今回が思ったより長くなったので次話に持ち越しかな。ごめんなさい。
腹に響く重低音を響かせる四基のターボプロップエンジン。
薄暗い貨物室で、その時を待つ屈強な戦士たち。
それは陸軍の誇る空挺部隊の面々。
「うわぁ陸奥さんダイビングスーツの上からでもふかふかだぁ」
「ちょっと百合恵提督っ…いやん」
とその膝の上に乗る乙女達。
一名、自身の提督の膝の上に乗る戦艦娘の姿もある。
そして鷲掴みされている…何とは言わない。
「た、多聞丸に怒られま…あん」
「ほほ~う。これか、これがええのんか? あたしゃ怒られてもかまわないもーん」
空挺部隊で紅一点の女性隊員の膝の上、栗色のかかった茶色のショートヘアーと同色の瞳。
橙色の着物と緑色の袴スカートに普段は身を包んでいる正規空母の艦娘、飛龍もダイビングスーツの上から同じように揉み扱かれていた。
こちらも何とは言わない。
「隊長、いいんすか止めなくて?」
明るい茶髪にオレンジ色のカチューシャを付けたボブヘアーの女の子を乗せた隊員が、隊長と呼ばれた中年の体つき逞しい男へと声をかけた。
声をかけた隊員の膝の上にいる白露型一番艦の白露は黄茶色の瞳を閉じて、小刻みに震えている。
普段、「いっちばーん」と声高々に騒ぐ姿は見受けられない。
これから艦娘として大空にはばたく名誉ある「いっちばーん」が訪れるのだが、小動物の如く怯え切っている。
「摩訶般若波羅蜜多心経観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異空空不…」
そして隊長と呼ばれた男は正規空母の艦娘、蒼龍を膝の上に乗せ般若心経を唱えていた。
ちなみに愛する妻と今年、9歳と6歳になる子供がいる。
「あはは、どうしよう」
背後からブツブツと聞こえる般若心経を聞きながら蒼龍は困り果てていた。
「…駄目だなこりゃ」
とは言え、その隊員は周りを見ればどいつもこいつも同じような有様だと溜息を吐く。
「……」
「なになに村雨の魅力にやられちゃった?」
やたら色気のある、薄茶色の長い髪をツインテールにした艦娘を膝の上に乗せている隊員は、無言を貫いているが普段以上に厳つい顔をしている。
「ほんとに飛ぶんですか? 大丈夫なんですか? 誰かにぶつかったりしませんか?」
「…あぁ」
澄み切った空の様な、青くとても長い髪を持ち、髪と同様の瞳に涙をにじませながら、何度も振り返る艦娘の名前は五月雨。
振り返る度に肘を自身の座る隊員の横っ腹に入れているが気が付いていないようだ。
「春雨ちゃん。ベレー帽はここに括りつけておくからね」
「はい。ありがとうございます」
この中で一番平和な光景は空挺一筋三十年の曹長と、淡い桃色の髪と紅い瞳を持つ艦娘の所である。
ただ、孫に甘い爺さんの図にしか見えない。
さらに、
「アマクダル」
「アマクダル、テンクダル」
「アマクダリ アマクダリ」
バックパックを装備した妖精さん達とコンテナにさらに小型のボート。
お世辞にも正常な空間とは言えない。
さて、長野百合恵提督とその指揮下(陸奥、白露、村雨、春雨、五月雨)の艦娘と飛龍、蒼龍が何故、混沌とした中型輸送機の貨物室にいるかと言えば、時間を少しばかり遡る。
横須賀鎮守府、百合恵提督執務室。
「あら、私が最後? ごめんなさい」
彼女の指揮下の艦娘達は召集をかけられ、執務室に集まった。
「はい、それじゃあみんな揃った事なので説明します。えー、これから出撃します。
今回は飛龍さんと蒼龍さんを長官から分捕っ…おほん、お力をお借りする事になりました。よろしくお願いしますね」
「「よろしくね」」
息の合った二人の挨拶に指揮下の艦娘達もそれぞれ挨拶を交わす。
それを見届け、ひと段落ついたところで百合恵提督は再び口を開く。
「では、作戦を説明します。っとその前に、皆さんに復唱してもらいます」
「なになにー?」
と白露が興味津々と言った感じで尋ねる。
「では、いきますよ。『作戦中にあった事は口外しない』ハイ」
「「「作戦中にあった事は口外しない」」」
全員で復唱し終わり、最初に村雨が口を開いた。
「秘密の作戦ってことかしら何だかドキドキしちゃうわ」
「…そんなところかな。それじゃあ説明しますよ? …飛龍さんと蒼龍さんは知っていると思いますが数日前、南鳥島が解放されました」
指揮下の艦娘達がざわつく。
蒼龍はその報告を受けた時の、長官が机に何度も頭を打ち付けていたことを思い出し、微妙な顔をした。
