新たに現れた二体の究極体。
鋼鉄のように鈍く光るドルゴラモンと金塊のように輝くオウリュウモン。
その姿を、希望に満ちた力を少女は見ていた。
「お願い……!アルの希望を、繫げて!」
デジヴァイスを握りしめて。
「すごい……身体中に力があふれてくるみたいだ……」
デジヴァイスを通して繋がるパートナーは一心同体の存在となる。
それゆえに、デジモンへの“ORDER”が起動する。
そして一心同体であるがゆえに。
身体を流れる力を感じ、痛みを分け合う。
「一気に決めるで、コウキ!」
「うん!」
親友の声に応じるように、キーボードに指を走らせる。
標的は目の前。
アルカディモンを倒すための、勇気の一撃!
「 ブレイブメタル 」
同時、オウリュウモンの一撃も炸裂する。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
少年たちの声が重なる。
感情の力。
心はフル回転。
パートナーを信じて、叫んだ。
その声に、少女の声も重なっていた。
膨大なエネルギーが怪物を襲う……!
手ごたえはあった。
そういう風に見えた。
「きっと、倒せましたよね……マグナモン」
イリスはデジヴァイスを通して現実世界の戦闘を視る。
「……わからない……いや、足りないというのか……!」
黄金の鎧をまとうマグナモンはその力量ゆえ、見抜く。
感情の力を手にした究極体二体でさえ、あの絶望には届かない……!
「そんな……!」
デジヴァイスは現実を示していた。
アルカディモンは確かに傷ついた。
具体的には両腕を失っていた。
しかしだ。
「ギチチチチチチチチ」
時を待たずしてアルカディモンは再生していく。
「どうなっとんねんアイツ!」
自分たちは渾身の一撃を放った。
勇気を持った、最強の一撃だった。
それでも、敵は倒れない。
「――――――!」
怪物が咆哮する。
現実世界の物質が0と1に分解され、それを喰らっていく。
身体は修復され、大きく成長していく。
絶望のカタチだった。
そして01分解はアイリの元にも……!
「まずい!ユウタ!」
交わす言葉は短く、少年二人は動く。
押し寄せる波を、竜たちが払う。
0と1の波はそれで止まる。
いや、受け止められたというべきか。
ドルゴラモンの左腕とオウリュウモンの右腕をもって。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「いってぇぇぇぇぇぇ!!!」
その痛みは、想像を超える現実の痛みはパートナーにも届く。
「大丈夫……ッ?ドルゴラモン……」
痛みをおして、コウキは聞いた。
「痛いゆーてえぇねんぞ……オウリュウモン」
少年たちは無理に。
恐怖を抑えて。
笑顔を浮かべて言う。
あるいは恐怖などなかったのかもしれない。
その存在があったから。
彼らは答える。
「大丈夫だよ、コウキ」
「些事でござるぞ、ユウタ」
「なら」
「いけるね!」
痛みをおして、絶望を拒絶して、彼らは再び飛翔する。
空へ!
「イリス……私は今から無茶を言うかもしれない」
それは覚悟を秘めた言葉だった。
「……何?」
「私の力を彼らに託そうと思う」
「……わかりました」
双子ゆえの類似か。
パートナーたちもまた、同じ道を行く。
自分のできる戦いがそれだと信じて。
「デジヴァイス……」
金色のデジヴァイスが煌めきを放ちカタチを変えていく。
「私はあなたの道を信じて共に歩みます」
二体の飛翔する竜を追うように、その光は届いた。
アイリのデジヴァイスから。
「この光……」
本能的に悟る。
「イリス!」
そして光は空を覆う。
「聞こえるか、ドルゴラモン、オウリュウモン。それにパートナーたち」
聞こえていた。
そして、その光の意味もわかっていた。
「私の力で全てを一つにする。呼吸を合わせろ!ココロを重ねろ!」
“ B L A S T E V O L U T I O N ”
境界は曖昧だった。
ただそこにある四つの魂と、込められた二つの力が、一つのカタチとなって黄金の刃をふるっていた。
瞬間。
切り取ることのできないほどの一瞬のなかで。
しかしいつまでも終わることのない永遠を歩むように。
黒い騎士は刃をふるう。
0と1の波ごと、理想郷を冠するその怪物を両断した。
「――――――!!!」
断末魔を上げ、怪物アルカディモンは自らが0と1に溶け、消えていく。
その勝利の姿を、少女たちは見ていた。
「勝ちましたね、ブイモン」
「うん……やったよ、イリス」
デジタルワールド。
そこから見ていたイリスは、力を送り成長期まで退化したパートナーの頭を撫でていた。
「しばらくお休みなさい」
「うん、そうするよイリス」
さしものマグナモンも成長期に戻っては性格が幼くなる。
これはどのデジモンにも言えることだった。
感謝のココロを込めて、イリスは手を添える。
「お疲れさま」
ブイモンはすでに眠りについていた。
よほど疲れていたのだろう。
「さて……後はどうやって帰るかですね……」
現実世界に顕現していたアルカディモンは0と1の泡沫となる。
怪物が喰らった現実世界も0と1のままだった。
そこまで分解されてしまったデータはこの世界では存在してはいられない。
最小段階までその存在をきざまれたデータは、個々としてはなんの価値もない。
しかし、その量。
一つの街のネットワークをのっとるほどの量の0と1がまとまりをなくしたのなら。
風が吹き荒れた。
「ぬおっなんやコレ!」
「すごい風……」
彼らは元の姿に戻っていた。
コウキとドルモン。
ユウタとリュウダモン。
デジヴァイスを通さずともわかる。
この風は現実のものではない。
0と1の光は大きな穴を作り出していた。
ちょうどブリッジの真ん中。
上空に、コウキたちはいた。
「やばい、これやばいよドルモン!落ちる!」
「ごめんコウキ、ボクは飛べないんだ」
「拙者も飛べぬ……」
「ほな、あの穴に真っ逆さまやな」
落ちていくその中でただ一人、ユウタはけらけらと笑っていた。
「真っ逆さまやな、じゃないよ!あの穴の先がなんなのかわからないんだよ!?」
「たしかにな!でもほんまにそう思とるんか?」
「……ッ!」
やはりうすく笑みを浮かべながらユウタは言う。
わかってるだろ、と。
「たぶん人類初やで。宇宙行くよりよっぽどドギツイわ」
その視線は穴の先を見ている。
「それにお前も行きたいねやろ?」
「ボクは……」
「ウソこけ、笑っとるでコウキ」
言われて、気づいた。
自分の表情に。
この胸のうちの大きなものが不安ではなく、高鳴りだということに。
風が耳元で音をたてる。
黒く開いた穴は、どんどん近づいてくる。
心の鼓動は大きく。
「行くよ!デジタルワールドへ!」
とりあえず一旦区切りです。
せわしなく書いたので細かい描写だとか肉付けだとかいろいろやり損ねている感が自分でもあるのですが……。
おいおい加筆はしていく予定です。
で、どこかで書きましたが次はたぶん九月くらいかなぁと思っています。
色々と人生の岐路にあるもので。ままならないもんですね。
まぁ個人的話はさておき、それまでたまに加筆しつつ、時間あればキャラ紹介ページを作ってそれから、という形になります。
ここまでの三話はわかる方はわかるかもしれませんが、「ウォーゲーム」オマージュですねゲロッちゃうと。次からはクロニクルをなぞる(はずだ)。
お気に入りも何件かいただきました。
ありがとうございます。
更新再開等についてはtwitter(@BeardeadGoldB)なんかでつぶやくかもしれません。更新時以外なんも動かないですけどね。
それではまたいつか。