ウチの飼い猫が俺を魔法中学生にしてくれました   作:豚野郎

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ちょっと話を急いで進ませ過ぎてしまったので修正を加えました


3話

「……………え?」

 ははは、何おかしな事を言ってんだこのねーちゃん。先ほどの戦闘ってあれだろ?路上で俺が変な妄想に狩られて———いやいや、待て六矢。焦って答えを出そうとするんじゃないぞ?もっと落ち着いて時間を掛けて良いから良く考えろ六矢……。

 いや、考えるより思い出した方が早いな。そうだ、思い出すんだ六矢…。よーく、よぉ〜〜〜く思い出すんだ六矢……。

 

 路上で猫を拾う→猫が光る→骸骨あらわる→Hなねーちゃんあらわる→骸骨フルボッコ→家に帰る→猫を家に入れる→さっきのHなねーちゃんあらわる

 

 すると………俺が家に入れたのは虎柄の猫だけだし、今この時、あの猫は見当たらない。

とすると彼女は……。

「マイガッ!!」

「はわわ!大丈夫ですか!?」

 自分の狂った妄想が恥ずかしくなってテーブルに額を強打する。まさか…まさかな……。

「大丈夫れす……ちゃんと覚えています…」

「れす?」

「大丈夫です」

 我ながらバカバカしいが、聞かなきゃ始まらないことに変わりはない。

 よし、覚悟を決めろ六矢。こんな非モテ道まっしぐらの俺が今更年上のねーちゃんにおかしなこと聞いてドン引きされたってどうということは無いだろ…?

「気分を悪くしましたら謝りますが…………まさかあなた、猫だったりします?」

「え?今更ですか?」

「マイガッ!!」

 再び額をテーブルに強打する。じゃあなんでちゃんと服を着ているんだ……?

「本当に大丈夫ですか……?」

「だ、大丈夫れす……。……そんなことより、何言ってるんですかお姉さん。さすがに冗談キツいですよ〜。HAHAHA」

「う………まあ、普通はそうですよね。いろいろ訳ありなので話すと長くなりますが、お時間の方は構いませんよね?」

 え?何このねーちゃん?マジであの夢のこと話すの?

 あれ?てか、このねーちゃんが夢の話をする時点であれは夢では無いんじゃないのか…………?いや、にしたって、あの出来事が現実の物とは思えないし……。

 トラコさんとやらはコーヒーを一口飲んで、もうすでに話す気満々である。

「別に構いませんけど……」

 それからトラコさんはかれこれ二時間近くにわたって俺の身に起きた出来事とこれから俺がしなければならないことについて丁寧に話してくれた。これは彼女が話してくれたことを簡単にまとめた物である。

 

 ———一週間ほど前、もともと九重 虎子(ここのえ とらこ)は人間の女子高校生で、あるとき彼女はスロックスと呼ばれる異世界の化け物の襲撃を受けた。その生態は極めて獰猛で、人を不幸にすることをなりわいとし、その時に不幸にした人間からこぼれ落ちた生命力を吸って生きながらえている。力の強い者は人に化けることも可能で、標的は子供か老人。自分たちの存在がバレることを嫌い、大人には手を出さないらしい。

 スロックスを撃退するための存在、魔法学生であるトラコは撃退に向かった。

 そもそも魔法学生と言う物は、その名の通り、魔法を使ってスロックスを倒す学生のことである。

 何故学生なのかと言うと、人間が魔力を蓄えたり使用したりするにあたって最も適している肉体状況を年齢で表すと十三歳から十九歳と、丁度日本の学生の年齢と重なっているからだ。

 その魔法学生達はスロックスを探知、撃退することで本来起こるはずの無い余計な不幸から人々を密かに護っているのだ。さらに、倒したスロックスの魔力は魔法学生の体内に吸収され、幸福の力に変わり、自分に降り掛かる不幸を追い払ってくれるのだ。

 先ほどにもあった様に、トラコもその一員である。

 そして魔法学生の宿敵たるスロックスの中にも極めて凶暴で強力な敵もいて、今回トラコが闘ったスロックスは魔法学生の間でもSSランクと呼ばれるほどの強大な物で、かなりの手だれ(自称)とやらのトラコでも返り討ちとまでは行かなかったが、完全消滅させることはできずに、不覚にも呪いを掛けられてしまった。

 その呪いという物が猫化。文字通りトラコの身体を猫にしてしまうという物だ。

 流石に聞く限り猛者のトラコに呪いを掛け切ることはできず、毎日午後四時から午前二時までと日曜日の間は人間の身体でいられる。

 トラコは母親と二人暮らし————だった。

 父親はトラコが産まれてすぐに離婚。母親は一年前にベトナムの医療関係の仕事に出ていってしまい、実質一人暮らし。生活費はバイトでやりくりしているという。

 猫の姿では当然学校やバイトにも行けず、このままでは生活が破綻してしまう。それどころかスロックスの間ではレベルの高い魔法学生は恨まれていたり賞金首になっていることが多く、どのみち襲われて殺されてしまう。それだけは避けたいため、意を決して学校に退学手続きを出し、自ら道ばたの段ボールの中に入って用心棒になってくれる魔法学生の素質のある人が拾ってくれるのを待っていたという。

 霊感などには一際敏感だと聞く猫にはどうやら人の魔力が見えるらしく、最初に魔力の強い俺を見つけ、魔力を込めた鳴き声で俺に呼びかけて接触した時に俺に自分の魔力を流し込み、魔法中学生にしようとしたらしい。

 その時、丁度低級のスロックスがトラコを襲って、魔力の伝達中だった俺も巻き添えを食らってしまったという訳だ。

 トラコは最後の力を振り絞って人間に戻り、俺を助けた。

 そして今に至る。

 

「言ってることは現実味に少し欠けますが、俺の実体験もあることですし、一応信じますが。……よくよく考えればこれって結構博打なやり方ですよね?」

「ん〜…まあ、それもそうですね」

「俺がちゃんとした家計を持っていて、今ここにおふくろがいたらどうするつもりだったんですか?」

 トラコさんの目がすうっと鋭く凶悪になる。

「やり方はいくらでもありますよ。…例えばあなたの御家族を全員暗殺して、そのあとに私の身体であなたを懐柔するなり何なりすれば、あとは死体の隠滅を済ませれば完了です。ご近所の方には海外出勤した御両親の代わりに雇われた家政婦とでも名乗っておきましょうか……」

「………………………」

 顔面蒼白な上に変な妄想を頭にちらつかせて鼻から血を垂らしている俺を見たトラコさんは何を思ったのか、顔を真っ赤にして手をあたふたとばたつかせた。

「す、すすすすいませんっ!調子に乗り過ぎちゃいました!年下だからちょっと脅かしたら面白いかなって思って……。本当にごめんなさいっ!」

「…は、はあ………」

 一体なんなんだこの人は……。胸の割にはどうやら気は小さいようだ。こんなんで良くあんなおっかない骸骨共と闘って来たものだ。




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