別の作品に集中しすぎてこっちが遅くなってしまいました!
かなり久しぶりに書いたので、色々と変だったりわかりづらいところがあるかもしれないのでご注意ください……!
それでは、どうぞ!
1月9日(金)
「ふわぁぁぁぁ……」
今日もオレ……繰銀 悟の爽やかな一日はなんともスタイリッシュな欠伸から始まる。
「よー、悟。相変わらず怠そうな欠伸だな」
……感じ方には個人差あり、と。
「うっせ、昨日はそんなに寝てないんだよ」
「珍しいな。昨日は課題もなかったのに」
「色々とな」
クラスメイト(男)と他愛ない会話を続ける。特に仲が良いわけではないが、眠気覚ましにはちょうどいい。少なくとも、人と話していれば退屈はしない。
「そういえばさ、お前昨日のテレビ見たか?」
「……なんのテレビだ?」
「リヴァの日の特集番組だよ。リヴァの日について色んな説が出てきたんだぜ」
「……あー」
リヴァの日。
日本にとって“良い意味で”、世界にとっては“悪い意味で”特別な日。
そういう歴史的な日を特集したりするのは、ドキュメンタリー系の番組ではよくあることだ。まして、何か新しい説が出てきたのなら余計に。
だが、そんな情報に意味は無い。
「悪い。昨日は寝てたからテレビ見てない」
「さっきと言ってること真逆じゃねぇか、コラ」
「アホ。帰ってすぐに寝てたから夜に寝られなかったんだよ」
「子どもか!」
適度なツッコミを受けながら会話を終わらせることに成功。話すこと自体は嫌いじゃないんだが、興味が無い話題だとそうはいかない。
その情報に意味が無いとわかっているのなら、なおさらだ。
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「昨日のテレビ見たか!? 『リヴァの日、徹底解明!』ってヤツ!」
「見た見た! あれ、ヤベーよな!」
「私も見たよ! あそこまで調べるんだからすごいよね!」
「……ハァ」
不運なことに、その興味も意味も無い情報の話題は教室に入っても止むことは無かった。いや、教室に入ってからは酷くなっている。確実に。
なんでお前らは三年にもなってそんな番組で盛り上がっているんだ。三年は三年でも実は小学三年生かよ、ちくしょう。
「おい、悟! お前はテレビ──」
「見てない」
さっきからこのやり取りを何回も続けている。もう二ケタになっただろうか。話しかけてくる相手は違うといっても、その内容は同じなんだから疲れてしょうがない。
「テンション低いなー。そんなお前に、テンションが上がる話をしてやろう」
「昨日のテレビの内容だったらパス」
「お前に拒否権はないぞ」
「なんつー人権侵害だ」
今までは真顔で「見てない」と言えば離れたが、今回はそう上手くいかないらしい。オレの意見なんて関係なしに、クラスメイトは昨日のテレビの内容を話し出した。
「昨日の特集じゃ、リヴァの日について色んな説が出たんだ。誰が、どんな理由で、どんな方法であんなことをやってみせたのか。んで、いくつも有力な説の中でも、一番有力だったのが……宇宙人の侵略説なんだよ!」
「ヘー、ソレハスゴイナー」
「お前はオレがそんなに嫌いかよ!」
「話に興味ないだけだ」
宇宙人説なんて、一番胡散臭くて一番どうとでもなる説だ。それっぽい不思議現象が実は起きていたとか、合成とかでいくらでも作れる話を出せば一気に信憑性を増すようなもの。だからオレは宇宙人否定派の人間だ。
……でも、そういう説が出るのは仕方ないという考えもオレにはある。それほど、リヴァの日というのは人類史に残る衝撃的な事件だったから。
リヴァの日、別名リヴァの悲劇。
