Fate/Problem Child Order 作:ザイソン
「「レ、レフ教授⁉︎」」
目の前に現れたレフを見て望月とマシュは驚きを隠せなかった。なぜここにいるのか。カルデアの事件で生きていたのか。聞きたいことはたくさんある。
『レフ⁉︎レフ教授がそこにいるのか⁉︎』
「この声はロマ二君かな?君も生き残ってしまったのか。まったく・・・すぐに管制室に来るように言ったのに・・・指示を聞いてなかったのか?どいつもこいつも統率の取れてないクズばかりで吐き気が止まらないな」
「じゃ、勝手に吐いてろ似非紳士。車酔いみてえに吐いたらスッキリするだろ」
十六夜はレフに対して好印象を抱かなかった。感覚としては・・・箱庭のガルド=ガスパーの二倍くらい気にくわない。
「おや?君は・・・?サーヴァントか?なぜまだ現界しているんだ・・・?まったく。予定外の事で虫唾が走る」
「マスター、下がってください!あの人は私達の知ってるレフ教授ではありません!」
望月はマシュの後ろに回る。たしかにこのレフ教授からは危険な匂いしかしない。
「ああ!レフ!レフなのね!よかった・・・私、あなたがいなくなったらどうしたらいいかわからなかった!」
「所長!」
オルガマリーはレフに走り寄る。とっさの出来事で止める暇もない。
「やぁ、オルガ。元気そうでなによりだ。大変だったようだね?」
「そうなのよ!管制室は爆発するしカルデアには帰れないし!でもあなたならなんとかしてくれるわよね⁉︎今までだってそうだったもの!」
「もちろんさ。予想外で頭が痛いよ。その中でも、君が予想外さ。爆弾は君の足元に設置したのに・・・」
「・・・え?」
オルガマリーは素っ頓狂な声を上げてポカンとする。
「いや肉体は死んでいるか。トリスメギストスは御丁寧にも残留思念となった君を転移させたみたいだ」
オルガマリーはレイシフトの適正がなかった。故に"肉体"という枷が外れたことでその適正を手に入れたのだ。
故に、カルデアには帰れないし帰ったら途端に意識が消滅する。
「だがそれではあまりにも哀れだ。冥土の土産にいまのカルデアを見せてあげよう」
レフがそう言うとオルガマリーを中心に空間が歪み、一部、カルデアへと繋がった。
これが聖杯の力。どんな願いでも叶える万能の杯。
カルデアにあるカルデアスは真っ赤に染まりまるで太陽のようだ。
人類史の存続を示す青色はない。
「まさか・・・そんな・・・」
オルガマリーは驚きで声が出ない。
すると、オルガマリーの身体が宙に引っ張られ始めた。
「このまま殺すのは簡単だが芸がない。だから、」
レフはカルデアスを指差す。
「君の宝物に触れてみるがいい!」
「嘘!そんなことすれば・・・あれは高密度の情報体なのよ⁉︎太陽、ブラックホールと変わらない!」
「そうだ!人間が触れば分子レベルで崩壊する!さぁ、無限の死を味わうがいい!」
十六夜は破壊しようと駆け出そうとするが、
『だめだ十六夜君!あれはいわば太陽のようなものだ!破壊は不可能だ!』
「はぁ⁉︎」
十六夜は痛烈に舌打ちした。目の前でこんなことが起こっているのに止められない。
「いやいやいや!まだ何もしてない!まだ何も———」
そしてオルガマリーはカルデアスに吸い込まれて消滅し、空間が元に戻った。
望月はレフに向かって走り出そうとするが、
「やめとけマスター。相手は聖杯を持ってる。行けば同じように殺られるだけだ」
「さすがサーヴァント。根本的に別の生き物だと理解しているようだ。あらためて自己紹介しよう。私はレフ・ライノール・フラウロス!」
「フラウロス?」
フラウロス。確か悪魔学における悪魔だったような・・・
「カルデアは用済みになった。お前たち人類はこの時点で滅んでいる。カルデアはまだ大丈夫だろうが2016年を過ぎればこの宇宙から消滅する!」
レフが喋り終えると空間が揺れだした。地震ではない。
「おっと、この特異点も限界か。さらばだ諸君!時空の歪みに飲み込まれるがいい」
そう言うとレフは姿を消した。
(クソッ、相手が聖杯さえもってなけりゃ叩きのめしたのに・・・!)
