クロガネ回姫譚-不動不朽-   作:冷目

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お久しぶりです! そして、あけましておめでとうございます!
ひっそりと、のっそりと更新しており……すみません
最近、原作をプレイし直して気付いたことが一点
全ルートクリア後にチュートリアルに入るとまた内容が変わってるんですね、知りませんでした
自分の無知っぷりを改めて思い知りました……
そんな今回も書いている途中で無知だったことを痛感しました……
では、どうぞ!





鏡ヶ原

 

 

 

 1月14日(水)

 

 

 

 ──グン!

 

 「うおっと!」

 

 普通に生活している以上、絶対に感じることはないレベルのGで身体が大きく揺れる。これはそこら辺の絶叫系アトラクションなんて裸足で逃げ出すレベルだな……。

 

 「さすが黒金班お抱えのリニア……。実のところ半信半疑だったが、岐阜から東京まで30分ってのも本当みたいだな」

 

 オレは今、黒金班が遠出の際に利用する地下の直通リニアに一人で乗っている。というのも、ミカサからの急な依頼で第一学園に向かうことになったからだ。

 その内容……一応のメインは第一学園のとある教員への伝言。この教員というのも、もちろん普通の教員じゃない。第一学園黒金班の教官を務める、れっきとした黒金班の関係者だ。

 

 (ミカサの話じゃ相当にデキる人らしい……。あと、めちゃくちゃ美人な大人の女性だとか)

 

 わざわざそういう情報を教える辺り、ミカサは何を考えているんだか。しかもご丁寧なことに、「ノーマルだからあなたの期待している展開はないと思うわよ?」なんて言っていた。

 オレ自身、女に興味が無いわけじゃない。ただ、男と付き合うことより女同士でキャッキャウフフしてる方が何倍も興奮するだけだ。だから、いくら美人でも女同士のイベントがないのなら興味はかなり失せる。

 

 (つうか、ノーマルかそうじゃないとか……どこ情報だっつの)

 

 適当に言っただけかもしれないが、ミカサだからなぁ……。しっかり調べたんじゃないか、って考えてしまう。

 

 「……あ。そういえば、国綱たちに何か買ってった方がいいか?」

 

 考えてみれば、今日は一度も国綱たちと顔を合わせていない。日中は普段通り学園で過ごしていたが、学年も違うから学園で会わないのはわりとある。放課後になってリニアに乗る時も、見送りはミカサ一人だけだった。一応、国綱たちに伝えてあるのか聞いてみたが、「後で伝える」とのことだった。

 まあ、鏡ヶ原に行くーなんて言ったら国綱や瀬織は絶対に行きたがるだろうな。第一学園とか以前に、天国の顔を見に行けるんだから。

 

 「ま、天国の元気そうな写真でもあればいいか」

 

 適当に考えながら、オレは辺りを見渡す。このリニア、速いのはいいんだが……一人で乗るには暇すぎるな。通ってるのは地下だから窓からの景色なんて皆無だし、内装だってほとんど無機質なものだ。二人ならまだしも、一人だと時間の潰しようがない。

 

 「30分で着くとなると、寝るわけにもいかないしな……」

 

 暇なのに寝れないとは、なんという生き地獄。

 しょうがないから、オレは到着まで第一学園の美人教官の顔をひたすら想像していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「第二学園黒金班所属、繰銀悟だな? 私が第一学園黒金班の教官を務める切丸(きりまる)祢々(ねね)だ。第二とはいえお前も黒金班である以上、私のことは切丸教官と呼ぶように」

 「…………」

 「……なんだ? 私の顔に何か付いているか?」

 「想像力の乏しさを痛感しました、すみませんでした」

 「はあ?」

 

 鏡ヶ原に到着したオレを出迎えた切丸教官の顔を見た瞬間、オレは全力で90度に頭を下げた。

 寒色系の髪を肩まで伸ばし、優雅に整えていて、服の上から出もわかる出るところは出ていて引っ込むところは引っ込んでいる抜群のプロポーション。キリッとした眼に口下のホクロが、より魅力を引きだしているようにも見える。

 ……この人、教官じゃなかったら絶対にモデルとかなってる。羨ましいな、第一学園……!