1945年2月4日に起こった、マンハッタンを始めとする枢軸国の主要都市が次々と巨大なクレーターを残して消滅していったという謎の大災害。
その枢軸国は当時の大戦で日本と敵対関係にある国ばかりで、当時はこれが大きな痛手となった。そして、同日に米国首相は会談にて、日本に対する大規模爆撃や当時の最新兵器である核兵器の投入を示唆していたが、この災害により断念。そのまま平和条約へと移ることになったということだ。
この会談がリヴァという神殿で行われたため、リヴァ会談、ひいてはリヴァの悲劇と呼ばれるようになった。その災害の正体は未だ不明で、核兵器開発中の暴発説、日独伊のどこかが超常兵器を使ったという説も少し前まで囁かれていた。その中でも、以前までは隕石衝突説が一般的だが……そのうち宇宙人説が一般的になるんだろうか。
何もかも謎に包まれている災害だが、オレにはこの原因に一つの心当たりがある。いや、正確に言えば
だが、今その心辺りについて考えてもしょうがない。クラスメイトに話せる内容じゃないし、なによりそこまで興味が無い。言うなれば、不毛ってやつだ。オレは話を打ち切るように、机に顔を伏せる準備を始めた。
「興味ない話をするより、担任が来るまで寝てた方が何百倍もマシだ。つーわけで、オレは寝る」
「どんな話してても寝てるくせによく言うぜ。先生来てもオレは起こさないからなー」
結構。
担任が来たら目を覚ますくらいのスキルはすでに習得済みだ。伊達に居眠りばかりしてるわけじゃないからな。
さて、じゃあオレは心置きなく睡眠時間に────
「──ふぅ」
「ぶはっとぉ!?」
「うふふ……すごい反応ねぇ」
「ミ、ミカサ……!」
心地よい睡眠時間の始まりを邪魔したのは、唐突に耳に吹きかけられた息。それをやったのは、人の反応を面白そうに見ている小悪魔だった。
「お前な……! 悪戯でもして良いヤツと悪いヤツがあんだよ! 今のは確実に心臓止まるわ!」
「あらあら。そんなこと言って……本当は嬉しかったんじゃないの?」
「お前の頭はよほど幸せにできてんだな。むしろ寝るのを邪魔されてストレスMAXだ」
「まぁ、怖い」
そんなセリフを吐きながらも、ミカサはクスクスと笑いを浮かべる。こいつ、絶対オレで遊んでやがるな。
……しょうがない。利用するようで悪いが、クラスメイトに適当にパスしよう。確かさっき話してた奴がまだそこにいたはず──
「あれ」
と思って向きを変えるが、そこには誰もいなかった。周りを見ると、さっきまでそこにいた奴がそそくさと離れていた。なんだ、アイツ。
いや、アイツだけじゃないな。よく見るとクラスメイト全員がオレから一定の距離をとっている。……違うな。
「見て、敷島さんよ!」
「相変わらず美人過ぎる……! お近づきになりたくても、近づけないオーラがあるぜ……!」
「あぁ、普通に話せる悟が羨ましい! やっぱ副会長だからか!」
……好き勝手言ってやがる。
オレはチラリと視線を動かしてミカサを見ると、つまらなそうに腕を組んでいた。
「大丈夫よぉ。もう慣れたものだわ」
「……そうか」
そういえば、コイツは入学した時からそうだったな。美人な見た目に秀才の中身、ほとんどの奴が勝手に劣等感を感じて近づこうとしなかった。さらに今じゃ会長の肩書きがあるんだ。多分、全学年の生徒がクラスメイトたちと同じ反応だろうな。
「それに、普通の人と話しててもつまらないもの。あなたと話してる方が何百倍もマシ」
「オレもほとんど一般人なんだが。しかも普段は寝てる分、持ってる話題は限りなくゼロだ」
「
「ナルホド」
