおうかと本気で考えた。

 

「いやー...ごめんごめん、まさかそんなこと言われると思わなくて。私で良ければ教えるよ?リハビリの勉強とかしてるし」

「看護師とか目指してるんですか?」

「アオギリは介護センターで働きたいんだって」

「まぁ、今のお爺さんお婆さんは、竜災害を生き残ったたくましい人達しかいないけどね」

 

薄い笑いを浮かべたまま、体を回してこちらを向く。

 

「それで、やろうか?」

「...頼む」

「はーい」

 

人間にとって、二足で歩けないというのがどれだけ面倒かはここまででわかった。だからこそ誘いに乗ったのだが__彼女の笑みは何もかも見透かしているように見えて、信用出来なかった。

 

 

 

 

 

「アオイはすぐ誰とでも仲良くなるからね...私は人見知りだから羨ましいよ」

「尊敬しますねぇ...」

 

そんな二人の言葉は、どこかに消えた。

 

 

 

 

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「満足に歩けもしないあんな男が投げた刀が、ヴァーチャルとはいえ魔物を一撃?やっぱりバグじゃないか」

「いえ、ちゃんとした計測だわ。ただ、普通じゃあり得ない数値...力だけはあるってことかしら...」

「ホントか?そしたら...とんでもないな」

「まさか彼女が言ってた最後のピースって...」

「十分あり得るだろ。あの緑髪もナビとしてはS級って判定なんだろ?おまけに合流した奴等もS級の持ち主」

「こんな都合よくいくものかしら...あれはついこの間完成したばかりなのよ?」

「そんなこと、俺はしらないな」

「そうよね...ともかく、レベルを上げましょう。それで判断するわ。負けるならその程度、勝てるなら...」

 

 

 

 

 

「狩る者、か」

「せいぜいがっかりさせないで頂戴ね...」

 

 

 

 

 

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「足はあまり内股になりすぎないように...そうそう、だいぶ出来てきたんじゃない?飲み込み早いし」

「そうか...」

 

アオギリに支えてもらいながら、歩く特訓を進める。右足と左足を交互に出し、同時に反対の手を前に出してバランスを取る。何歩か歩くとそのバランスが崩れるが、アオギリが素早く支えてくれた。

 

エスカレーターと呼ばれていた階段を二回上り、夢のくせに魔物の臭いが濃くなった時には、最初に比べてだいぶ歩きやすくなった。

 

「次の角を右です」

「ありがとう、ミオ」

「私はやることないね...戦う時は、ブルーが一撃だし......」

「か、刀拾ってるよ!」

「ミオちゃん、その心が痛いよ...」

 

後ろに続くミオとヤイバは、さっき初めて会ったとは思えないほど仲良さげに歩いていた。彼女らの話していることは______戦闘だろう。

 

魔物との戦闘は、ラビと呼ばれる兎のような魔物も、俺も知らない変に浮いた機械の魔物も刀を投げ捨てることで終わらせた。投げた刀は魔物が霧散してからヤイバに拾ってもらっている。

 

腕を使って武器を持つのはどれだけ楽なのかを痛感した。

 

「!また来るよ!」

 

敵の接近にいち早く気づいたヤイバば声を張り上げる。

 

「...ドラゴン」

「え?」

 

ふと漏れた声にミオが反応する。しかし、それは訪れた。

 

それは今まで出てきた魔物等ではなく...ドラゴン。名前は______

 

「え、なにあれ!?」

「あんなの出てくるなんて...マニュアルには載ってない...」

「...リトルドラグ。ドラゴンだ」

「え、このゲームドラゴン出ないって言ってたけどなー...」

 

四足でかける小型の竜は、素早く自慢の牙を向けてきた。

 

「くっ」

「あっ!」

 

一本刀を抜き取り、狙いをつけて投擲する。しかしそれは、奴を一度退かせるだけだった。再びこちらに駆けるリトルドラグ。

 

『gggaa!』

「ぐふっ!!」

「ブルー!」

とっさにアオギリを押したが、バランスを崩してしまった。そこにリトルドラグの体当たりが入り、壁まで吹っ飛ばされる。呼吸が出来なくなり、赤い体液______血が、溢れた。

 

(...成る程な)

 

だが、今のでわかったこともある。人間はドラゴンの攻撃に対して脆すぎる。だから素早く動いて攻撃を避けるのだろう。ブルーを殺しにきた奴等は一度、必殺の一撃を耐え抜いていたが。

 

(......速さを出すためには)

 

「なんでかばって!?」

「...咄嗟にやったことだ」

 

押されたアオギリがかばわれたのだと解釈して文句を言ってきたが、自分でもなぜそうしたか分からないため適当に返事をし、もう一本の刀を投げた。狙いも甘いその一撃は、軽々と避けられてしまう。

 

