提督(笑)、頑張ります。   作:ピロシキィ

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本編2、外伝3本同日更新しております。

会話文多め。


提督(笑)は向き合います。

どこかの学校の教室を思わせる室内で、教壇に立つ男。

 

よぉーし、お前ら席につけー。

 

さて、教壇に立つのは俺、

 

そしてそこに集められたのは父島警備府にいる艦娘全員である。

まぁ、なんて言うの、これから南鳥島攻略に当って艦娘の皆さんとちょっと真面目に話をしようと思う。

 

「……」

 

いざ、皆の前に立つと第一声がなかなか出てこないものだね。

おい君達そんなに見つめるなよ、緊張しちゃうだろ?

学校で校長の話なんて下向いて眠ってただろ?

って艦娘さん達だから関係ないか…。

 

はぁ、いつまでもウダウダやってられんな。

 

よしっ。

 

「少し君達と話したい事がある」

 

時津風とかあたりが声を上げるかと思ったが、全員、黙ったままだ。

何でだろうか? 俺の何時もと違う空気を感じ取ったのだろうか。

 

「嘗て君達が戦船であった時、私は君達と共に戦場を経験した」

 

クソッたれの神様のせいで、またこうして生きてこの場に立っている。

 

「…他の提督達に比べれば場数は踏んできている事だろう」

 

だが、それだけ。

他の提督だって経験を積めば俺レベル以上になるのなんて多くいるんじゃないだろうか。

 

「君達の多くは私に信頼を寄せてくれていると感じている」

 

こんな俺に何でか知らないけど…。可愛い女の子に頼られるのは悪い気はしないさ…。

だけど、君たちの影に俺はいつも上司や部下や友、そういったものを感じてしまうんだ。

 

「だが、私は君達の信頼に値する男なのだろうか…?」

 

だからもっとよく考えて欲しいんだ。

 

「私は君達が寄せてくれる信頼をとても重荷に感じる」

 

そう、俺は大して強い人間じゃないんだ。きっと君達は俺を過大評価している。

 

「ずっと悩み悔やみながらも、自分を誤魔化して戦っていた」

 

時には泣いたり、膝が震えて何かに掴まってないと立っていられなかった。夜は怖くなって眠れなかった。

 

「とてもじゃないが勇敢な軍人とは言えない男だ」

 

精一杯の強がりだけで、どうにか走ってきた。

 

「何より、私のせいで沈んだ君達に、私はどういう償いをすればいい?」

 

どういう顔で接すればいい?

死なせてしまった者。彼らは今こうやってのうのうと生きている俺に対して何を思うだろうか?

 

「君達が提督や司令と呼ぶ人間はこんな情けない男だ。それを理解してくれ。そして今一度考えて欲しい。そんな男に命を預けていいのかと」

 

それで全員が指揮下から離れるというならそれでもかまわない。

きちんと向き合うって言うのは俺がこういう人間だと知ってもらう事だから。

 

誰も残らなければ文乃と一緒に隠居生活かな。それも悪くないか。

 

「……」

 

さて、すぐには答えが出せない娘さんもいるだろう。

今日はこれで解散かな。

 

「提督。それでお話は終わりでしょうか?」

 

鳳翔がいつも通りの穏やかな微笑みを浮かべている。

 

「…あぁ」

 

あるぇぇ?

 

「じゃあ次は作戦会議ですよね」

 

「そうですね」

 

まぁ一応、作戦書カッコカリを持ってきてはいますけど…。

 

「…話聞いていたか夕張?」

 

「聞いてましたよ?」

 

んんーーー!? 何でいつも通りなん?

 

「提督さん、そちらの紙を皆さんにお配りすればよろしいのでしょうか?」

 

「お、おう」

 

「鹿島さん私もお手伝いします」

 

鹿島と大淀が紙を配り始める。

可笑しいな、何でノーリアクション? 俺が可笑しいのか?