まぁ、さっきの攻撃(息)で眠気も吹っ飛んだしな。それに、ミカサとの話はあまり退屈もしない。他の連中も話しかけては来ないだろうし、このままでいいか。
「それで? わざわざ人の耳を狙って攻撃してまで話しかけたってことは、何か話題があるんだろ?」
「……意外と根に持つのねぇ。まぁ、いいわ。話題はもちろん、一昨日の仕事についてよ」
「ここ、教室だぞ」
「みんな離れてるんだし大丈夫よ。わざわざ離れて聞き耳立てるなんて無粋な人もいないだろうし」
確かに、視線だけを動かして見渡してみても、そこにいるミカサを見ているだけで会話に興味を持っているような奴はいない。
ミカサの言う通り距離もあるし、それ以外の話し声もいくらかある。……ストレートに言わなければ、確かに大丈夫そうだな。
「で、なんだ。仕事は問題なく終わったはずだが」
「それでも、反省会っていうのはやらなきゃいけないでしょう? あと、天国ちゃんからの報告を待つっていうのもあるし」
「ああ、そうだな」
オレたち黒金班は、なにも黒金を使ってテロリストを退治すればそこで終わりじゃない。一つの仕事を終えるごとに一回は反省会をして報告書を作らなきゃだし、手錠とかの道具も点検する必要がある。こういう裏方の仕事も黒金班は自分たちでやらないといけない。そこは他の特警と同じってわけだな。……面倒だけど。
「今のところ連絡は?」
「瀬織さんに聞いてみたけど、まだみたいね。まぁ、遅くても今日の夜には来るはずよ。それを待ちながら反省会をやるわぁ」
「天国もマメな奴だからな。確かに落ち着いた頃の連絡は欠かさないだろうから、それがいいか」
オレがそう言うと、ミカサは「ええ」と頷いてから踵を返した。
そして、手を振りながらそのまま歩いていった。
「じゃ、放課後になったらあなたの部屋に集まるからよろしくねぇ」
「ああ、わかっ──おい、今なんつった?」
──キーンコーンカーンコーン
予想していなかったミカサの言葉に、思わず問いただそうとしたが運悪く予冷が鳴る。こうなったら大人しく座ってるしかない。くそ、休み時間まで待つか……。
だが、休み時間の度にミカサはどこかに消えたり、オレの方がクラスメイトに絡まれたりと……色々あった結果、ついに放課後を迎えてしまった。
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「あれ? 今回の資料ってどこやったっけ?」
「別に資料とかいらねージャン。適当に振り返って反省すればいいんだし」
「おい」
「適当とか言うなよ。こういう反省会だって立派な仕事の一つだ」
「さすがツナちゃん。真面目だねー」
「おいコラ、お前ら」
「それが普通よぉ。といっても、反省することがなければする意味も無いと思うけどねぇ」
「ですよね、会長様! 会長様が反省することなんてありませんよね!」
「もう……みんな相変わらずだなぁ」
「ハハハ。それはそれでいいことだと思うけど」
「聞けよ、テメェら!!」
あまりにも人の話を聞かない連中を叱り飛ばすため、慣れない大声を上げる。すると、奴らはきょとんとした顔で一斉にオレの方を見る。
「どしたの、先輩。急に大声出して」
「ストレス溜めんのは勝手だけど、アタシらで発散すんなジャン」
「そのストレスの原因がお前らなんだからお前らで発散して何が悪い。いや、そもそもストレス発散で怒鳴ってるわけじゃない」
大体、オレにとって一番のストレス発散法は寝ることだ。寝れば疲れも取れるしリフレッシュもできるからな。
だが、今は寝てる場合じゃない。
「おい、お前ら。ここはどこだ」
「え!? 先輩、まさか記憶喪しt──!」
──ゴンッ!