「武器が!」

「ヤイバ、拾ってくれ。注意は俺が引き付ける」

「ええっ!?」

 

この姿では未だに走れず、速度を出すことが出来ない。ならばどうするか。

 

(走らなきゃいいじゃないか)

 

思い出したのは、フライドラゴニカ______羽を使って、素早く空を移動するドラゴン。それを思い出しながら、跳躍した。

 

天井に右手を突き刺し、すぐさま左手で天井を殴って空を飛ぶ。横の壁に張り付き、今度は両足で壁を蹴った。リトルドラグはその動きを追いかけてくるが、追い付かれる前に跳躍するのを繰り返す。跳ねるような動き______

 

「ブルー!これ!」

 

ヤイバが二本の刀をこちらに投げてくるのを、壁際で掴む。しかしそのせいでリトルドラグはすぐ後ろに来ていた。間違いなく頭を食いちぎられる。

 

「ただのドラゴンごときが、敵うわけないだろ」

 

ブルーにある感情は、怒りだけだった。ただの竜が、人間になってしまったとはいえ指揮官竜に刃向かってきたのだから。

 

 

 

 

 

「後悔しながら地獄へ落ちろ」

 

そうして______壁であるガラス越しにリトルドラグの姿を見て、正確に刀を突き刺した。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「______す。__でとうございますミミ!」

 

閉じていたまぶたを開くと、色んな色の光に照らされながら、兎のような変な生き物が声をかけてきていた。

 

「...俺は、リトルドラグを......」

「そうミミ!倒したミミ!よってお客様はノーデンス社に特別ご招待ミミ~!」

 

謎の語尾と言葉を投げ掛けられながら騒ぐのに、俺は違和感を感じた。

 

______人間になった夢で、さっきまで別の場所でドラゴンを倒して、またここに戻ってくる____夢で。夢のくせに場所を戻ってくる必要があるのだろうか。

 

「...夢じゃ、ないのか?」

「何をいっているか分からないけど、とりあえず来るミミ!」

 

先導する謎生物の後を追う。床においてあった杖は気づきもしなかった。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「これで全員ミミ?」

「ブルー!」

 

建物の外に出ると、ミオとヤイバ、アオギリが話をしていた。こちらに気づいたミオが走りよってくる。

 

「ちゃんと起きたんだね、よかった~」

「一人だけ遅いから心配したよ」

 

後からヤイバ、アオギリも声をかけてくる。その顔には安堵の色があった。

 

「...うるっせえよお前ら」

 

しかし、それを遮る者がいた。低身長の謎生物が、ミミを語尾に付けずに喋る。

 

「え?」

「お人形ちゃん、口調が...」

「こっちが本来の喋り方なんだよ。さっきからギャーピーギャーピー騒ぎやがって...いいから黙ってついてこい!」

「ぇぇー...」

「俺に命令するのか」

「あぁそうだ!ブルーとか言ったな?俺様はナガミミ。喋る前にサーを付け、ナガミミ様と呼びな!」

「...どこへつれていく気だ?」

「無視とはいい度胸じゃねぇか...さっきも言ったが、俺のいる会社であり、セブンスエンカウントの産みの親...ノーデンス社だ」

 

ナガミミはそう言って、出てきた建物の隣______逆三角形を二つ繋げた形をした建物を指した。

 

「ほら、ついてこい!」

「行ってみたらいいんじゃない?ゲームの裏側とか知れちゃうかもよ?」

「そう言われると行きたくなる...」

「ノーデンス...私も行ってみたいです!」

「ミオまで?」

「行こうヤイバ!ブルーも!」

 

ミオがヤイバの手を引きながら進み、特に目的もないのでついていく。

 

「ブルー...歩けるの?」

「...お陰さまでな」

 

後ろから声をかけてきたアオギリに返事を返す。走ることは出来ないが、バランスは取れるようになった。

 

「そっか...さっきはありがとう」

「さっき?」

「ほら、ドラゴンから助けてくれたじゃん?」

「...俺はアオイが邪魔だったからどけただけだ」

「そういうことにしときます!」

 

隣を歩くアオギリは、表現しづらい顔をしていた。

 

 

 

 

「ところで、なんでアオイ?私はアオギリだよ?」

「アオギニィ...アオギリは言いづらい」

「なんでさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ヤイバ

スチューデントスタイル(typeA)

サムライ(一刀)

アオギリと幼なじみ

 

アオギリ

バトラースタイル(typeA)

ゴットハンドそ

ヤイバと幼なじみ

 

ミオ

言わんでも分かるヒロイン

 

ブルー

サムライ(二刀)

元指揮官級氷竜(帝竜ゼロ=ブルー)




最後の方に、各キャラのプロフィール的なのを書きましたが、気にせず自分の好きなキャラを想像しても問題なしです。上ので分からない人はググれば一発!
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