 

「ハイッ! 司令」

 

「どうした比叡」

 

「良く解りませんでした! とりあえずお姉さまに会うまで何があっても生きててください」

 

比叡は通常運転だな。うんアホ可愛いぞお前。

 

「司令、私が守ってやる。安心しろ」

 

「そうですね。必ずお守りします」

 

いやいや、俺を守って磯風や浜風が死ぬような事あったらもう俺、立ち直れないと思うのだけど、その辺考えていらっしゃるのでしょうか?

 

「大丈夫だよ、提督。誰も沈む気なんてないからさ」

 

ニカッと笑みを浮かべる谷風。ほんまかいな。

 

「提督が俺たちのこと重荷って感じるなら一緒に持ってやるよ。世界水準軽く超えてる天龍様なら楽勝だぜ」

 

あら、やだ惚れそう。

 

「天龍ちゃんだけじゃ心配だから私も持ちますねぇ」

 

あらやだツンデレ。ちょっと違うか…。

 

「なぁにが罪を償うって? 提督は重く考えすぎ。あたしは最後に提督の指揮下で戦えたことを誇りに思ってんだからさ。

あん時みたいに、強がりだろうとどーんと構えててくれりゃ、あとはこっちで何とかするっての」

 

くっ、ちょっとそのニヤニヤした顔が腹立つな長波。

 

「しれぇ雪風は沈みませんっ! 他の皆も沈みませんっ!」

 

そうか、そうだといいなほんとに…。

 

「貴方、今度私を置いて行ったりしたら許さないんだから!」

 

「置いてったら駄目だかんね」

 

本当に天津風に時津風は話聞いてたのか?

 

「まっ、頑張りなさいな」

 

あぁうん。もう何か気が抜けてしまったよ初風。

 

 

 

「提督さん。配り終わりましたよ?」

 

「そうか、なら各自、作戦書に一通り目を通して欲しい。質問等は随時受けつけよう」

 

 

 

作戦名 船で来た

 

作戦方針

 

一、南鳥島における深海棲艦勢力規模の把握

 

一、規模によっては敵勢力の撃滅を狙うものとする。

 

一、敵勢力規模が現時点で対応不能と判断した場合、即時撤退する。

 

 

要は今回は強行偵察といった感じ。

実際、自分で深海棲艦の勢力下の海がどんなもんか見ないと判断できないし、見てから判断しましょって作戦。

作戦とも呼べないような作戦だ。

 

 

艦隊編成

 

南鳥島に行き隊

 

旗艦 平波 

航空戦艦 飛叡 

空母 お艦  

軽巡洋艦 メロンフライ 中二病 DTキラー

駆逐艦 波平 セイバー パーセント 江戸前 ぜかまし

 

父島に残留し隊

 

軽巡洋艦 たっちゃん

駆逐艦 初風 ビーバー 天津飯 座敷犬

 

とまぁこんな感じの艦隊編成だが、異論は認める。

ただ、初風は俺の指揮下に入っているわけではないから、お留守番かな。

流石に一人だけ残すというわけにはいかないから、同じ駆逐隊だった雪風、天津風、時津風を残そうかなと言った感じ。

事前に、俺が赴任する前の事を中二病の天龍ちゃんに畑仕事しながら聞いておいた。

軽巡1駆逐3で艦隊を二つに分けて遠征と哨戒を行ってたようだ。

よくもまぁそれでどうにか回っていたものである。

おっちゃん感動して「よく頑張った」なんて上から目線で褒める事しかできなかったけど。

それでも天龍ちゃんちょっと誇らしそうに照れてた。

思わず、角撫でまわしてまたぶん殴られそうになったけど…。

 

硫黄島のホモ提督にもお願いしたし、これでどの程度出来るのか計りたいね。

 

「ハイ司令」

 

元気良く手を上げるヒェー

 

「なんだ比叡」

 

「私、航空戦艦じゃないですよ? あと漢字間違ってますよ?」

 

仕様です。ボケにまじめにツッコミを入れないでいただきたい。

 

「ではこの字に改名しろ」

 

「そんな馬鹿な…」

 

冗談に決まってるじゃないですか。アホ可愛いなコイツゥ。

 

「あぁ…毒されてる…」

 

