冥界
「何?!リアス達からの連絡が途絶えただと!」
「はい!魔王様!この度グレイフィア様からの定期連絡の時間になっても連絡がなく、1日連絡を待っても何もなかったんです!」
「何故!連絡がない時点で報告しなかった!」
「落ち着け!サーゼクス!君が重要な会議に出席していたから君に伝わらなかっただけだ!」
「しかし!」
「私から隠密部隊を出し捜索している。向こうはかなり厳重だ!私もまだ連絡待ちといったところだ。」
「ありがとう、アジュカ。でも、向こうは旧魔王の連中もいる。彼らにとってグレイフィアは裏切り者だ!命があるかどうか心配だ!ミリキャスに何て言えば!」
「もう休め!サーゼクス!この後は私がしておく。そこの者、サーゼクスの帰宅の準備を!」
「は!御意!」
「わかったよ。本当にありがとう。アジュカ。」
サーゼクスは退室した。だがそれから少しして、
「ベルゼブブ様!隠密部隊からの連絡が途絶えました!」
「そうか。追加の部隊を派遣する必要があるがこれ以上精鋭を失うわけにはいかんな!」
「畏れながら一つ。」
「申せ!」
「は!転生悪魔を使ってはどうでしょう?我々に対して真に忠誠を誓っているか試し、明らかに裏切ろうとしているもの達は囮として使いましょう!」
「ふむ。まあいいか。それなら我らを純血悪魔には被害はないからな。転生悪魔など悪魔の駒さえあれば幾らでも増やせる。」
「はい。では、リストを作って参ります!」
「ああ、編成後報告に来い!」
「は!御意!それでは失礼!」
「頼んだぞ!」
部下が去り、部屋のなかに一人になったアジュカはこれからことを考えていた。
「サーゼクスには悪いが、リアス・グレモリーとグレイフィアはもう駄目だ。彼女らが身体無事に現れることはない。」
彼は隠密部隊が最後に送ってきた通信で、グレイフィアに襲われたという報告を見ながらそう言った。それから虚空に向かって、
「君達はこれからどうなると思うかな?」
すると虚空から男と女が一人ずつ現れた。
『ふん!白々しいな貴様は!攻めてくるのだろう?奴等は!なら!悪魔の駒の製造地と呼ばれているアグレアスを攻めてくるのだろう?まぁ無駄なことだが!』
『そうだな。だが!あそこにあるのは悪魔の駒のプロトタイプと実験体のみ。今の悪魔の駒はあそことは何も関係ない。まぁ悪魔の駒が貴様の夢から創り出されたとは奴等は思うまい!』
「君達の存在と共に彼等にとっては不可思議なことだろうよ。そういえば緋衣くん、フェニックスの力はどうなのかな?」
『素晴らしいぞ!だがまだ足りぬ。私が望むまで力は奪い続けていくがな!ハッハッハ!』
『やつらが攻めてくるのはこいつの餌が来るようなものだ。まぁ我が子らもやつらが攻めてくるのを楽しみにしているがな。まだ私たちは制限が掛かっている状態だしな!』
「制限と言えば彼はどうなっているのかな?」
『あやつの封印は解けきっていない。封神台とはよく言ったものだ。あやつがいるのは一つの世界だ。穴を開けるのが精一杯といったところだな。その穴を通じてあやつの眷属が増えれば出てこれるだろうがな。』
「この冥界の悪魔は殆ど眷属となっている。しかし、転生悪魔どもには効果が薄い。阿片漬けすれば良いが。」
『あいつの封印が解けるまでは戦闘はなるべく避けるべきだ!眷属が減れば封印を解くにも難しくなる!』
「わかっていますよ!サーゼクス達を抑えることが今の課題だ。」
『わかっているのならいい!行くぞ!』
『ふん!』
二人は彼の前から消えた。
「やることが多くて疲れるな!だがまずは悪魔の駒を増やすとしよう!」
『――破段、顕象――』
彼の前には悪魔の駒が数セット現れた。駒の真の製造に関しては他の魔王は何も知らない。彼らもアグレアスで製造していると知らされているから。悪魔の駒は彼の夢そのもの。悪魔の駒のあり方は彼の意思次第となっている。
人間界
兵藤家
「一誠。リアス・グレモリーとの面会が可能となったがどうする?」
「えっ?部長と?俺だけか?」
「いや元眷属とシトリー達だけだが?」
「あ~。俺はいいや。あっでも今聞いたら木場は行くってよ!」
「ふむ。了解した。シトリー達から連絡が来たな!行くのは・・・シトリーだけか。」