 

 「……まあいい。お前が来ることはすでに連絡を受けている。学園が終わってすぐにこちらに来たから疲れているだろうが、このまま第一学園に来てもらうぞ。伝言の件、学長も何事かと待っているからな」

 「あ、はい。了解しました。よろしくお願いします」

 「うむ、ついてこい」

 

 でも、なんかこの人からは大人の色気……みたいなのを感じないな。プロポーションとかはミカサ並だし、年齢もいい具合だろうし。う~ん……。

 

 「…………」

 (い、いいのかな……。学園終わってすぐに来たんだから、どこかで休ませるべきだったかな? 初対面から冷たい先生って思われてたらどうしよ……)

 「…………」

 (だが、自分はあくまで教職に就く人間で彼は生徒だ! ましてや特警学園の三年生だ! 社会に出ることも踏まえ、少しずつでも厳しくした方がいいはず……!)

 「…………」

 (で、でも……)

 

 なんでだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ここが」

 「見るのは初めてか? そう、ここが私立鏡ヶ原特殊高等警察養成第一学園だ」

 

 切丸教官についていって到着した場所は、パッと見は山奥にある普通の学園だった。それでも、ちらほらと見える帰路につく学生の姿はオレと同じ、見慣れた制服を着ている。

 あと違うところといえば……

 

 「……学園の目の前に診療所、ですか」

 「ああ、あそこは特別だ。第二のお前でも、黒金班なら噂くらい聞いたことあるんじゃないか? あそこは杉本診療所。黒金の精製についての研究を任されている国内でも唯一の施設だ」

 「あそこが……」

 

 よく見ると、確かに表の看板には達筆な字で「杉本診療所」と書かれている。この杉本診療所については、オレたち第二学園黒金班も存在くらいは知っている。

 一般的には普通の診療所で通っているが、オレたちが使っている黒金の精製を一任されている特別な施設。オレたち黒金班が使っている黒金もほとんどがあそこの診療所で生まれたとかなんとか……って話だが、よくは知らない。

 

 「まあ、診療所のことは今はいい。個人的に興味があるなら、滞在中に話でも聞きに行けばいい。受け入れてもらえればの話だがな」

 「……そうします」

 「さ、行くぞ」

 

 ま、教官の言う通り今のオレにはあまり関係ない。オレがするべきことは学園内ですることだからな。

 オレは再び切丸教官についていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「な、長い……」

 

 オイオイ……「ここで待て」って言われてから結構な時間が経ってるぞ? この殺風景な教室に取り残されて放置プレイとか……誰得だっつー話だよ。

 窓から見る限り、学園に残った学生の数も少なくなってきたみたいだし……なんか不安になってきた。

 

 ──ガラッ!

 

 「待たせたな。では、行こうか」

 「あ……はい」

 「……そんな露骨に疲れた顔をするな」

 

 おっと、顔に出てたか。いや、出てもしょうがない。一時間近く待たされてたんだ、こっちは。

 何かの手続きか、何かを待っていたのか知らないが、一人で待たされるこっちとしてはかなり辛い。

 

 「……ところで、今はどこに向かってるんですか?」

 「学長室だ。第二学園の会長から、伝言は直接学長にとのことだからな。だが、私とあともう一人、第一学園の黒金班班長が立ち合わせてもらう」

 

 班長……っていうと、天照一期か。早くも第一黒金班メンバーと顔合わせとなるとはな。

 しかし、学長、切丸教官、天寺家御子息って……庶民のオレには辛い現場になりそうだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「失礼します。学長、繰銀悟を連れてまいりました」

 「おお、待っておったよ。さ、入りなさい」

 「失礼します」

 

 深く一礼して、中に入る。見ると、中には例の資料で見た通りの美男子が一人と、車いすに座った初老の男性が一人、こちらを見ていた。

 美男子の方は第一黒金班班長の天照一期。車いすの方は……知らない方がおかしい。

 

 「いやぁ、待たせてしまってすまないね。元々、天照君には立ち合ってもらう予定だったんだが、ちょっと色々あってね。それが終わるまで余計に待たせてしまった」

 「いえ、大丈夫です」

 

 申し訳なさそうに話すこの人物。この人物こそ、この特警学園の学長であり学園創設者でもある関孫六氏。顔は知っているが、こんなに近くで話すのは初めてだ。めちゃくちゃ緊張する……。

 つか、オレが待たされた原因は班長様のせいか。……ま、班長ともなれば色々ある。それにコイツは会長も務めてるんだ。忙しいのはしょうがない……

 

 「彼の熱心なファンの子が大勢彼を引き止めてな。彼がそれを説得するのを待っておったんだよ」

 「あ、すみません。なんだか怒りがこみ上げてきました」

 「……学長」

 「ほっほっほ。冗談じゃよ」

 

 なんだ、冗談か。まぁ、わかってたけどね。思わず拳を握っちゃったけど……わかってたよ?

