クロガネ回姫譚-不動不朽-   作:冷目

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前回投稿が……9月
3ヵ月空けての投稿、申し訳ありませんでした!!
もう一方の作品に集中するばかりで、こっちまで手が回りませんでした……
これから取り戻していければ、と思っております……
さて、今回は第一メンバー……原作主人公サイドの方々についての話となっています
登場はしませんが名前だけ、といった感じです
では、どうぞ!





白銀正宗という男

 1月11日(日)

 

 

 

 白銀正宗という男について、オレが知っていることは少ない。

 今知っている限りの情報をまとめると、以下の通りとなる。

 

 ①第一学園黒金班の副班長

 ②天国の婚約者

 ③あだ名はムネちゃん

 

 の3つだ。……正直、③についてはどうでもいいんだが。

 オレと同じ黒金班であること、そして天国と深いかかわりがあることなど、意外にもそれなりに共通点が見つかったことでオレの興味は白銀正宗に向いていた。

 そこで、オレよりも確実に知っているであろう人物のところへとオレは向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 目当ての人物は、オレの予想通り学園にいた。オレは定位置にいるそいつに声をかけ、端的に目的を告げた。

 

 「第一黒金班の資料を見せてほしい?」

 「ああ」

 

 目当ての人物……ミカサは日曜だというのに会長室にいた。さすがに私服だが、やっているのは黒金班関係の仕事のようだった。

 日曜という絶好の休日にオレが学園に来たことに驚いていたミカサだったが、オレの目的について聞いてさらに目を丸くしていた。

 

 「どういう風の吹き回し? 急に第一黒金班に興味を持つなんて」

 「黒金班に、というよりは向こうの副班長にだな。どんな奴か知りたいと思って。んで、お前なら簡単な資料くらい持ってるだろうと思って来た」

 

 オレは隠すことなく簡潔にここまで来た経緯を説明した。すると、ミカサはクスクスと笑って首を傾げてみせた。

 

 「副班長に、ねぇ……。まぁ、いいわ。ちょっと待っててちょうだい」

 「仕事中なのに悪いな」

 「構わないわぁ」

 

 そう言うと、ミカサは机の中から分厚いファイルを取り出してファイリングしてある資料を何枚か取り出し始めた。

 オレは素直に会長室のソファに座り、ミカサの準備が終わるのを待つ。といっても資料をファイルから出すだけなので大した時間はかからなかった。

 

 「はい。基本的なプロフィールくらいしか書いてないけど、第一黒金班全員分の資料よぉ」

 「ありがとな。……って、どこか行くのか?」

 

 資料を受け取ると、ミカサはそのまま扉の方へ向かって行った。てっきり仕事に戻るかと思っていたから声をかけると、ミカサはパチリとウィンクして呟くように言った。

 

 「い・い・と・こ・ろ……よ」

 

 それだけ言って、ミカサは会長室の外へ出ていった。……相変わらず行動が読めない奴だ。

 つうか、「いいところ」ねぇ……。あんな言い方だと18禁関係しか思いつかなくなってしまう。オレだけではないはずだ、うん。

 

 「ま、今は資料資料っと」

 

 せっかく全員分出してもらったんだ、一通り目を通しておくか。

 メンバーは……6人。今は天国がいるから7人になってるわけだな。目当ての副班長は男だし、最初は女性陣からいくとするか。

 

 「まずは……村雨(むらさめ)伏姫(ふせひめ)

 

 パッと見で視界に入ってきたのは、オレンジ色に近い暖色系の色をした女子。後ろ髪を輪っかのように束ねており、アホ毛……もといピンとはねている髪が特徴的だな。所属するクラスの委員長も務め、人望も厚い。正義感の強さから学園に入学……なるほど。

 ……それにしてもデカいな。まぁ、何がとは言わないが……わかるよな?

 

 「ん……さすがに黒金の情報はないか」

 

 黒金班なら黒金を持っていることはほぼ確実だ。だが、こんな資料に軽々しく載せるような内容の話でもない。

 

 (もしかして、ミカサが天国をスパイに出したのは第一の黒金の情報を探るため……?)

