大洗に転移したとある男の物語   作:金星信者

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初めて小説書いたよ


はじまり

「……ここはどこだ?」

 

俺はは混乱の極みにいた。

 

俺はアニメ「ガールズ&パンツァー」の劇場版を6回目を見て劇場シアターからホクホク顔で帰っていたところだった。

 

なのに気が付けばよく分からない場所に寝かされていたのだ。

 

いや正確にはよく分からないわけではない。独特の消毒液などの臭いが自分の鼻に主張しているし、自分が寝かされていた白いベッドがあることとそのベッドを囲むようにピンク色のカーテンがされていることは分かる。つまりここが病院、もしくはそれに準ずる場所であることは分かる。

 

しかしである。俺はは健康そのものであった。しかも俺はガールズ&パンツァーのファンである「ガルパンおじさん」である。ガルパンおじさんとして人々に迷惑かけずにファン活動することはモットーでもあった。

食事もしっかりとハンバーグカレーとサラダを食べたことを覚えている。だから栄養失調や貧血などで倒れることはないと少なくとも俺自身はそう思っていた。

 

ということは事故か何かに巻き込まれたのだろうか?

 

自分の身体を見てみたり動かしてみたりしても特には痛みも感じないし異常も感じない。頭も痛むわけでもないし何より点滴などもされていないことに今更ながら気が付いた。

 

「ま、分からないのに考えていても仕方ないか……」

 

俺はベッドから起き上がって下を見てみるとスリッパが置いてあった。「来客用」と書かれているのでわざわざ置いていってくれたらしい。そんなありがたさを感じつつスリッパを履いてからカーテンを開けてみた。カーテンの開けると白い戸棚と医療器具が置いてある机が目に映った。どうやらここは保健室だったみたいだ。

しかし保健室と言ってもここは自分の通う大学の保健室でもなかった。それに自分はガルパン劇場版を見て帰ってくる途中だったのだ、例え何かがあっても運ばれるのは病院であろう。つまりは余計に混乱を助長するだけだった。

 

「失礼します」

 

そうやって混乱の最中にいるとコンコンとノックが聞こえたあとガラッとドアが開いた。俺がドアの開いた方を見ると一人の少女が入ってきた。その少女は髪型がオカッパで白を基調とした制服を身に付け左腕には「風紀委員」という腕章がデカデカと主張していた。

 

「って目、覚めていたんですか?」

 

そのオカッパ少女が不機嫌そうに眉に皺を寄せつつ言った。「まぁ無事で良かったですよ」と付け加えながら。

 

だがそんな言葉も俺の耳には入っていかなかった。この少女は自分のよく知る人だったからだ。いや人ではない、キャラクターだ。オカッパ頭に白を基調とした制服、緑色のスカート、風紀委員の腕章、そして井澤詩織の声、これらのことが立て続けの起きたせいでなんとか平静を保っていた自分の頭はトドメを刺されてしまった。そのためか俺は思わずポツリと言ってしまった。

 

「……そど子?」

 

「はぁ!?な、ななななんであんたが「そど子」って知っているのよ!?あんたと私は初対面のはずでしょ!?」

 

思わず言ったこの言葉で「そど子」は顔真っ赤にして腕を上に上げながら目を吊り上げ、ウガーってしていた。

 

「そど子」──園みどり子とはアニメ「ガールズ&パンツァー」のキャラクターの一人である。背が小さくオカッパ頭なのが特徴だ。作中では遅刻取り締まりをしていてよく遅刻常習犯である同じガルパンキャラである冷泉麻子を叱っていたのが頭に残っている。戦車道におけるチーム名は「カモさんチーム」で戦車はルノーB1bis、フランスの戦車に乗っていた。担当は戦車長・副砲砲手・副砲装填手ととんでもなく忙しい。性格は委員長タイプと言えば通じるだろう

 

そんな彼女を端に俺はこの少女が自分が嵌まりに嵌まったガルパンのキャラクターの園みどり子であると感じていた。風紀委員でしっかりもののそど子が、二次元のガルパンキャラである園みどり子によく似た人が目の前にいるのだ。

うん、驚いてはいるものちゃんと頭が動いているな。自分がこう考えれるということは立て続けての混乱の押し寄せで彼は冷静になれたようだなと安心して口を開いた。

 

「ごめんなさい。初対面なのにあまりのクオリティーに混乱しちゃって失礼な物言いをしてしまいました」

 

「はぁ……ま、ちゃんと謝ってくれたし大目に見てあげますよまったく……ってクオリティー?」

 

「いやぁまさかコスプレイヤーの方だとは思いませんでした。ここまでそど子を再現した人がいるとは……ガルパンおじさんとして一生の不覚です。同じガルパンおじさんとしてガルパンを盛り上げて行きましょう!!」

 

訂正。俺は全然冷静になっていなかったようだった。

保健室にてポカンとするソド子と満面の笑みを浮かべながらソド子の手を取り両手でブンブンと握手する自分。

端から誰が見てもシュールな光景である。

 

そうしているうちにそど子がプルプルし始めた。そのプルプルが身体の中で反響するかのごとくついには肩まで震えていった。

 

「……ふ、ふ、ふふふ」

 

「……ふ?」

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁ‼」

 

握手していた手を振り払いついに彼女は激昂した。

 

「ど、どうしたのですか!?ま、まさか何か気に入らないことを」

 

「そのまさかよ‼というかあなた失礼なことしか言っていないじゃない‼初対面からソド子と言うし私のことをコスプレイヤーって言うし‼」

 