 

 「初めまして。第一学園黒金班班長の天照一期です」

 

 とかなんとか考えていると、天照がオレの前まで移動して自己紹介を始めた。

 爽やかな笑顔に流れるような動作で握手を求める……モテる男の所作ってやつか。

 

 「第二学園黒金班所属の繰銀悟。よろしく頼む」

 「こちらこそ」

 

 がっしりと握手を交わす。……コイツの手、なんというか女子みたいに柔らかいな。

 さすが、セレブは男だろうと肌のお手入れは入念なのか。

 

 「さて、早速だが本題に入ろうか。今回、君が第二学園黒金班班長の敷島ミカサ君から預かってきた伝言を聞かせてもらいたい」

 

 ……来たか。学長が腕を組んで、真っ直ぐとオレの眼を見る。

 横目で見ると、天照と切丸教官も真剣な表情を浮かべている。こういう空気、苦手なんだよなぁ。

 

 「……では、単刀直入に」

 

 ま、話すべき内容はシンプルなものだ。だが、シンプルだからといって軽い内容じゃない。

 オレは大きく息を吸い込んでから、ミカサから伝えられた言葉を聞いたままに伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「──私たち第二学園黒金班は、第一学園黒金班との共同作戦の実施を提案します」

 『──ッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレが口を開いた瞬間、オレ以外の人間の顔が強張った。だが、こうなるのも仕方ない。

 今までその存在を勝手に隠してきた側の人間が急にやってきて、「一緒に仕事しよう」なんて話を持ちかけてきたのだ。不審に思うのも当然だ。

 だが、だからといって無視できる案件でもない。

 

 「……共同作戦か。いずれは、と考えていたが……まさか第二学園から申し込んでくるとはな」

 「えぇ。しかも、こんなに早く……」

 

 第一学園と第二学園。同じ特警の学園であり、同じ黒金班という秘密裏の組織。協力関係を築くべきなのは当然のことだが、最初に存在を隠していたこともありスムーズには行きづらい現状だ。

 眉間にしわを寄せる天照や教官をよそに、オレは会長に手土産(・・・)を手渡す。

 

 「……これは?」

 「その共同作戦の詳細です。あくまで仮の、ですが」

 「ほう……」

 

 オレが渡した数枚のA4用紙を、学長は興味深そうに眺める。隅から隅まで、それでいて素早く読み進めていき、読み終わった部分を教官や天照に渡している。二人も真剣な表情で資料を読み進めていき、少しだけ沈黙が流れる。

 そして、全員が一通り目を通す。

 

 「一昨日に千葉で起きた、政府用の薬品貯蔵庫を襲っての薬品盗難事件。その手口から、テログループであるブルードラゴンが主犯とされているが……その拠点の襲撃任務とはな」

 

 教官が内容を簡潔にまとめての確認を始めた。こういう理解力の高い所を見ると、本当に仕事ができる人なんだな、と改めて思う。

 そして、教官同様に理解力に優れた人物がもう一人。

 

 「今まで黒金班が行ってきた仕事とは真逆の内容ですね。本来なら、テロが起きてから国防のために動く『守り』の作戦こそ黒金班の仕事ですが、これは言ってみれば『攻め』の作戦だ」

 「……ご名答」

 

 伝言を伝えられた時にミカサからある程度の説明は受けたが、その時にミカサが言っていたのとほとんど同じ言葉を口にする天照。さすが黒金班班長。頭はミカサ並にキレるか。

 オレは補足するように、ミカサから口頭で受けた言葉を伝える。

 

 「盗まれた薬品から考えると、ブルードラゴンはプラスチック爆弾を所持していると考えられます。その量は……おそらく数トン」

 「使い方によっては……東京の全機能が停止するな」

 「だが、プラスチック爆弾ならEMPで無力化できる。だからこそ黒金班に仕事がきたわけだが、それなら第二だけで事足りる。つまり、この資料には載っていなかったが、わざわざ共同作戦をとらなければいけないほどの理由があるのだろう?」

 「……仰る通りです」

 

 さすが学長。その話に持っていくつもりが、先に話を振られた。

 そう、プラスチック爆弾だけならEMPを使えば簡単に制圧できる。学長の言う通り、共同作戦をとらないといけない理由がある。

 ……この仕事の難易度をはね上げている大きな理由が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……敵は現晶(・・)を保持していると考えられます」

