朝ベッドから起きダイニングに行くとコーヒーとパンが置いてあった。
カウボーイはもう起きて朝食をとっていた。
「牧場にはなにもいないが、食料として全部食べたのか?」
「いや、デッドマンに食べられたんだ。」
「デッドマン?それよりカウボーイ、俺はあの部屋の女と子供が気になる。」
カウボーイは感情的になり、
「妻と息子だ。」
「そう、妻と息子だ。治るのか?」
「治る?いや、もう死んでる。」
「死んでる?だって動いてるじゃないか。」
「ああ、俺も安らかにさせてやりたいが俺は天国に行かせる自信がないんだ。」
「中には代わりに悪魔が宿っているのか?」
「さあな、デッドマンは政府が病人扱いして研究材料にしていたが死んで生き返る病気なんてあるか?」
「昨日から言ってるデッドマンてなんだ?なあ、せめてこの世界で起きていることを説明してくれ。」
「いいだろう。半年前・・・」
カウボーイの話によると半年前、突然謎の病気が流行ったらしい。
それは死者の蘇り、死者による死者の増殖、どんな死に方をしようが蘇る、また脳機能が破壊されない限り徘徊し続ける。
そして新鮮な肉を求めて死者は彷徨い続ける。
初期は感染力が強かったため政府によって街を封じ込め皆殺し。
やがて人類と死者の数が逆転した時、秩序の崩壊が始まった。
秩序の崩壊後は蘇った死者はゾンビ(ウォーカー・ローター・グール・デッドマンなど人によって呼ぶ名称もいろいろである。)と呼ばれた。
つまり何を飼育していたが分からないが牧場で育てていた動物はゾンビに喰われたのだろう。
「じゃあ、妻と子供はもう治らないってことか。ならカウボーイ、あんたの手で妻と子供を天国に送ってやるべきだ。ここが地獄ならカウボーイ、あんたの愛した家族は地獄にいるってことだ。」
「ナッシング、お前は愛する人の頭を破壊することなんて出来るのか?」
俺は言葉が出てこなかった。
「だったら俺が今すぐ代わりに・・・」
するとカウボーイは拳銃を俺に向けた。
「やめろ。考えさせてくれ・・・」
「そうだな。俺の問題じゃないしな・・・」
俺は荷物をまとめて牧場を去ることにした。
「ナッシング、出て行くのか?」
「ああ、俺はカウボーイの考え方が合わないからな。」
「家族の事か?」
「・・・そうだ。あんたの家族でも俺は家族じゃないからな。ゾンビとは暮らせない。」
「確かにそうだな。必要なものがあれば好きに持って行け。」
俺はカウボーイの家を出て行った。
トラックに乗り、再び砂漠を走る。
永遠と荒野が続く道を走っていて、俺がよく自分の事も分からず生きていることにふと疑問に思う。
まあ、ただ運がいいだけなのだろう。