Fate/Problem Child Order   作:ザイソン

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騎士王と正体不明

アーチャーを十六夜が倒して洞窟の奥に進む。

 

水滴がポツポツと落ちてくるがダイレクトで十六夜にだけ当たっている。これが水難の相である。

 

「・・・あの、キャスターさん」

 

「あん?どうした?」

 

マシュは不安そうにキャスターに尋ねた。

 

「・・・私に、防げるのでしょうか。その、名高きアーサー王の聖剣を・・・」

 

「そこはガッツと気合いで乗り切るしかねえな。お嬢ちゃんが宝具の相性は抜群にいい。その盾が壊されることはないが、逆に言えば盾を支えるお嬢ちゃんがヘマをすりゃ全員全滅だ。坊主もだぞ、"聖剣に打ち勝つ"なんて考えるなよ?セイバーを倒すことを考えるんだ」

 

聖剣から真正面から打ち破れるのはおそらく十六夜しかいないだろう。

 

『十六夜君の宝具、"擬似神格・梵釈槍(プラフマーストラ・レプリカ)"なら真正面から打ち勝つことができそうだけど?』

 

「悪いなドクター。あの宝具・・・俺は十全に扱えてないから使えても負担がでかい。だから日に一回が限度だと考えてくれ」

 

ロマンのあからさまな落胆が見える。

 

だが十六夜ならばきっと互角以上に戦ってくれるはず。

十六夜の持つ宝具、"正体不明"はそれ単体に規格外の能力を秘めている。

 

 

突如として開けた場所に出た。とてつも無い魔力の密度。力の奔流。魔術についてはド素人中のド素人の十六夜でも凄まじい魔力だと理解できるほどだ。

 

そして奥にある柱。これこそが大聖杯だ。

 

「これが大聖杯・・・⁉︎超ド級の魔術炉心じゃない⁉︎」

 

「悪いが、お喋りはそこまでだ。奴さんに気づかれたぜ」

 

キャスターが見つめる先。そこに佇んでいたのは、邪悪な黒い鎧に身を包んだ一人の騎士。鋭く光る双眸は無感情でまるで物を見る目。

彼、いや彼女こそ、誇り高きブリテンの騎士王、アルトリア・ペンドラゴン。アーサー王である。

 

「なんて、魔力放出・・・あれが、本当にあのアーサー王なのですか?」

 

『間違いない。変質しているようだけど、彼女はブリテンの王、聖剣の担い手だ』

 

驚愕に目を見開くマシュに答えたロマンの言葉で十六夜はアルトリアに目を向ける。

 

(ふぅん・・・アーサー王ね・・・実は女でしたってのは箱庭でもあったな・・・蛟劉の話で聞いた斉天大聖の時とか)

 

すると、それまで微塵も動きを見せなかったアルトリアの瞳が細まり、口角を僅かに上げた。

 

「———ほう?面白いサーヴァントがいるな」

 

「ぬなっ⁉︎テメェ!喋れたのか!!!!」

 

「なにを語っても足元を見られる。故に案山子を演じていた。だが、そのサーヴァントは面白い・・・構えるがいい、名もしれぬ娘。その守りが真実かどうか、この剣で確かめてやろう———!!!」

 

その刹那、アルトリアは魔力放出でロケット弾の如く飛び出した。

魔力放出で振り下ろされる聖剣はあらゆる防護を切り裂くだろうが、

 

「ほう・・・素手で受け止めるか」

 

「ハッ、流石アーサー王!今まで受けた剣の中ではも一番の重さだ!」

 

十六夜はアルトリアに弾かれるが足元の石を数個投げる。もちろんサーヴァントには効かないが陽動にはなる。

 

「焼き尽くす木々の巨人———ウィッカーマン!!!!」

 

アルトリアが僅かに足を止めたところに追撃のキャスターのウィッカーマン。

ほのかの巨人はアルトリアに襲いかかるが、

 

「あまりに鈍い!!!!"約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)"!!!!」

 

聖剣から収束された闇が放たれウィッカーマンを破壊した。十六夜はそれを驚異の脚力でかわす。

 

そして、十六夜は地面に指を突き立てた。

 

(・・・なにかする。なにかとんでもない事を・・・)

 

「人類最強の・・・卓袱台返しを見せてやる」

 

(・・・見てみたい気もするが・・・)

 

十六夜は、卓袱台返しの要領で岩盤を引き剥がして岩の津波を作りあげた。

 

「「「「あいつ無茶苦茶だあぁぁぁぁ!!!!」」」」

 

もちろんサーヴァントは岩の津波では死なない。普通の物理攻撃だから。目くらましにはなるが。

 

「目くらましならばそれを全て吹き飛ばすまで!!!!」

 

アルトリアは聖剣を構えた。

 

「———卑王鉄槌。極光は反転する。光を飲め!」

 

聖剣に極大の闇が収束される。

 

「マシュ!」

 

望月の声が響く。

 

「はい、先輩!!!!」

 

マシュは盾を地面に突き立てた。

 

「"約束された(エクスカリバー)———」

 

「"仮想宝具 擬似展開/(ロード)———」

 

闇に堕ちた聖剣と人理を守る盾が、

 

「———勝利の剣(モルガン)"!!!!」

 

「———人理の礎(カルデアス)"!!!!」

 

激突した。

(・・・バカな・・・防がれている?私の聖剣が・・・)

 

無敵とも思えた聖剣の闇は、完全に盾に阻まれていた。かなり結界を揺らしているが。しかしマシュは既に限界だ。防ぎきるので精一杯。

 

「十六夜さん、後をたのみます・・・」

 

「ハッ、任された!!!!」

 

十六夜はアルトリアをの頭をつかんで地面に叩きつけた。

 

「マウントポジションだ‼︎終わりだアーサー王!!!!」

 

かつて吸血鬼の魔王(レティシア)にしたように拳を連打する。

鎧は砕け骨は玉砕される。

 

そして、最後に岩壁に投げつけた。

 

「・・・負け、か。聖杯を守り通す気でいたが・・・己の執着に背いた挙句敗北か・・・いずれ貴様もしる。アルスターの光の御子よ。グランドオーダー。聖杯をめぐる戦いはまだ始まったばかりだと」

 

そう言ってアルトリアは消滅した。

 

「おい待て、それはどういう・・・ってここで強制帰還かよ!納得いかねえがあとは任せた!次があるならランサーとして呼んでくれ!」

 

そう言ってキャスターは光の粒子となって消えていった。

 

「私たちの勝ちでしょうか・・・」

 

「たぶんそうだろ。ところで・・・なんで十六夜は消えてないの?」

 

「あん?知るかよ」

 

『もしかしたら聖杯によって召喚された英霊じゃないのか・・・とりあえず十六夜君もカルデアに連れて帰ればなにかわかるかも。所長、指示を』

 

オルガマリーはロマンの言葉そっちのけでアルトリアの最後の言葉に驚愕していた。

 

「グランドオーダー・・・冠位指定・・・なぜその呼称を?」

 

「所長?なにか気になることでも?」

 

「え?そ、そうね。よくやったわみんな。とりあえずミッションは終了。あの水晶体、聖杯を回収して帰還よ」

 

マシュは聖杯に近づき回収しようとするが、

 

「いやまさかここまでやるとはね・・・見込みがないからと言って見逃していたよ」

 

突如謎の男の声がする。そして、一人の男が現れた。

 

(・・・なんだあの似非紳士っぽいがクロアよりいけ好かねえやつは?)

 

彼はレフ・ライノール。レフ教授と呼ばれオルガマリーがもっとも信頼する男である。

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