メロンちゃんがブツブツなんか言ってる。

秘書艦していたあの日から、メロンちゃんがちょっと余所余所しい。

理由は分からない。

 

「あの、提督、宜しいでしょうか?」

 

今度はお艦が挙手している。

 

「どうした鳳翔」

 

「お艦というのは私の事でしょうか?」

 

「そうだ。関西では母の事をおかんと呼ぶそうだ」

 

「あぁ、それで空母の母と掛けているって訳ですね」

 

手を打って納得と言った表情を浮かべるお艦。

 

「…うむ」

 

「ですが、やはりこういった作戦書は普通に書かれる方が皆さんも分かりやすいのではないでしょうか」

 

「…そうか。こういうのが流行っていると思ったのだが、後で修正しよう」

 

お艦は純粋で真面目やな。もうおっちゃん何も言い返せないよ。

 

「ツッコミたい…とってもツッコミたい」

 

またもやメロンちゃんがブツブツ言っている。

突っ込んでくれてええんやで?

 

「なぁ提督。俺はちなみにどれなんだ? キラーついてるやつだと思うけどな! Dはドラゴンだろ? Tってなんだ?」

 

残念。天龍ちゃんは中二病です。

DTキラーは小悪魔鹿島さんです。

 

「天龍は中二病だな」

 

「え?」

 

「眼帯して、指貫の手袋している者は中二病だ」

 

「おい、それ絶対間違ってる知識だろ!?」

 

いや、多分そんなに間違ってないと思うんだけど…。

 

「提督さん。それじゃあ私が、そ、その…キラーなんでしょうか?」

 

キラーの前は言葉に濁している鹿島ちゃん流石だ、あざとい。

 

「練習艦だったのだ。初めて乗るという意味で間違ってないと思うのだが」

 

香取と違って鹿島は実際には練習巡洋艦として活躍はしてないけど。

 

「あぁそういう意味で…いや納得できませんよ!?」

 

「あ、あたしはどれだかわかるからいいわー」

 

流石波平さんもとい長波様。分かっていらっしゃる。

 

「島風は逆から読んだだけなの?」

 

「…そうだな」

 

「まぁいっか速そうだし」

 

ちょっとその理論は理解不能だけど、あとはあからさま過ぎる言葉しか思い浮かばなかったんだもん。

…語彙の無い俺を許しておくれ。

 

「司令。私はどれだ?」

 

「磯風はセイバー、浜風が%、谷風が江戸前になる」

 

「ほう。セイバーか。うむ気に入ったぞ司令」

 

あぁそう。気に入ってくれたならよかった。

 

「パーセント…可能性…そういう事ですね提督」

 

いや、どういうことか知らないけど…。ちょっと襷掛けの胸の食い込みとか言えないよね…。

 

「なんだか納得できるような出来ないようなモヤモヤするねー」

 

そら、貴女大阪生まれなのに江戸っ子口調つこうてるから仕方ない事でしょ。

 

「それじゃあ、たっちゃんって私の事ですね~」

 

「そうだな」

 

龍田さんの場合は他の候補が身の危険を感じたので一番柔らかいのをチョイス。

ヘタレということなかれ。

 

「提督~。このように呼んで頂いてもいいですけど~」

 

「…たっちゃん」

 

「はぁ~い」

 

うん? 何だコレ。

全然しっくりこない。

 

「しれぇ」

 

「ビーバー」

 

「ハイ。わかりましたっ」

 

ゆきかじぇはほんまにいい娘や。

 

「しれー」

 

「座敷犬」

 

「えー? なんでー?」

 

いや、けっこうそのまんまだと思うんだけど。

 

「貴女にはピッタリじゃない時津風。私なんか中華料理になってるのよ? 信じられないわ」

 

あまつんはまぁ結構、そのまんまだしな。

 

「私はそのまんまなのね」

 

ツチノコさん君は指揮下に入ってないからしょうがないじゃない。

 

「しれーなんで初風に変な名前付けないのー? 意地悪はよくないよー、よくない」

 

「…そういう訳では無い」

 

「じゃあ何でさー?」

 

「時津風…。いいわよ別に」

 

心なしか少し悲しそうか? いや本当にハブってるつもりは無いんだけどなぁ。

 

「初風は俺の指揮下に入ってくれるか?」

 

「初風あなた繋がってなかったの!?」

 

天津風が驚きの声を上げる。

 

「待て、天津風。指揮下に入るかは艦娘本人の意思なのだろう? ならば無理に勧めてはならん。本人が納得して入ってこそだ」

 

「司令。私は結構強引に指揮下に置かれましたけど!」

 

おいアホの子。空気読め!