「ドクター!至急レイシフトを!空間が崩壊します!」
「わかってる!でもそっちの方が早いかもだ!その時はそっちでどうにかしてくれ!意識は強く保ってくれ!意味消滅さえしなければサルベージは———」
その時、大きく揺れた。おそらくレイシフトは間に合わない。ここの空間は時空の歪みに飲み込まれて崩壊する。
「先輩!手を・・・!」
「マシュ!」
マシュは望月の手をしっかりと掴む。
「ドクター!早くしやがれ!こっちはこっちでなんとかする!」
十六夜の腕に極光が宿る。この崩壊しかけた空間ならば切り開ける可能性がある。
巨龍を打ち砕き死者の世界を切り裂いた十六夜の宝具が発動する。
「真名解放・・・撃ちぬけ!"
十六夜は空間を撃ち抜いてマシュと望月を抱え時空の狭間に逃亡した。
望月が目を覚ましたとき、目の前にはよくわからない女性がいた。でっかい杖をもっている。
「よしよし、君はネコ?それともリス?ま、いっか!可愛いから!」
「フォーウ・・・」
「解剖したらわかるんじゃね?つーかそういやマシュと一緒にいたなコイツ」
白い小動物、フォウを解剖するとか・・・物騒な話をしている。
「ん?おお!目を覚ましたね。それでこそ主人公ってやつだ」
「おい待て、ダ・ヴィンチ。原作ではコイツだがこの作品ではこの俺と決まっている!タイトルは確か・・・"最強!十六夜伝説"にしてしまえばいいし、わかりやs「何言ってんだこの馬鹿!」
スパーンと炸裂する望月のハリセン。どこから出したのかは聞くな。
「って、貴女は誰ですか?」
「私はダ・ヴィンチちゃん。召喚英霊第三号ってやつ。ま、話は後にして待ってる人がいるから管制室に行きなさい」
「あ、マシュ・・・」
そう言って望月は駆け出し、管制室に向かった。
「さて、俺もマスターを追っていくか」
十六夜はのんびりと尋常外の早歩きで追いかけた。
「おはようございます、先輩。ご無事でなによりです」
「おはよう。助かったみたいだ」
「再会を喜ぶのはいいがドクターが話を進めたそうだぞ?」
三人はロマンの方をむく。
「まずは生還おめでとう。望月君。そしてありがとう、十六夜君。十六夜君がいなければみんな死んでたかもしれない・・・というかあの宝具って一体・・・いや、やめよう。切り札の宝具だし」
ロマンは頭を掻きながら喋り続ける。
「所長は・・・残念だったけど今は弔うだけど時間がない。せいぜい悼むだけしかできない」
「俺らが所長の意思を継いで人類を守るんですね?」
「そうそう!だからやるべきことは見えてきた。復興させたシバで今の過去の地球をスキャンすると、世界地図が狂っているんだ。つまり過去を正さないと元に戻らない。人類の歴史において最大の選択肢、どんな過程があっても変わらないところがおかしいんだ。そこを正せば・・・」
「人類は再び蘇ると?」
「そう!特異点は合計7つ!これをなんとかしないと人類に明日は無い」
「やろうよロマン!人類を俺らの力で取り戻すんだ!」
「もちろんさ!目的は人類史の保護と奪還。探索対象は過去の人類史!原因と思われる聖杯の回収!僕らはファーストオーダーから改める!そのためにも、十六夜君、協力してくれないか?
「ハッ、面白いんだろうな?」
「もちろんさ。相手になるのは人類史。つまりあらゆる英雄英傑が立ちふさがる!」
「よし!ならいいぜ・・・この逆廻十六夜が引き受けた!!!!」