「いったーい!!」
「二度は言わん。さっさと答えろ」
「ここはどこ、と言われてもねぇ……」
「寮にあるあなたの部屋だけど?」
「そこが問題なんだよ!」
悪びれる様子も無くミカサが答える。あまりにも率直な答えに、また声を荒げる。
「オレは今帰ったばかりなんだよ! なのに、なんでお前らが部屋の中にいるんだ! どうやって入ってきた、この不法侵入者共!」
「不法侵入なんて人聞きの悪い……。普通に寮母さんから合鍵を借りただけよ」
「思いきり会長権限と色んな嘘を使ってましたけどね……」
「嘘も方便ってね」
何が方便だ。ただの権力と口から出まかせだろう。
「ハァ……もういい。借りたってことはどうせ後で返すんだし、今日だけ許す」
「あれ? 確か会長さん借りたんじゃなくてもらったって──」
「瀬織さぁん? 何か言ったかしらぁ?」
「な、なんでもないです……」
「おい、今のどういうことだ。ミカサ、コラ」
「さ、そろそろ反省会始めるわよぉ」
合鍵の件は後で徹底的に問い詰めるとしよう。というか没収する。
「一昨日のハイウェイバスジャック、何かあるかしら?」
「人質全員に怪我は無し。会長様の黒金で、黒金班の情報が漏れた心配も無し」
「早めに東名の入り口も閉めたから巻き込まれた人もいないしね」
「強いて言うなら……隠れてた奴がいたことを最初に気付けなかったところですかね。今回はロッコのおかげで助かったけど、状況によっては形勢逆転もあり得る」
それぞれがそれぞれの視点で一昨日の仕事について意見を言っていく。オレ以外のメンバーが言ったことで、自然と視線がオレに集まる。早く終わらせるため、オレも言うことだけ言うか。
「あとは確保の時だな。ナイフを持っていたことに気付かないで油断していた結果だ。処罰があれば受けるからそのまま書いといてくれ」
「この程度で処罰になんてならないと思うけど? ま、次から気を付けてちょうだぁい」
「了解」
失敗を下手に隠そうとしたところで意味は無い。明るみに出れば罰は重くなるし、正直に認めてしまえば印象だって少しは良くなる。世の中、素直さが大事ってな。
「……はい、後は私がまとめとくわぁ。反省会は終わりよ」
「お疲れ様でーっす!」
「いつもすみません、会長」
「会長様、何かお手伝いできることは……」
「やめておけ。間違ってパソコンを握られたら大損害だ」
「んだと、コラァ!」
こういう書類関係は大体ミカサが担当している。瀬織はアホだし、国綱も剣術以外はからっきし。伊号は今言った通りのことが心配だ。
ちなみにオレは人並みにはできるが、ミカサと比べればスピードも内容も決定的に劣る。だからミカサが担当しているというわけである。
「ところで、天国から連絡は来たか?」
適当に伊号の怒りを流しながら、瀬織と国綱に確認する。天国が連絡するとしたらこの二人のどちらかだろうからな。
すると、二人は途端に目を伏せた。……何かあったのか?
「実は……まだなんですよね」
「まだ? 第一も授業は終わってるはずだし、来てもおかしくない時間なんだがな」
携帯で時間を確認すると、あと小一時間くらいで夕食を食べるような時間だった。クラスメイトと一緒にいるのかとも考えたが、真面目な天国の性格を考えればその前に連絡するはずだ。
──ガッ!
「ん?」
この二人がそのタイプの冗談なんて言うはずはないしな……なんて考えていると、急に瀬織がオレの腕を掴んできた。
……面倒な予感。
「せんぱぁぁぁぁい! どうしよぉ! テンちゃん、何かあったのかな!? 怪我したのかな!? 心配だよぉぉぉぉ!!」
「け、怪我……!? 天国が、怪我……!」
「汚いから鼻水と涙拭け。あと国綱。アイツが怪我とかほぼあり得ないだろ。不安がるな」
近くにあったティッシュボックスを押しつけると、瀬織は勢いよく鼻をかみ始めた。こいつ、女らしくするとか絶対に無理なタイプだな。一方、国綱は……シスコンとしか言えないな。コイツは天国のこととなると本当に心配性だ。
「大方、例の
「……あー」
「それは、確かに……」
オレの意見を聞いて、一気に冷静さを取り戻す瀬織。国綱も思わず納得しているようだった。
実は今回の転入だが、天国が立候補した理由にはこの婚約者が大きく関わっている。オレは深く知らないが、なんでも第一学園には子どもの時に結婚を約束した婚約者がいるんだとか。天国にとってその婚約者は絶対の存在で、半端な気持ちでその話題に触れようものなら必ず後悔するレベルで妄信している。
「……まぁ、天国ちゃんについてはもう少し様子を見ましょう。もし連絡がずっと来なかったら、こっちからすればいいだけなんだから」
と、そこでミカサがパンパンと手を叩きながら話を終わらせる。まあ、下手に話を続けても二人が無駄に心配するだけだろうし、正解だな。
そうなると反省会もお開きだな。思ったよりも早めに終わって助かった──
「さて、それじゃそろそろ夕食にしましょうか」
──ん?