彼女はまるで火山が噴火したかのごとく苛烈にぶちギレた。顔は前以上に真っ赤となっており他人がみれば頭の血管が切れるんじゃないかと思うまで怒り狂っていたのだ。

 

「お、落ち着いて」

 

「誰が落ち着けるのよ‼そど子はともかくとしてあんたは私が誇りをもって先輩から受け継いだ風紀委員長であることをコスプレイヤーって言って侮辱したのよ‼これが落ち着けると思う!?思わないわよね!?もう一度言うわ‼大洗女子学園所属風紀委員長三年園みどり子であるこの私を単なる真似事だって言って侮辱したのよあんたは‼」

 

弁明しようにも彼女の怒涛に何も言えなかった。コスプレイヤーと言ってかなり怒っている、つまりガルパンおじさんでもなくコスプレイヤーでもなかったということだ。では彼女はなんなんだろうか。それよりも彼女は何か気になることを言わなかっただろうか。

 

「あの」

「何よ‼まだこれ以上侮辱するつもりなの!?この恩知らず‼」

 

少し涙目となりながらキッと睨み付けてくる彼女を見てようやく俺は頭が冷えた。別に頭が冷えても今の現状が分かるわけではない。でもこれだけは理解した、自分はガルパンキャラ云々関係なく自分は一人の女の子を傷つけてしまったのだと。そりゃあそうだ、理由がどうであれ自分は一人の誇りを単なるそど子のコスプレだと言ったんだ。激高されても仕方がない

 

「……園みどり子さん」

 

「……何よ」

 

「軽率なことを言ってしまって本当に申し訳ありませんでした」

 

俺は深々と頭を下げた。というかこれしか出来なかった。俺は一応友達からイケメンと言われるのだがなぜか年齢=彼女いない歴の経歴の持ち主だった。だから女の子の機嫌を上手く治す方法など知る由もない。だから自分が出来ることはただただ誠意を見せることだった。この人はそど子ではないのだから

 

「(……?)」

 

なぜか胸が痛んだ気がした。だがそんなことを気にしている場合ではない。誠意を見せなければならない

 

「……」

 

「……」

 

沈黙が続く。俺は頭を下げ続けているため彼女がどういう顔をしているか分からない、だから余計この沈黙が長く苦痛に感じられた。もう時間の感覚なんてなくなった頃に小さく「はぁ……」とため息が聞こえた。

 

「もういいわ、頭を上げなさい」

 

そうして頭を上げると一番最初に見たと同じ不機嫌そうな顔が映っていた。ただ一つ違うのは諦めを含んだような顔をしていたことだった。

 

「誠意は分かったわ。それに私の方も頭に血が上っていたわね。私からも謝るわ、ごめんなさい」

 

「な、何で園みどり子さんが謝るんですか!?」

 

「規則だからよ」

 

ぶっきらぼうに答えつつもその言葉に宿るのは風紀委員の誇りだった。それがひどく眩しく感じられて何も答えられなくなった。

 

「ふぅ、それで話を戻すけど何であんたは校門前に倒れていたの?」

 

「え?なんでって……え?……校門に?」

 

「やっぱり何も覚えていないのね。そうよ、いつも通り風紀委員の活動しようと学校に来たらあんたが倒れているんだもの。私と仲間たちが協力して保健室に運んだわよ。」

 

俺はようやく彼女が恩知らずと言っていたことに納得した。自分はどうやら校門に倒れていてそこに彼女がやってきて他の風紀委員協力して保健室まで運んでくれていたのだ。それ聞いてはじめて自分は命の恩人とも言うべき彼女を傷つけてしまったことを思い知った。混乱してたからと言えど罪悪感がやばい。

 

「命の恩人とは知らず本当に」

 

「いいから。倒れている人を助けるのは規則だからね。それでどうしてこの大女学の校門にいたのかしら?」

 

「……おおじょがく?」

 

「大洗女子学園のことよ」

 

そうだ、さっきのことですっかり失念してしまったが自分はここはどこだかを探っていたんだった。それがまさか俺は目の前にいるそど子に良く似た園みどり子さんから答えを聞けるとは思わなかった。

 

「大洗女子学園……公式には架空となっていたけどホントに実在したのか、確かに実在してるとなるとファンが押し寄せてくる可能性があるから隠蔽することは仕方ないことか……って」

 

何度も確認するが自分は映画館から帰って来て気がついたらこの「大女学」にいたのだ。しかし自分が行った映画館は大洗ではない。東京である。

 

ガルパンおじさんとして無意識に大洗に行ったのだろうか?

 

そう考えるが即座に否定する。例え無意識だとしても校門前に倒れることはまずないだろう。だとしたらこの少女は一体なんなんだろうか。まさかアニメ制作者たちが一般人をモデルにすることなんてないだろうし、しかも名前を一言一句同じにすることも。

そう考えているうちにとんでもない想像を思い付いてしまう。あり得ないと思いながらも彼は口を開いた。

 

「……ここって「大洗」ですか?」

 

「違うわよ」

 

彼女は彼のニュアンスをきっちりと理解してからそう答えた。そして

 

「ここは学園艦である大洗女子学園よ」

 

喜劇か悲劇か自分のとんでもない想像は当たってしまったのだった。ここは大洗でもなかった。まさか海の上だとは。

 

「……ホントここはどこなんだ」

 

俺は再び混乱の極みに身を捧げた。

 




最初にそど子が出る作品って珍しいと思う
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