私の住む村がちょっとおかしい   作:ぴぴるぴる

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最後に抜けがあったので追加します。
すいません。

追記 アニメ見てみたら婿は早い者勝ちと判明しました。
   すこし修正します。



7~8歳ごろ

生傷が月 絶えない日

 合同訓練が終わってまだ1週間しか経っていない。私としては1日でも速く遠い過去の思い出にしてしまいたい。

 相も変わらず朝から晩までシャンプーと稽古をしている。最後の模擬戦はもう慣例と言ってもいいだろう。

 今でもまだ負けることはあるが、一応シャンプーなりに私を認めてくれてはいるようだ。

 

 2人とも同じ内容の修行かというとそうでもない。

 シャンプーは専門知識と繊細さを求められる秘伝を、私の方は外気功の秘技を中心に教えられている。

 村長に言わせると私はもう内気功は十分合格点になるらしい。

 どうやらあの地獄の日々に意味はあったようだ。人としての尊厳を手放したのは無駄ではなかった。

 

 

 

いい加減月 譲歩しろコラ日

 この頃朝から晩まで一緒にいる私達だが、さすがに少しは互いに歩み寄らないと息がつまる。

 合同訓練のときは意地でも名前を呼ばないほど毛嫌いしていた私達だったが、いつの間にかお互いを名前で呼ぶようになっていた。

 しかしシャンプーの私に対する対抗心は衰えることを知らない。何がシャンプーをあんなにさせるのか…。

 

 

 

驚月 愕日

 この村で男児がいないから前々から不思議ではあったのだが、今日正式に村長から一族の掟を聞かされた。

 どうやら男児が生まれた場合は他村に出されるそうだ。この村に戻る方法はただ一つ、一族の未婚女性に勝って嫁にするしかない。

 一体どこのアマゾネスだ。

 

 一族以外の女に負けたらどこまでも執念深く追いつめて殺せとか子供に教えることではないだろう。

 しかも男に負けたら一族総出で囲い込むというオマケ付きだ。もうやだこの村。

 一族の中で恋愛結婚できた夫婦は一体どれだけいるだろうか。いや、いない。

 

 

 

迷探偵月 フォン日

 シャンプーと一緒にいることで気付いたことがある。

 戦闘において同世代の中でも無類の強さを誇っているシャンプーだが、実は外気功のセンスが全くない。

 氣を外に出したり、対象に付与させることがかなり苦手なようだ。そりゃあ、鈍器を選ぶしかないわ。

 

 当の本人はそのことを酷く気にしているようだ。今日偶然彼女の布団の中から小さな嗚咽が漏れているのが聞こえてしまった。

 さすがに見て見ぬ振りもできないので、布団の上に優しくのしかかってあげた。

 私の意識は空に還った。

 

 ったく、アンタはよく頑張ってるよ。そんな欠点吹き飛ばすぐらいに強いくせに何気にしてるんだか…。

 

 あー、もしかしたら私が引き取られた理由はシャンプーの欠点にあるのかもしれない。

 

 

 

明かされる月 真実日

 どうやら私の推測は正しかったようだ。

 今日村長に私がなぜ引き取られたかを聞いてみると私の推測通りだと言われた。

 村長としては全ての技術を継承できないというのはどうしようもないネックなのだろう。

 婿養子に覚えさせるという手もあるが、確実性もないので私に白羽の矢が立ったというわけだ。

 お婿さん問題はこの村の中では大きな問題になっているようだ。

 

 まぁ私の何かが村長の目を引いたのだと思えば悪い気はしない。

 しかし、私はそこまで男探しに躍起になる気はない。シャンプーには頑張ってもらおう。

 そんなことを思っていたら村長に私が婿を見つけない場合はシャンプーが許可すればお情けで妾にしてやると言われた。

 男が複数の女を囲い込むのは困難だが、複数の女が男を囲い込むことは比較的容易だとか…。

 なん…だと…。私が、シャンプーに勝率5割を誇るこの私が、シャンプーの匙加減ひとつで情けをかけられる?

