Fate/Problem Child Order   作:ザイソン

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AD.1431 邪竜百年戦争 オルレアン 〜救世の問題児〜
記憶の断片


「・・・ん?ここはどこだ?」

 

望月は気が付けばどこぞの廃屋らしき場所に一人立っていた。

外は土砂降りの雨、雷鳴が鳴り響き、強い風がテープで補強された窓ガラスを叩く。

 

「ロマン?Dr.ロマン?・・・通信不可能か・・・マシュも十六夜も居ない・・・」

 

廃屋の中を見渡すと、1人の子供がいた。

金髪で10歳にも満たない。

 

「・・・どこかで見たような顔だ・・・おい、そこで何してる?」

 

声をかけるが反応がない。聴こえていないようだ。

 

試しに子供の目の前で猫騙ししてみたり息を吹きかけてみたりしたが無反応。

頭を掴もうとしたら、すり抜けた。

 

「・・・よし落ち着け御門望月・・・コレは夢だ。悪い夢・・・ではないなウン」

 

試しに頬をつねってみたが痛くなかったので夢だ。

 

子供は腕時計に目をやり、ため息をつく。

 

「・・・23:56現在。俺の発見者無し」

 

「———23:57現在。君の発見者1名。これでゲームクリアかしら?」

 

望月と子供は声のする方へ顔を向けた。

薄暗くて顔はよく見えないが女性であることは分かった。

 

「逆廻十六夜。福祉施設を巡ること24ヶ所、養父母を持つこと31世帯。そのうち、引き取り手の隠蔽犯罪を検挙した数21回。まったくまぁ、よくも君みたいな伝説の超問題児が生まれてきたものね。今やどんな施設も家族も、君を受け入れることを拒否し続けている」

 

(この子どんだけーー⁉︎って逆廻十六夜?)

 

望月は理解した。マスターは契約したサーヴァントの記憶の一部を夢として垣間見るという。

 

(俺と十六夜、仮契約なんだけど・・・何故か繋がってる感覚はあるけどさして強くもないような・・・マシュとは強く繋がっているけど)

 

十六夜の持つカンテラで照らしたところでようやく、女性の全体像がはっきりと見えるようになる。20代前半だろうか。

 

「私の名前は金糸雀、よろしくね?十六夜君?」

 

その瞬間、空間が水底の栓を抜いたときのように渦巻きながら一点の穴に吸い込まれていく。

 

吸い込まれていく途中、様々な光景が目の前を駆け巡った。

 

 

———イグアスの滝に飛び込んで行く十六夜。

 

 

———自前の船で海を渡る十六夜。あ、波に攫われた。

 

 

———キリマンジャロの頂上にいる十六夜。あ、風に煽られて持ってたキリマンジャロコーヒーが十六夜にかかった。

 

 

———戦場に佇む十六夜。あ、爆撃で吹っ飛んで湖に落ちた。

 

 

こうしてみると十六夜は生身の頃から規格外だった事がよくわかる。水難の相も。

 

そして、

 

一緒に高度4,000mから落ち、湖に落下した。

 

望月はもちろん無傷。だって夢だもの。

 

そばには見知らぬ人が2人。

 

お嬢様みたいな女の子と猫を抱いた小動物みたいな女の子。

 

「見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

十六夜がそう言った瞬間、

 

「せんぱーーーーい!!!!ブリーフィングの時間ですよーーーー!!!!」

 

マシュに大声で起こされた。

 

 

 

「ったく、マスターとあろうものがだらしねえな」

 

十六夜に注意されるが夢の内容が忘れられない。彼は、一体どうやって英霊となったのだろうか?

 

「まぁ、さておいてブリーフィングを始めるよ」

 

ロマンが話を切り出し、似合わない真面目な顔になる。

 

「君達にやってもらいたい事だけど、

一つ目、特異点の調査と修正。その時代における人類史のターニングポイント。それがなければ人類はここまで至れなかった決定的な事変だね」

 

箱庭の、"歴史の転換期(パラダイム・シフト)"と呼ばれるものに近い。

箱庭が存在する世界とはまた違った異次元の異世界にカルデアのある世界に十六夜はいるので多少違う所があるかもしれない。

 

「つまり、その時代に飛んで調査、解明、修正をしてほしい。

二つ目、聖杯の探索。憶測だけど多分聖杯が関わっている・・・というか聖杯がなければ時間旅行とかムリだから」

 

聖杯とは、どんな願いでも叶える万能の杯。

7つ集めなくても願いが叶うという素晴らしいモノ。

 

「つまり、聖杯を回収するまでが任務だ。

あと、向こうに着いたら召喚サークルを設置してくれ。補給物資などのサポートができる」

 

「理解しました。何はなくとも、まずはベースキャンプを目指す。必要なのは安心できる場所———帰るべきホームですよね、先輩?」

 

「うん、マシュはいい事いうな」

 

「い、いえ。そう言ってもらえると嬉しいです」

 

「あのマシュが立派になって・・・」

 

ロマンが感動しているがそれを台無しにするが如く、話をしだす人がいた。

 

「おい、お調子者。私をいつまで待たせておくつもりだ?」

 

「おっと、気乗りしないから忘れてた。紹介するよ、カレ?いや、彼女?ダレ・・・?まぁいいや。そこに居るのは我がカルデアの技術部のトップ、レオナルド氏。見た目からわかる通り普通じゃない。普通の人間でもないから説明したくない」

 

レオナルド氏は、サーヴァントである。つまり、真名は"レオナルド・ダ・ヴィンチ。万能人と呼ばれた人である。通称、ダ・ヴィンチちゃん。

 

「え?だって、レオナルド・ダ・ヴィンチは男性・・・?」

 

つまるところ、モナリザが好きだからモナリザになってしまおうという頭の持ち主なのだが。

 

「この先何人もの芸術家系サーヴァントに出会うだろうけど、その誰もが偏執者だと忠告しておこう」

 

「知りたくもなかった事実をありがとよ」

 

「よし、十六夜は物分りがいい!じゃ、忙しいから失礼するよ」

 

そう言ってダ・ヴィンチちゃんは立ち去っていった。

 

「本当に自己紹介だけで終わったな・・・まぁいいや。本題に入ろう。君達には今すぐにレイシフトしてもらうよ。今回は安全だから安心してね」

 

「なぁロマン。一ついいか?・・・まさかレイシフトした瞬間上空4,000mから落下とかねえよな?」

 

「まさか。そんなわけ無いじゃないか。そんな召還があってたまるか」

 

いやこれが実際あるから恐ろしい。全ては箱庭の女王の策略です。

 

『アンサモンプログラム スタート。霊子変換を開始します。レイシフト開始まで、3———2———1———全行程 完了。

 

グランドオーダー実証を開始します』

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