ロックマンゼロ ~紅き英雄と夢を求める妖精達~   作:鈴歌

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第2話 

「……ここは…?」

 

目を覚ましたエックスは見慣れない天井をぼんやりと眺めていた。

 

「気が付きました?」

 

不意に声が聞こえて聞こえた方に顔を向ける。

そこにはあどけなさが残る少女がいた。

 

「君は…?」

 

「私ウェンディって言います。

大丈夫ですか?」

 

エックスはウェンディに頷き、上体を起こすと隣のベッドでゼロが眠っていることに気付き、安堵する。

 

「うん…、大分楽になったよ。

ウェンディがボクらを助けてくれたのかい?」

 

「私だけじゃないです。」

 

ウェンディがそう言うとナツ、ハッピー、そして彼らね仲間と思われる男女が入ってきた。

 

「良かった、気が付いて。

私はルーシィ。

よろしくね!」

 

「よろしく。

ここは一体どこなの?」

 

エックスが金髪の女性、ルーシィと握手を交わしながら質問をするとルーシィの代わりに赤髪の女性が答える。

 

「ここは魔導士ギルド、フェアリーテイルの医務室だ。

目が覚めて何よりだ。」

 

「貴女は?」

 

エックスの質問に女性は笑いながら自己紹介をする。

 

「すまない、自己紹介が遅れたな。

私はエルザ、エルザ・スカーレットだ。

そしてこの半裸の男がグレイ。」

 

「おう。」

 

グレイが手を上げる。

 

「桜髪の男がナツ。」

 

「よろしくな!」

 

ナツが満面の笑みを浮かべる。

 

「青い猫がハッピー。」

 

「うぱ!

ハッピーだよ!」

 

ハッピーが両手を上げる。

 

「白い猫がシャルルだ。」

 

「よろしく。」

 

ツンとした態度でシャルルが見る。

 

「ボクはエックス、隣で寝てるのは親友のゼロ。

助けてくれてありがとう。」

 

エックスは助けてもらった礼を言うと深々と頭を下げる。

 

「それとナツ、ハッピー、最初強盗と疑っちゃってごめんね。」

 

「ナツ悪人面だからなーw

強盗に見えなくもないかw」

 

エックスの謝罪にグレイが笑いながらナツを茶化す。

 

「オメェに言われたかねぇよ、このたれ目野郎!」

 

「んだ?

やるかこのつり目野郎!」

 

謝罪した後に勃発したナツとグレイのケンカにエックスは驚き、オロオロとする。

 

「わ、わわ!

これ…ボクのせいなのかなぁ…?」

 

あわあわとしているエックスにルーシィが呆れ気味に伝える。

 

「気にしないで。

あれ日常茶飯事だから。

それに大丈夫よ、ほら。」

 

ルーシィがナツ達に目をやる。

エックスもつられて見るとエルザが既に2人に鉄拳制裁を下し、ケンカは収束していた。

 

「ねっ?」

 

「あ、ああ…。」

 

その光景にエックスは呆然としている。

 

「その内慣れるわよw

ね、ハッピー。」

 

「あい!

あの2人いつもこうだから気にしなくてもいいよ。」

 

ルーシィに話を振られ答えるハッピー。

 

「そ、そうなんだ…。」

 

エックスがドン引きしていると医務室に小柄な老人が入ってきた。

 

「ほう、目が覚めたのかい。

良かった良かった。」

 

「は、はあ…。

ありがとうございます…?」

 

エックスは老人の登場に疑問符を浮かべる。

 

「マスター、どうしたんです?」

 

「マスター?」

 

ルーシィの発言にエックスは首を傾げる。

 

(ルーシィの上司の人なのかな?)

 

「暇だったんでのぅ。

エルザの報告を思い出して様子を見にきたんじゃよ。

お主、名は何と言うんじゃ?」

 

「エックス…です。」

 

「ではエックス、どのような経緯で君達が森で倒れていたのか聞きたいんじゃがええかの?」

 

「あ、はい。

実は…。」

 

エックスは老人に言われるままに自分達の事情を話した。

しかしどうにも話が噛み合わない。

 

「その話が本当ならそのバイルという者が爆発して出来た空間の切れ目がアニマと繋がってしまったのかもしれんな。」

 

「アニマ?」

 

「簡単に言ってしまえば異世界への切れ目だ。」

 

エルザがエックスの質問に答える。

 

「それが本当なら帰る方法はないんですか?」

 

エックスが老人に訊ねる。

 

「分からん。

あるかもしれんし、ないかもしれん。」

 

「なんだよ、じっちゃん!

はっきり言えよ!」

 

「じゃから分からんと言っておろうが!

黙っとれ!」

 

老人の言葉にむぅ…と頬を膨らますナツに対しエックスは苦笑いを浮かべていた。

 

「マスターさん、ありがとうございます。

お陰様で今ボクらの置かれている状況が把握出来ました。

体調が回復したら帰る方法を探してみようと思います。」

 

「ふむ。

じゃが、君達は食い扶持(クイブチ)はあるのかい?」

 

エックスはその質問に口を濁す。

 

「この世界の通貨も持っていませんので何とも…。」

 

自身が金を持っていないことに気付いたエックスは困ったように頭を掻く。

 

「ならフェアリーテイルで働いてみてはどうかね?」

 

「え、良いんですか?」

 

老人の提案にエックスが驚いて聞く。

 

「大丈夫じゃ。

フェアリーテイルは年齢性別は問わんからの。」

 

老人が笑いながら言う。

 

「ゼロが起きてから相談してみます。

何から何まですみません…。」

 

「気にせんでいい。

ゆっくり考えて決めなさい。」

 

「はい…。

仕事ってどんなことをするんですか?」

 

そうエックスが聞こうとした時、外が騒がしいことに気付いた。

 

「なんか、外が騒がしいわね。」

 

シャルルが外を覗くとそこには見知らぬ兵士たちがマグノリアの町を襲っていた。

 

「何あれ!?」

 

シャルルが驚いて声を上げ、エックスも外を見る。

兵士を見たエックスは声を上げる。

 

「あれは…!!」

 

(しかもあれはバリアントファイア!!)