 冗談ではない。私たちは対等なのだ。そんなことになれば舌噛んで死んでやる。

 

 さてどうしたものか。

 あまりがっつきたくはないのだが、ああ言われてしまえば私もお婿さん探しを頑張るしかない。8歳から婚活か。新しいな。

 贔屓目に見てもシャンプーは美人だ。将来いくらでも男を引き寄せることだろう。

 彼女が誰かに負ける姿は想像できないが、シャンプーより先に見つけてやろうではないか。

 さぁ男共よ、かかってこい。私の審美眼はちょいとばかり判定が厳しいぞ。

 

 

 

ワク月 ワク日

 意外にもシャンプーは一度懐に入れてしまえば手厚く受け入れてくれるようで面倒見がいい。

 私よりも生まれるのが少し早かったことに気をよくしたのかことある毎に姉ぶっている。

 美人の上に実は性格もかわいいとか卑怯じゃないっすかね。

 

 明日は外へ買付に向かう日だ。私も連れていってくれるというので楽しみである。

 

 

 

心に月 くるものがある日

 朝早くから荷馬車の後ろで揺られされることになり、隣ではシャンプーが村に着くまで舟をこいでいた。

 美人は歩くだけで男を引き寄せるようだ。村に入った途端シャンプーに男の子たちが群がっていた。

 妬ましくなんてない。ないったらない。この世界は子供のころから肉食系のようだ。

 

 しかし私達が女傑族だとわかると一人は泣き叫び、一人は失禁し、一人は死んだふりをし、一人は脱糞した。

 情けない奴らだ。肉食系でも臆病者が大半らしい。

 それでも態度の変わらない気骨のありそうな男子が1人いたにはいたが如何せん弱すぎた。

 瓶底メガネを外せば顔はよかったのにな。残念残念。せめて私ぐらいは勝てないとね。

 

 しかしあの反応が村の外では普通なのかぁ。初めて知ったが近隣でも悪名高き女傑族として有名なのだとか…。

 まぁもうすでに気づいてはいたよ。うちの村は普通じゃないってさ。

 でもそれで平気かって言われればそうではないのだ。帰ったらとりあえずやけ食いした。

 あの村に自分から進んでいくことはもうないだろう。

 

 

 

摩訶月 不思議日

 どうやら私はまだまだこの世界を見くびっていたらしい。

 今日とてつもなく怪しい訪問販売がきた。胡散臭い説明を真剣に聞いている村長がボケたのかと心配になった。

 鏡に反射した光にあたると石化するとかいかにも胡散臭い。

 がどうやら効果は本物のようだ。私の体で実証された。

 いつになったらこの下半身の石化が治るのか非常に気になる。明日までに直らなければシャンプーにサンドバックにされてしまう。

 

 

 

カリスマ月 美容師日

 今日は村長がシャンプーに髪の洗い方を伝授していた。

 さすが整髪剤の名前をつけるだけあって髪については一家言あるのだろう。

 

 

 

よろしい月 戦争だ日

 私が楽しみにとっておいた貴重な甘味がなくなっていた。

 こんなことする奴なんて一人しかいない。女傑族の執念深さをその身で味わわせてやる。

 

 

 

頭が月 スッキリしている日

 水が貴重なので髪を洗うのにも苦労するが、この頃はシャンプーのおかげで助かっている。

 髪の洗う技術もすでに相当なものだ。ただ何か忘れている気がする。ん~、なんだろ?

 

 

 

ひたすら石を月 積み上げる日

 珍しいことに今日シャンプーの頭に村長の雷が落ちた。

 いったい何をやらかしたのかと思えば私にやらかしていたらしい。

 あの洗髪技術は対象者の記憶を失くさせる秘技だったという。その名を洗髪香膏指圧拳(サイファツヘンゴウしあつけん)

 何を忘れたのかすら思い出せないがやってくれるわ、このアマは。

 シャンプーが正座してしこたま村長に怒られている横で、爆砕点穴で作り出した岩石を彼女の膝の上に積み上げていった。

 最終的にシャンプーの姿が積み上がった岩岩で見えなくなったのでこれで許してやることにした。


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