 『!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレの言葉に、共同作戦を伝えた時以上に驚いた様子を見せる三人。しかし、次の瞬間には納得の表情を浮かべていた。……本当に理解力がすごいな。

 

 「……なるほど。そう考えれば、共同作戦を行うのにも納得だ」

 「ですが、ブルードラゴンはどこで現晶を……?」

 「まあ、今は出所を考えても仕方あるまい。そもそも、現晶は古来より様々な場所に存在していた。人の手に渡っても不思議はない」

 

 そう、議論すべきなのは「どうやって手に入れたか」じゃない。「どうやって阻止するか」だ。

 黒金と違って完全な天然物で、黒金以上の規模の事象の再現を行う現晶。そんなものが数トンの爆弾を作るようなテログループの手にある。生半可な方法じゃ止められない。

 だからこそ、第一と第二で動く必要がある。

 

 「爆弾と現晶……この二つを相手にする以上、第二学園黒金班だけでは人手不足。第一学園に協力してもらえれば、確実な作戦を行えます。不審に思うところはあるかと思いますが……お願いします」

 「…………」

 

 最後に、伝えるべきことを全て伝えて深々と頭を下げる。オレにできるのはここまで。後は第一学園側の判断だ。

 ……といっても、結果はわかりきってるようなものだけどな。

 

 「……ふむ、互いの懇親のためにもちょうどいい機会だしな。よろしい。今回の共同作戦、わしが許可しよう」

 「ありがとうございます」

 

 ま、今までコンタクトをとろうにもとれなかった相手と一緒に動く機会なんだ。これで断るとしたら、自分のプライドしか目に入らないようなバカだったというだけだ。

 そして、この人たちはそんなつまらない人間じゃないことはオレでもわかりきっている。

 

 「作戦の開始日は……資料にもあった通り明々後日か?」

 「はい。敷島会長曰く、ブルードラゴンが動くとしたらその日だと」

 「となると、第一のメンバーに伝えるのは前日がちょうどいいか」

 「そちらはお任せします」

 

 作戦の実行日については資料にも記載されているが、その理由についてはオレもまだ知らされてはいない。だからツッコまれなくて助かった。

 まあ、ミカサのことだ。オレが帰った頃に説明はするだろう。

 

 「では、この話はいったん終わるとしよう。ところで繰銀君はこれからどうする? 明日まで滞在すると聞いているが、宿はどうするのかね?」

 「事前に予約を取ってあるので、そちらに向かいます。明日はせっかくなので町を見つつ……可能ならば第一学園黒金班の方々にご挨拶をと」

 「おお、それはいい。天国君の加入もあり、彼らも第二学園について気になっているだろうからな」

 

 この流れだと、明日の放課後くらいに学園に来たらすんなり会えそうだな。そこまで長話をすることも無いだろうし、帰るのはその後で十分か。

 

 「それでは、失礼します」

 「うむ。……おお、そうだ。天照君、彼を送っていってくれ。まだ地理に不慣れだろうからな」

 「はい」

 

 オレが一礼してから学長室を出ようとすると、学長の心遣いで天照がついてきた。玄関までの道は来た時に覚えたから迷うことは無いと思うが……まぁ、いいか。

 オレと天照は学長室を出ると、そのまま玄関に向かって歩き始める……かと思ったが、天照はオレの方に向き直って手を差しだしてきた。

 

 「改めて、天照一期です。これから、よろしくお願いします」

 「……あー、そんな丁寧にしなくていいって。どうせ同年代だし、同じ黒金班なんだ。楽にしてくれ」

 「ふふ、そうかい? なら、改めてよろしく。繰銀君」

 「おう」

 

 オレと天照は再び握手を交わす。何度触っても女みたいな手だなー。

 そのままオレたちは学園を出て、オレが泊まる宿まで案内してもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「繰銀悟……黒金『無血』の持ち主、か」

 「誰にも適合されないと思われていた、孤絶の黒金……『無血』」

 「彼がどこまで使いこなせるか……ふふ、実に興味深い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、原作をプレイしている方なら「ん?」と思ったことでしょう……
そう、事件が起きた日が原作と違うのです
本来なら14日の夜に起きて共同云々となるはずが……突っ走って先に動いていました
そのため、先に事件が起きていたことにさせていただきました
原作への理解が足りないための事態で、申し訳ありません
次回からはこのようなことが無いよう気を付けます
反省で始まりましたが、今年もよろしくお願いいたします!


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