 

「比叡さん、少し黙ってましょうね?」

 

「ヒェッ」

 

お艦に諭されるヒェー。

 

「私は…その…」

 

「…初風。俺の指揮下に入らないからと言っても、今までと何ら変わらない生活を約束しよう」

 

追い出す気なんてさらさらないから、好きにしたらええんや。

指揮下に入って無くても普通に哨戒活動とかしてくれてるし、何も問題ない。

 

「…いいわよ。入っても」

 

「本当にいいのか? 場の空気に流されてないか?」

 

「あーもうっ、大丈夫よ! ほらさっさと指揮下に入れなさい」

 

「そうか」

 

初風に近づき向かい合う。座っている初風の頭の上に手を乗せる。

うん? 何ともないな。

これ本当に指揮下に置けているのかい?

 

──大丈夫だ。問題ない。

 

そうっすか…。

 

なら、

 

「これからよろしく頼む。ツチノコ」

 

「…え?」

 

何を驚いた顔をしているんだね? 初風改めツチノコよ。

 

「ツチノコってなんでしょう?」

 

「幻の珍獣だったハズよ」

 

ゆきかじぇの言葉に天津風が答え、

 

「ちょっと気に入らないんだけど!?」

 

ツチノコ本人には不評らしい。

 

 

「提督。お訊ねしたいことがあります」

 

「どうした大淀?」

 

大淀さんが凄く真剣な顔で俺を見ている。

 

「どうして私の名前がないのでしょうか?」

 

あぁ、その事か。

 

「大淀は一度本土に戻ると言っていたから、そろそろ戻る頃かと考え、念のために今回は除外しておいた」

 

「…戻りませんよ」

 

「え?」

 

「戻りませんよ」

 

あれ、そうなの? そういう話じゃなかったっけ? 

まぁ戻らないならそれで全然構わないんだけど…。

 

「そうか」

 

「はい。なので私は出撃組でお願いします」

 

「…分かった」

 

黒板にそれぞれの名前を書き込んでいく。

で、大淀は出撃組っと

 

「……」

 

「まだ何かあるか?」

 

「あだ名」

 

「え?」

 

「私だけないのは不公平ではないでしょうか?」

 

「え?」

 

「私だけないのは不公平ではないでしょうか?」

 

同じこと二回言ってる。そんなにつけて欲しいの?

えっと、じゃあ…

 

「…委員長?」

 

「委員長ですか」

 

「あぁ…ぽいですね!」

 

そう思うだろメロンちゃん。

 

「しれー時津風を置いて出撃なんてあり得ないよー」

 

あぁまぁ初風指揮下に入ったし、出撃組でも構わないのだけど、

じゃあ皆で話し合いましょうか。

 

 

 

全員が出撃希望とは…。

 

「この際、全員で行ったらいいじゃない」

 

「いや、そこまで燃料はねぇだろ。最低3人は残る事になるな」

 

あれ意外と天龍ちゃん計算強いの? 

 

「どうすんだ提督?」

 

そうねぇ

 

「全員で出撃出来ないわけでもない」

 

だけどそれをすると父島どうするのってなっちゃう。

硫黄島のホモ提督に頼んでみてになるけど…。

 

「ほんとかよ!?」

 

「父島の警備をどうにかしなくてはならんが、平波に全員乗っていけばよかろう」

 

 

 

そう、作戦名 船で来た とは平波に乗って行ったらいいじゃないという意味なのだ。

 

 




{IMG25950}
ワンコ派さんが描いてくださった某提督
https://img.syosetu.org/img/user/161065/25810.jpg

どうもありがとうございました。
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