誄は次の休日、木場とシトリーを連れて研究所へ向かった。
研究所
「よく来たな君達。私がここの主任ケイネス・エルメロイ・アーチボルトだ。」
「有名なロードが何故?」
「む?君は悪魔だな?何故ここに?」
「ケイネス。こいつは堕天使預かりになっているものだ。気にしなくていい。」
「貴様が言うなら安心だな。私がここにいるかはな、単に悪魔を研究するためだ。我々魔術師の使う魔術は神代の業を再現したものだが悪魔の使う魔法・・・魔法とは言い難いものだがそれらが我らの魔術の体系と何が違うのかを調べることや魔力の違い等をな。」
「悪魔の技術を人間が使えるように作り替えたものじゃなかったんですか?」
「それは悪魔側の言い草だな。なに悪魔共が良くすることだ!他者の功績を自分達がやったように周りに広める。本当に度しがたいものだ。そもそも初代悪魔・・・否、当時は魔神柱だったか?ソロモン王に仕えし七十二柱の魔神柱が人形を与えられ今に至るのが悪魔共だ。奴等が崇めるソロモン王も人間だ。そのようなことを理解せず、人間を貶めようとする。矛盾した存在だと思う。ああ、すまない。あの赤髪の悪魔に会いに来たのだったな?案内しよう!」
「あの、グレイフィア・・・すみません。銀髪の悪魔はどうしたんですか?」
「ああ、あれか。あれはユークリッドくんとロイドくんに引き渡したよ!彼らは悪魔でありながら人間を差別しない。良い存在だからね。」
「そんな方もいらっしゃっるんですか?」
「ソーナ・シトリー。人間を契約相手として対等に接する。これを是としている悪魔なら我々魔術師達も拒んだりはしない。何事も契約を守るなら対等に扱う。これは魔術師の基本だからね。・・・ここだ。」
ケイネスと話ながら歩いていると目的の牢へ着いた。だがそこには目的の人物はいなかった。
「あの、すみません。リアスは何処に?」
「そこにいるだろう?ほら君の目の前だ!」
目の前にいるのは白髪の女性だ。その女性が顔をあげると鮮やかな赤の髪だったリアスに間違いなかった。
「リ、リアス!」
リアスはこちらを向き、
「ア!」
「何ですか?」
「アハハハハハハ!」
狂ったように笑い始めた。いや、完全に狂っていた。
「これはどうしたんです?」
「いやなに尋問というなの拷問してるうちに狂ってしまってな。拷問の過程で両手両足を無くしたから義手や義足の被験者として使おうとしていたら開発班の馬鹿共が一夜のうちにこれを改造してしまってな。今のこれはあくまで装置なものよ!脳いや魂に、冥界の悪魔達に鉄槌を!という簡単な命令を刻み込んでいるだけだ。」
「装置といいましたか?なんの装置なんですか?」
「これはな魔神柱グレモリーが再びこの世に顕現するための依り代となるのだ!この魔神柱は今の悪魔、他者を悪魔に無理矢理作り替えるのを是としている悪魔共を消却するまで止まらない代物だ。くっくっく、私でも少し楽しみに思えてくるものだな。」
「何てことを!」
「何を言っている!貴様達も我々を勝手に作り替えているのだ。我々が同じことをしてもよいだろう?」
「そうですが!」
「貴様も魔神柱に変えてやろうか?・・・なに冗談だ。細胞を少し貰えばそこから魔神柱を生成できよう。というわけで戴くぞ!」
プチっという音をたて髪を一本抜いた。
「痛っ、何を!」
ケイネスはサンプルをビニールの中にいれ、
「貴様の細胞を戴いただけだ。それより今日の用件は終わっただろう?ほら帰った、帰った。」
ケイネスに追いたてられ牢から離れた。
「リアス。」
ソーナは呟く。牢の方からは、
「ヒッヒッヒ!」
という狂った笑い声が聞こえてきた。
研究所を出て、
「誄さん。私は眷属を守るために、死ぬわけには生きません!」
「彼らの家族から責められようともか?」
「はい!この身は悪魔です。ですが、それが眷属達の妨げとなるなら私は悪魔を止めます!両親や姉の反対にあおうとも私は、眷属いや仲間達と同じ種族として生きようと思っています。偽名だった、支取蒼那という人間界での名を本名として人間としてみんなと共に暮らしたいです。」
「そうか。では、用意しておこう。仲間にも先に伝えておけ。」
「はい!」