Fate/Problem Child Order 作:ザイソン
十六夜達がレイシフトしたのは緑の草で覆われた広大な草原だった。空は澄み渡り特異点とは思えないほどのんびりしている。
「・・・ふぅ、無事に転移できましたね」
「今回はコフィンがあったし。もしこれで無事じゃなかったらロマンをワンパンチ・ワンキック・コブラツイストの覚悟だった」
望月が周囲を見渡すと、
「・・・・・・」
「「・・・・・・」」
近くにあった池に半身浸かっている逆廻十六夜がそこにいた。
たぶん、偶然。そう、偶然にも池にレイシフトしてしまったのだ。
「クソッ、ドクターはツーパンチ・ツーキック・シャイニングウィザード決定だな・・・」
十六夜は池から出てヤハハと笑うが目が笑ってない。
十六夜が池から上がると、
「フォーウ、フォーウ!」
フォウが十六夜の服から飛び出してきた。
「フォウさん⁉︎ついてきてしまったのですか?」
「おう、連れてきた」
なんでも、なんとなく面白そうだから。だそうだ。迷惑極まりないというか自由奔放というか。さすが問題児。
幸いにも十六夜に固定されているため十六夜が帰還すれば一緒に戻れる。
「———時間軸の特定ができました。現在は1431年ごろのようです」
「なるほど、百年戦争の真っ只中に放り出されたのか」
百年戦争。フランスとイギリスの間に起こった戦争で、フランスとイギリスの国境を決定した戦争である。
レイシフトした頃は丁度休止期間だ。
「捕虜となった騎士が金を積んで釈放なんてのは日常茶飯事だったそうだ・・・マスター、なに見てんだ?」
望月は無言で空を指差した。
そこには巨大な光の輪があった。自然現象でこういうことが起こることはまずありえない。だとすれば人為的なものだ。
『衛星軌道上に展開した魔術式・・・?下手すれば北米大陸と同じくらいか?』
「ドクター、あれは魔術なんてチャチなもんじゃないぜ。以前、現界前に似たようなものを見たことがある」
それはアジ=ダカーハが使用した、世界の三分の一を滅ぼす終末の炎、"
あの光の輪は"
あれは、
「おそらく、未来消失の原因の一端だ。ドクター、よろしく」
『わかっているよ。君達は現場を頼む』
霊脈を探して召喚サークルを設置し支援を得る、この時代の人間にコンタクトを取るなどやるべきことはたくさんある。
とりあえず街に向かって歩くことにした。
幸いな事に小道がある。これに沿って歩いていけば良いだろう。
しばらく歩くとフランスの斥候部隊と遭遇した。
「一応、コンタクトを取ってみましょうか?先輩」
「同じ人間だから問題無いよ」
「了解、
十六夜はこの声かけが間違いである事を知っていたが、中世の兵士と戯れるという面白そうな事が起こりそうだったのであえて黙っていた。
「て、敵襲———!!!!」
突如周囲を兵士に囲まれた。
よく考えればそれはそうだ。英語は即ちイギリスの言語。
そして今は百年戦争の真っただ中。ここはフランス。
今のフランスの敵はイギリス。
「フランス語で話しかけるべきでした」
「いや、これそうゆう問題⁉︎十六夜はなんで笑ってんの⁉︎」
「いや、面白くて。黙ってて正解だった」
十六夜は親指をグッと立てる。そして疾る望月のハリセン。
『いきなりの荒事のようだね!相手はフランスの精鋭!こうなったら峰打ちだ!』
「了解です。ファイアー!」
「燃やすのもダメだ!っていうか盾で峰打ちって・・・」
マシュは盾を振り回して優しくかつ強力に打撃。うむ、これは間違いなく峰打ちである。
一方の十六夜は、
「上手く避けやがれ!」
「鬼!」
「悪魔!」
「ド外道!」
石を第三宇宙速度で投げつけてフランス兵士を吹き飛ばしていく。
そして、誰も居なくなった。
「・・・撤退されましたね」
「話を聞くのを忘れてたな」
「いや、八割くらいは十六夜の投石のせいだと思う」