私の住む村がちょっとおかしい   作:ぴぴるぴる

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シャンプーの口調が難しくて土日潰してしまいました。
何かおかしな点あればご指摘ください。


閑話

 

 女傑族に生まれた私、村の誰よりも天才的だったね。

 どんな稽古もすぐ覚えた。家族のみな私を褒め称えたね。

 

 小さい頃から村の娘たちと訓練する。これ女傑族の伝統。

 稽古より他の娘と戦うこと多くなったね。

 もちろん私勝ち続けた。誰にも負けない。当然的結末。

 私皆から期待されてたね。

 

 ある日村一番の変わり者のフォンと戦った。

 皆訓練したがらない不思議的娘だったね。

 

 戦ってみると驚異的やりにくさだったよ。

 皆避けてる理由よくわかったね。

 攻撃してる私逆に傷つく。理不尽的硬さだった。

 

 私なんとか勝利したね。

 ひいばあちゃん直伝の投げ技なかったら危なかった。

 でも、勝った気しなかったね。

 両手真っ赤に腫れてた。拳握ることもできなかったよ。

 そして倒れてたフォンはいつもの半眼でジッと私を見てたね。

 

 屈辱的だったね。あんな想いしたの、あれが初めてだったよ。

 両手を見せないために走って家に帰ったね。

 

 私、フォンに屈辱的敗北味わわせると誓った。

 ひいばあちゃんに頼み込んでいっぱい鍛えてもらったね。

 たくさん修練積んだよ。

 

 でもフォンも強くなっていったね。

 拳が空を切ること増えた。投げ技も外された。

 あの避ける様、まさしく蛇だったね。

 

 だから私、画期的名案考えたよ。

 武器使う。殴ると違うから私傷つかない。

 これなら完璧と思ったね。

 早速私先生説得して訓練で武器の許可もらったよ。

 

 今日こそ殺す思たら、逆に鳩尾に蹴り入れられた。

 初めてまともな攻撃を食らったね。私驚異的に怒った。

 立ち上がれなくなるまで玉錘で殴りつけたよ。

 でもやっぱりフォンは悔しそうじゃなかったね。

 

 勝ったのに全く嬉しくない。

 意地でもフォンの顔を屈辱的表情に変えたかったね。

 だからいつも守ってる顔に無理やり一発入れてやったよ。

 そしたらフォンは悔しそうにしてたね。

 私大歓喜した。もっと殴ってやろうと思ったね。

 

 それからフォンは驚異的に強くなったね。

 全身に闘気を纏いはじめた。まるで鱗ね。より一層硬くなったよ。

 試合時間どんどん増えていった。

 私焦ったね。このままじゃ負ける思たよ。

 

 私また頭悩ませた。

 そしたら家族の眼が変だと気づいたね。

 問い詰めたよ。

 私闘気を武器に乗せる下手くそだったみたいね。

 武器だけでは勝てない言われたよ。

 

 あれは憐みの眼。敗者へと向ける眼差し。

 私失望されたね。

 涙があんなに流れるなんて初めて知ったよ。

 

 もう武器は使えなかった。

 悲しい想い、私への苛立ち、フォンへの怒り、全部闘気に変えたね。

 全部フォンにぶつけたよ。

 今度は私の拳堅くなったね。

 

 闘気がなくなるまで殴り合う毎日になった。

 でもそう長く続かなかたよ。

 

 突然私の闘気が私を襲った。意味不明だったね。

 でもこれだけはわかったよ。

 私ついにフォンに負けてしまた。

 

 

 

 次の日からひいばあちゃんの家でフォンと一緒に暮らし始めたね。

 これ、どちらかが村の長を継ぐ。女傑族的名誉。

 だからひいばあちゃんの言うこと全部やった。

 家事も稽古も真剣だったね。

 

 なのにフォンは自然体だった。

 そして驚異的だらしなさだったね。

 朝起きられない。料理よく失敗する。

 洗濯下手。裁縫できない。

 よく今まで生きてこれたなと思たね。

 

 毎朝フォンを起こす。私の役目になった。

 フォンが起きる、できるまで同室になったね。

 悪夢見ると気絶させて同じ寝床に潜ったよ。

 フォン、ぐっすり眠れたか?

 

 一緒に家事やった。

 私を真似て家事をする姿がちょとだけ面白かったね。

 フォンは失敗したら私笑てやった。なのにフォン一緒に笑てたね。

 なぜ笑う。そこお前が悔しがるところ。

 

 いたずらしたら万倍返し。

 なのにフォン全く懲りないね。

 でも稽古とは違う楽しさがあった。

 フォン!待つよろし!

 

 

 私、拳交えると同じくらい言葉交わすようになってたね。

 こんなはずじゃなかった。どうしてこうなったか。

 ……ま、悪い気はしなかったけどな。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ある日、我らの村に1人の男がやってきた。

 村一番の歌い手の娘が婿として連れてきた男じゃった。

 村の皆が祝福した。

 

 しかし、その男は女の前に立てばたちどころに緊張し棒立ちになった。

 この村でやっていけるのか心配したものじゃ。

 妻となる娘にとってはそこがいいと言う。

 ならばもう何も言うことはないと好きにさせた。

 

 

 生まれてきた第1子は娘じゃった。

 その夫婦は鳳梨酥と名付け、娘を大層可愛がった。

 あそこまで可愛がる夫婦も珍しいものじゃった。

 しかし、稽古も家事もさせないというのは甘やかしすぎであった。

 どうするべきかと気を揉ませられた。

 

 

 注意深くフォンを観察してみると、親と同じく変わった娘じゃった。

 物心がついてきた頃から本を求め、読み書きの教えを乞うた。

 女傑族の血を引きながら武よりも知を重んじる娘じゃった。

 

 男の血筋かと聞いてみれば、心当たりはないと言う。

 聞けば、その男はかの麝香(ジャコウ)王朝の末裔であり、更には王族の傍流であった。

 まさか伝説の武道集団の末裔が生きておったとは驚かされた。

 しかし、それならばなぜあのような娘が生まれてくるというんじゃ?

 

 

 いざ他の娘と競わせてみれば、儂の心配は杞憂に終わった。

 腐っても鯛。フォンは硬かった。堅牢な城壁のような硬さであった。

 決まってフォンは負けていたが、日を追うごとに守りが上達していった。

 

 次第にフォンはあの夫婦に任せることが歯がゆくなるほどに才気の片鱗を見せ始める。

 よって儂は一計を案じることにした。

 

 儂の自慢のシャンプーと武を競わせるよう仕向けたのじゃ。

 時にはフォンを、時にはシャンプーを儂が直々に鍛え上げた。

 

 もちろんそれだけでは終わらない。

 村の長として教育すると伝え、半ば強引にフォンを引き取った。

 フォンの父とは険悪な仲になってしまったが安い代償じゃ。

 

 両者は小気味好いほど強くなっていった。

 一体どこまで行き着くのか楽しみじゃ。

 老い先短いと思っておったがこれでは死ぬに死にきれん。

 呪泉郷…かの地ならば…。

 ふむ、ついでにあの二人も連れていくかのう。

 


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