 

「知ってるの?」

 

「人を襲う機械の兵士だ!!

どうしてこんなところに…!!」

 

エックスはベッドから飛び降り裸足のまま駆け出す。

 

「エックス!!

どこに行くんだ!?」

 

グレイがエックスを追い掛ける。

 

「アレを止めなくちゃ!!」

 

「ちょ…、待てって!!」

 

グレイがエックスを捕まえる。

 

「んな身体でどうするってんだ!!

まだ熱あるじゃないか!!」

 

「それでもやらないと!!」

 

グレイの拘束から逃れようとエックスは暴れる。

 

「そんなの俺達がやってやる!」

 

「駄目だ、危な過ぎる!」

 

「だったら尚更お前を行かせられねぇな。

魔導士ギルド、フェアリーテイルを嘗めんなよ!」

 

グレイがそう言った瞬間、彼の身体から冷気が発せられる。

 

「グレイ…?」

 

グレイから発せられる冷気にエックスは大人しくなる。

 

「グレイ、エックス!!」

 

後のメンバーも遅れて駆けてくる。

 

「行けぃ!!

皆の者!!

マグノリアに攻め行った不届き者共にフェアリーテイルの力を見せてやれぃ!!」

 

「おうっ!」

 

老人の掛け声に応え、ルーシィ、ウェンディ、ハッピー、シャルルを除く者達が果敢に外へと飛び出して行った。

 

「ま、待って!!」

 

「大丈夫じゃよ。」

 

心配するエックスに老人はニカッと笑う。

 

「あ奴らはフェアリーテイル最強チームじゃからの。」

 

「最強…チーム…?」

 

「見てれば分かるわ。

戻りましょ。」

 

「わ、分かった…。」

 

エックスは意味も分からぬままルーシィに促され、病室へと戻って行く。

 

「ワシはギルドに戻っておる。

ルーシィ、ウェンディ、ハッピー、シャルル。

後を頼むぞ。」

 

「はい(あい)!」

 

「だ、だから危ないって…!」

 

「エックスさん。」

 

老人を止めようとするエックスだったがウェンディが呼び掛ける。

 

「ギルドマスターはギルドで一番強い人なんです。

だから大丈夫です。」

 

「え、あんなお爺さんが…?」

 

「はい。

だから大丈夫ですよ。」

 

エックスの言葉にウェンディが笑顔で頷く。

 

「さ、行きましょう。」

 

そう言ってウェンディはグイグイとエックスの背中を押す。

エックスも背中を押され、戦いに出たメンバーを心配しつつもゼロが眠る病室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後、 エックスは窓からナツ達の戦いを見て呆然としていた。

ナツが炎を吹き、グレイが全てを凍らせる。

そしてその間を縫うようにエルザの剣が舞っていた。

 

「凄い…。」

 

「ね、大丈夫でしょ?」

 

ルーシィがウィンクをしながら言う。

 

「あ、ああ…。

この世界の人はみんなこんな力を持ってるの?」

 

「人それぞれだけどね。

魔力を持っていれば誰でも魔法は使えるわ。」

 

エックスの質問にルーシィが答える。

 

「貴方達の世界には魔法はなかったの?」

 

今度はルーシィが聞く。

 

「ボクらの世界は科学が中心だからね。

魔法の存在を信じてる人もほぼいないんだ。」

 

ルーシィの言葉に頷き、エックスは自分の世界のことを話す。

 

「でも…。

あれはボクらの世界の産物なんだ。

なんであれがここに…?」

 

エックスは考え込む。

バイルは死んだ筈…。

何らかの方法で生きていたとしてもそもそも彼がこんなところに来れる筈がない。

それがエックスの考えだった。

 

 

そしてものの数時間でナツ達とバリアントファイアとの戦闘が終わった。

 

「どうやら終わったみたいね。」

 

シャルルが呟き、窓の外を覗くと仕事を終えたナツ達が満面の笑みを浮かべこっちに手を振っていた。

ちなみにルーシィとウェンディも被害拡大を食い止めるために戦闘に出向いていて今はゼロ、エックスの他にはハッピーとシャルルしかいない。

 

「おっしゃー!

終わったー!

てかこれで終わりとか物足りねー。」

 

「ナツ、そういうことを言うんじゃない。

マグノリアの町を守れたんだ、よしとしよう。」

 

不満げなナツをエルザが宥める。

 

「凄い…。

あの数のバリアントファイアをあっさりと…。」

 

エックスは呆然とする。

だが1つの問題に気付いた。

 

「でも…周りの建物壊れちゃってるんだけど…良いのかな…(・・;)」

 

「あい、いつものことだよ!」

 

「本当は駄目だけどね。」

 

ハッピーとシャルルの言葉にエックスはただ苦笑するしかなかったのだった。

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