 

 わざわざ第二黒金班の存在を隠すようなことをしていたミカサのことだ。どうせ接触するなら少しでも多くの情報を得ようとするはず。やれやれ、怖い女だ。

 

 「さて、次だ。次は……石神(いしがみ)虎鉄(こてつ)

 

 パーカーを被っているから見にくいが、黄色で肩くらいまで伸びた髪をした小柄な女子だ。さっきの伏姫って子も美少女ってレベルだが、こっちはまさに小動物系美少女って感じだな。

 ……って、この子1年? 1年で黒金班として活動するとは……俗に言うエリートってやつか。学園に入学した理由は「詳細不明」、か。どうやら色々とあるらしい。

 

 「女子は次で最後だな。えっと、船阪(ふなさか)玉鋼(たまね)……船阪?」

 

 紫色で綺麗にまとめられ、凛とした雰囲気を写真越しにも感じる美女。この佇まい……どうやらあの船阪で間違いないようだ。

 かつて「軍神船阪」とまで呼ばれた軍人の家系……船阪。今でもかなりのお偉いさんだという話をミカサから聞いたことがある。……へぇ、この人も陸軍に所属しているのか。学園にいるのは編入したからとのこと。現役の陸軍だっていうなら、純粋な格闘戦だったら脅威になる相手だな。

 

 「さて、後は男子だ。……随分と目立つ奴がいるな。名前は……大包(おおかね)(たいら)

 

 深緑色でオールバックの髪型をした、学生とは思えないほどガタイのいい強面男子。さらに、顔の至る所にある傷がその迫力を増させている。眼鏡をしているから真面目そうにも見えるけどな。

 こいつは明らかに殴り合いとか力仕事専門って感じだ。力で全部蹴散らす……男らしい奴だな。

 

 「次は……お、この人が班長か。天照(あまでら)一期(いちご)……って、天照!?」

 

 桃色で、男子にしては長めの髪をした美男子。黒金班班長であり、第一学園の総長……一般の学校で言う生徒会長を務める有能な生徒とのこと。だが、それよりも彼の姓である「天照」に注目してしまう。

 

 「天照ってやっぱり……天照コンツェルンの天照だよな。会長の息子……ってところか」

 

 ジパングの軍需産業で第二位の総合重工会社、天照コンツェルン。天照なんて苗字はそうそうあるもんじゃないし、間違いなくそこの人間だ。会長の息子って考えると、次期社長だな。つーことはセレブ、金持ちサイドの人間だな。

 

 「なんか、第一の黒金班には結構な人間が揃ってるな。オレだったら息が詰まるかも」

 

 軍神船阪と天照コンツェルン御子息……住んでる世界が違いすぎる人間が二人いるなんて、想像できない。おまけに同学年だ。もし顔を合わせたら……確実に話しかけられるだろうな。うん、怖い。

 

 「いや、不安なことを考えても仕方ない。どうするかはその時に考えればいい。今できることをやらないとな」

 

 そう、オレが今するべきことは(個人的なことだが)情報収集。そして、最後の資料に乗っている人間こそ、目的の人物……

 

 「白銀正宗……」

 

 適度にセットされた黒髪に、顔には目立つ古傷。古傷を除けば、学校に一人はいそうなイケメンだ。まぁ、顔はいい。問題はどんな人間か、だ。

 

 「……ふーん。対人面に若干の難あり、金銭面に異常ともとれるこだわり、か。ドケチの守銭奴……ってやつだな」

 

 どうやら中身は割と残念な奴らしい。天国から聞いた話とは少し違うな。……まぁ、あいつのことだから美化されてるんだろうが。

 

 「だが、あらゆる知識に優れ、状況判断能力も学生とは思えぬほど高い……。なるほど、それが副班長と現場の指揮を任されている理由か」

 

 敵に回したくないタイプだな。裏をかこうにも、さらにその裏をかいてくる……なんてこともあり得そうだ。こっちにはミカサがいるが、こいつはどうなんだろうな。

 一般学生と比べて優れている程度か、それともミカサよりも……

 

 ──ガチャ

 

 「会長様、失礼しま──って、繰銀だけかよ。クソ」

 「あのな、いくらオレでも傷つくからな? その態度の変わりっぷりはやめてくれ」

 

 ちょうど読み終わったところで扉が開き、伊号が入ってきた。最初は笑顔だったが、中にいるのがオレだけだとわかった途端、しかめっ面になりやがった。

 ま、こいつはそういう奴だってわかってるけど。

 

 「会長様は?」

 「いいところ、とやらに出かけた」

 「どこに行くかくらい聞いとけっての……。で? アンタは何してんのさ」

 

 あいつのことだ。どうせ聞いてもはぐらかされたに決まってる。

 っと、そんな文句を伊号に言っても怒りを買うだけだ。オレは持っていた資料をピラピラと見せた。

 

 「ちょっと第一について気になってな。ミカサから資料を借りて読んでた」

 「へぇ、珍しいジャン。今日は槍でも降ってきそう」

 「そこまで珍しくないだろ。降るとしたら、お前がミカサから卒業した時だ」

 「アタシが会長様から離れるワケねーだろうが!」

 

 避けたはずの地雷のスイッチが入った……。ミカサが絡むと本当に面倒くさい奴だな、伊号は。

 

 「落ち着け。それくらいお前のミカサに対する気持ちは真剣なものだって意味だ。そこまで大事に思われて、ミカサが羨ましいぜ」

 「なっ……!? あ、当たり前ジャン! アタシは会長様のためならなんでもするからな!」

 

 伊号の地雷、不発に終わる……ってか。あぁ、助かった。我ながら上手いことを言ったものだ。次からも同じようなこと言って落ち着かせるとしよう。

 しかし、ひとまず資料も見終わったし、これからどうするか。資料を返すからミカサが帰ってこないとどうにも──

 

 ──prrrrrr!

