俺は目が覚めた時、病院のベッドの上であった。
と同時に自分は何者でどこからきたのかも分からなかった。
横に置いてあった鞄の中には着替えがあった。
携帯端末は電池が切れていて使えなかった。
さっさとパジャマから着替え、病院を出た。
とにかく、人を捜し歩いたが見つからない。
目に映る街はまるで廃墟だ、ホコリのかぶった車に道中に散らばっているゴミの数。
失礼かもしれないが、ドキュメンタリーで見る途上国の無法地帯って感じだ。
どこかに強盗が隠れててもおかしくない雰囲気だ。
交番を見つけ立ち寄ったが誰もいない。
交番が無人なんてことありえるのか?
交番の中は血痕だらけでそこはまさにお化け屋敷だ。
不気味に思い、交番を出た。
外は暗くなってきたが、人工的な光はなく月が見えてきた。
俺はまだ法の下で行動していたがそれはもうやめる。
ホコリ被った自動車の中を見て回り、キーが刺さったままの車をようやく見つけた。
運転席に座り、ドアを開けたまま、エンジンをかけると大音量で音楽が流れた。
街中に響いただろう。心臓に悪かったから、すぐに音量を下げた。
すっかり暗くなっていたが無数の足音と声が聞こえ、
「おーい、誰かいるのか?」
とこれまでの孤独感が吹き飛ぶ。
だが無数の足音は近づくごとに慌ただしく聞こえ、声も会話ではなくせき込むような。
俺は奇妙に思い、運転席に戻りドアを閉めた。
ドンドンとガラスをたたく鈍い音がする。
ヘッドライトを付けると血だらけの人々がガラスを叩いていた。
驚きと同時にアクセルを踏んでその場から遠くへ移動した。
人がいないことを確認した後エンジンを止めた。
頭の中を整理しよう。だが出来ない。
自分の名前も記憶も分からない、正常な人もいない。
だから整理は出来ない。
そんなことをループさせているといつの間にか寝てしまっていた。
起きて最初に目にしたのはフロントガラスが人の手の血痕でいっぱいであった。
頭はいっきに冴え、すぐにウォッシャー液を噴出しワイパーでフロントガラスを綺麗にした。
なぜ、自分に車の運転知識があるのか分からなかった。
次にバックミラーで自分を見るとこんな顔だと認識して不思議な気持ちになった。
事態が把握できない今、俺はまず情報収集に徹した。
新聞や雑誌は集めたが、三か月前の月の出版分までしかなかった。
最後のほうの新聞や雑誌は終末説や世界の終焉のことしか乗っていなかった。
特にゾンビと言うキーワードがやたら多様されていた。
書いてあることはどれも『噛まれるな』『頭を狙え』という字面ばかりであった。