「時間もちょうどいい頃ですしね、会長様」
「なんか一気にお腹すいちゃった~」
「さっき思いっきり泣いたからじゃないか? ……そういうオレも減ってるけど」
「というわけだから、よろしくねぇ?」
……待て。
なんでそれをオレを見ながら言う? まさかとは思うが……
「……オレに作れと?」
『うん(はい)』
見事なまでに声をピッタリ揃えるミカサたち。なるほど、満場一致ってか。
なるほど、なるほど……
「ふざけんな!!」
正直やっていられず、部屋に戻った時同様に怒鳴り声を上げる。だが、当のミカサはきょとんとした顔でオレを見ている。
「なんでオレがお前らの分まで作らなきゃいけないんだ。勝手に人の部屋に押しかけといて、さらに飯まで作れだと? どれだけ図々しいんだ」
「だってここ、あなたの部屋でしょう? 部屋の持ち主じゃないと勝手がわからないじゃない」
「そもそも反省会をオレの部屋で始めたこと自体に問題があると思うんだが」
「帰ってからどこかに行く必要がないんだから、一石二鳥だと思うわよぉ?」
改めて文句を並べても、のらりくらりとミカサはかわしていく。
……はぁ。
「何か食いたいものは?」
「え? 先輩、いいんですか?」
「ミカサに乗っかってたくせに何言ってんだ。あくまでついでだ。それに、お前らにメニューを決めてもらえれば後で考えなくて済むしな」
「……ツンデレ?」
「殴るぞ」
さっき頷いていた国綱が今さら動揺しているが、もう面倒だ。どうせ何言っても作らされるんだろうから、こうなったら楽できる部分は楽させてもらう。自炊してるから作るのにも慣れてるしな。
人のことツンデレとか言った瀬織は何かの合間に殴っておくが。
「ああ、言っとくが伊号もリクエストしていいからな。お前のアレルギーは把握してるから、それに合わせて作る」
「べ、別に頼んでねージャン……」
「うふふ、さすがねぇ」
一応、知り合いの誰が来てもいいようにはしているから問題は無い。一人だけ質素だったり、食べられなかったりしたら気の毒だしな。
さて、帰ってから色々あったが気にしても仕方ない。反省会も終わったんだし、そのまま食事会というのも悪くはないか。
オレは一通りリクエストを聞き、キッチンで食事会の準備を始めた。
~おまけ~
「ミカサ、部屋の合鍵よこせ」
「……どうして?」
「お前が持ってると不安しかない。また勝手に入られても困るしな。さ、早くよこせ」
「心配性ねぇ……。(ゴソゴソ)はい、どうぞ」
「……意外に素直だな」
「まあねぇ」
(ねぇ、会長が渡したのって……)
(ただの鉄屑……だよな)
(黒金使ったってことジャン。さすが会長様……)
渡された合鍵がニセモノだと悟が知るのは……少し先の話である。
「……あ、そうだ。おーい、瀬織」
「ん? どしたの、先輩」
──ゴンッ!
「痛ァァァァァ!? ちょっと! なんで殴ったの!?」
「自分の胸に聞け」
~終わり~