 

 「ん?」

 「あ?」

 

 突然、会長室の電話が鳴る。ここは学園の一室といっても、ミカサのプライベートルームみたいなものだ。だから、ここの電話にかけてくる人間なんて一部の人間だけ。

 オレが出ようかとも思ったが、その瞬間に伊号が受話器を取った。ま、楽できたからいいか。

 

 「はい。……ああ、古河(ふるか)警視」

 (SWAM(スワム)の女リーダーから、か。ってことは間違いなくクレームだな。ああ、本当に伊号が出てくれてよかった)

 

 SWAMは、警視庁が独自に組織したテロの実行制圧チームのこと。

 Special

 Wide area

 Assault

 Members

 この頭文字をとってSWAMだ。

 

 「会長様ですか? 今は不在です。……えぇ、いつものようにふらりと出かけられたので、いつ戻るかはわかりません」

 

 組織された当初は東京都内の活動を想定していたが、今となっては活動範囲は全国区。テロの制圧が目的のため、オレたち黒金班とその目的も被っているし、さらに警視庁は特警庁に対して優先的に情報を受けられるという特権がある。早い話、協力関係とは言い難い関係だ。

 黒金を持たないが、EMP環境下でも使用可能の武器と実戦向きの精鋭が揃った黒金班と同様に十分なテロ制圧が可能。学生の黒金班と大人のSWAM……特権のこともあり、向こうはこっちを下に見ているだろうな。

 

 「……ぐふ、わかりました。伝えておきます……では」

 

 この電話をかけてきた古河警視はそのSWAMのリーダー。そんな人間が黒金班班長であるミカサに連絡してきた……その内容がクレームってことは察するが、この繋がりについてはオレはよく知らない。ミカサに聞いてみたことがあるが、「知り合いは多い方がいいでしょう?」と適当にはぐらかされた。

 友好的じゃないSWAMのリーダーと繋がりを持つ……ミカサの考えていることは、相変わらずよくわからない。

 

 「ったく、メンドくせ……」

 「お疲れ。予想はできるが……なんだって?」

 「都内で事件が発生して、第一が出てきたって。東京近郊の事件はアタシたちが受けるから第一をシメ出せるはずだろ……って感じジャン」

 「やっぱクレームか」

 

 ミカサを怖いと言ったが、ある意味じゃこの古河警視も怖い存在だ。女性でありながらSWAMなんていうチームをまとめてるくらいだから相当実力がある。その実力も怖いが、あの人は物言いがかなり厳しい。言うなればクールビューティというやつだ。

 まとめると……女は怖いってことだな、うん。

 

 「まぁ、リニアがあるからな。第一も出てくるだろうさ」

 

 テロっていうのは当然のことながら、経済が密集する場所で起こりやすい。日本で言うならば東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、博多あたりだ。だが、第一学園は岐阜だ。そういった場所に遠出する場合は地下にある直通リニアを使っているという話だ。まぁ、オレたちも使えるけど。

 岐阜から東京。約300kmを30分以内に移動できるので、移動手段としてはかなりのものだ。

 

 「こっちには会長様もいないし、どちらにしろ出れないジャン」

 「そうだな。それに、向こうは何かあって集まっていたのかもな。だから出てこれた」

 「つまりたまたま、ってことジャン」

 「……たまたま、ね」

 

 果たして本当にたまたまか。もしかしたら、全部……

 

 「……考えすぎかな」

 「あ?」

 「いや、今ごろミカサはどこで、どんなあられもない姿になっているのかと──」

 「ブッ、ブブブブッ殺す!!」

 「鼻血出てるぞ、お前」

 「う、嘘!?」

 「嘘」

 「死ね、ゴラァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「……なるほど。中々、賢い方のようねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「白銀正宗……。私も、興味が湧いてきたわぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




SWAM
 警視庁のテロ対策チーム。黒金班との関係は険悪に近い。

以上、第一黒金班のプチ紹介でした
SWAMについては……まぁ、ライバルみたいなものと考えてください
もちろん友好的なライバルではありませんが
次回から少し、序盤のメインに向けてのオリジナル展開をしていきたいと思います
お楽しみに!
次回はもっと早めに……!

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