「殺しはしない。それよりなぜ私を助けたの?階段で私を殺せばあなたは今手錠をしていない。」
俺の想像通りの疑問を持ってくれた、これは俺が生きる上でとっさに思いついた最善の策であった。
「人間だからだ。ゾンビとは違う。そもそもまだ俺はゾンビを受け入れられないが・・・」
カウボーイも悩んでいた通り、俺の記憶が戻った時、家族がゾンビでも撃ち殺せるかと問われたら難しい。
「・・・分かったわ。姉を殺してくれればあなたは自由にする。」
俺の手錠を外そうとした。
「いいのか?手錠を外した瞬間俺は自由だぞ?」
「いえ、あなたは私を見殺せない。階段の時も銃を私に向けた時も、あなたは私を軽く殺せた、虫の様に。」
「・・・さあ、それはどうかな。」
手錠を外した後、
「ところで名前は?」
「好きに呼べばいい。」
「分かったわ。じゃあ、アーミーね。」
「そんなことよりここをどうやって脱出するんだ?ゾンビだらけだ。」
「それは心配ないわ。ウォーカーは静かになればまた散らばるわ。」
「奴らを君はウォーカーと呼ぶのか。ゾンビに詳しいな。」
夜になりゾンビが散らばるのを待っていると町の外で銃声が聞こえた。
銃声のしたほうにゾンビは歩き出した。
俺は寝ていたミシェルを起こした。
「おい、今なら移動できるぞ?」
「・・・計画を立てなくちゃ。拠点に案内するわ。」
俺とミシェルは二階の窓から降りた。
拠点までゾンビを避けて走り、無事たどり着いた。
拠点には町全体の監視映像があった。
「これで町全体を見ていたのか。」
町の入口だけでなくいろいろな場所に罠が仕掛けてある。
だからエイミーは多勢での強襲に躊躇したのだろう。
人数が多ければ多いほどこの町ではよそ者が戦うのは不利だろう。
それでもエイミーがこの町が欲しいのはやはり物資確保のためか。
見たところ、武器は基地並、おそらく食料もどこかに保存しているのだろう。
ミシェルはエイミーの仕切る町の地図を俺に渡した。
町の周辺に東西南北に印がついていた。
「この印はなんだ?」
「時限爆弾の設置場所よ。」
「なるほど、町に直接仕掛けるのでなく、爆音でゾンビを引き寄せてそのまま町に行かせる作戦か。」
「その通りよ。ウォーカーはそのまま町に行く。ただこの作戦は一人では無理だし二人でもキツイ。」
「それでも共闘して姉の首を取りたいんだろ?」
「ええ、姉は家族を失い、思いやりを忘れてしまったの。」
「家族か。俺は思い出してすらいないがな。」
翌日の朝エイミーの町近くに爆弾を仕掛けにミシェルと2人で向かった。
ミシェルは襲撃に向かう途中ゾンビを一人殺した。
「おい、なにやってるんだ?」
「奴らに紛れるのよ。」
そう言ってゾンビの腹を裂き、レインコートに血や肉を塗りたくった。
「正気かよ!」