「はい、最後まで聞いてください。我々の任務は激戦を経て解放した南鳥島で行動不能に陥っている友軍の救援です。 あちらに航空戦力は軽空母の鳳翔さんしかいませんので、制空に不安が残る為、飛龍さんと蒼龍さんに同行していただきます。 また、しばらくは南鳥島に駐屯の予定です。最低限の私物の持ち込みを許可します。各自にこの袋を渡しますので、これに入る範囲に収めてください」
「提督も行くの?」
荷物を持っていくという事はそれを運ぶ何かが必要である。そこで陸奥は質問をぶつけた。
普通に考えれば自身の提督がシーワックスを使い南鳥島までと考える。
「はい。今回は私も赴きます」
「了解よ。急いでいけば二日。普通に行けば三日ってところかしら?」
陸奥は脳裏に地図を呼び出し、ざっと距離と速度を考えて、そのように述べた。
「でもでも、南鳥島の皆さんが困っていたら急いだ方がいいですよね?」
と五月雨。
「ええ、大至急でいきますよ。今から約6時間以内の予定です。というわけで40秒で支度しな…って言いたいところですが一時間後に第二埠頭に集合。以上です」
「え、ちょっと待って提督」
「なんですか陸奥さん?」
きょとんとした顔を向ける百合恵提督。
「6時間なんてどうやっても無理よ?」
「無理じゃありませんよ? 羽田で輸送機と空挺隊が待ってますから」
「え、どういうこと?」
「羽田から輸送機に乗って南鳥島に向かいます。そしてパラシュートで降下。皆さん降下した事ないと思うので空挺隊が補佐します。ね、いけるでしょ?」
百合恵提督の言葉を聞いて、その場にいた全員が固まった。
「「「……」」」
「あ、エアカバーは所々抜けるところがありますので最悪の場合、島に着く前に降下もありえますから、そのつもりでいてください。説明不足でしたね、ごめんなさい」
本土からしばらくは基地航空隊の妖精さん達が直援に、そこから先は父島にいる龍驤隊、さらにその先は南鳥島にいる鳳翔隊が担当する。
ただ輸送機と妖精さん達が乗る航空機の巡航速度の違いから、全行程で援護はつけられない。
なので、最悪の場合の想定もきちんとしている。
だが、この場にいる艦娘達はそういう事が聞きたかったのではない。
「と、飛ぶんですか? 私達」
全ての艦娘の思いを五月雨が代弁した。
「はい。飛びます」
「「「……」」」
そして再び沈黙が訪れた。
「…百合恵提督。貴女、間違いなく長野提督の血筋だわ」
「うん、ありがとう」
そう言われて、百合恵提督は満面の笑みを浮かべた。
陸奥の言いたかったニュアンスは伝わらなかったらしい。
「無線封鎖されているようです」
「それではこちらは動きようがないではないか…」
陸奥の艦長で同期の山澄君が嘆いている。開戦前に侍従武官も務めたエリートさんだ。
その時は色々と動いてもらってお世話になった。二・二六事件の時とか特に。
五・一五事件は起こらなかったから、二・ニ六事件も起こらないだろうと高を括っていたのが不味かった。
ちょっとその頃、史実より早く照明弾の研究をはじめてて、艦砲で撃ち出せないかと思って色々やってた為に対応が遅れた。
で、何とか山澄君に事件の数時間前に連絡つけられて、情報リークしたというわけだ。
俺の方でも仙台出身のダルマさんだけは保護できた。
一緒に潮の艦橋で夜空に輝く花火を見ながら素敵な夜を過ごしたのはいい思い出だな…。
九五式照明砲弾。 通称、撃ち上げ花火って呼ばれる代物。
事件の夜に芝浦付近に大輪の花を咲かせたよ…綺麗だったな…。
コストに見合わないという事と使い勝手が悪くてお蔵入り兵器になりました。
「長野…参謀…参謀でいいのか?」
階級が一応上であろうから、呼び捨てを途中でやめた山澄君。
俺の肩書って参謀扱いなのかな? まぁいいや。
「なんでしょうか艦長」
「…何か意見はないのか?」
一瞬、すごく嫌な顔したな今。俺の有り余る敬意がお気に召さないらしい。
さて、士官たちが顔を突き付け合ってあーだこーだ言っている訳だが…。
1日目にアメさんの機動部隊がこの辺にいると大体の位置を教えておいた。
だが、偵察機が敵を発見したものの、電波状況と天候が悪く捕まえ損ねた様だ。
2日目に飛龍と龍驤を分派した。正直、悪手と言わざるを得ない。珊瑚海から何も学ばなかったのか。
それとも空母2隻だからどうにかなると思ったのか、歴史の修正力か…。最後のはないと信じたい。
で、この日も空振り。
3日目、アメさん艦隊を2つに分けやがった。
ロングアイランドを囮に、サラトガとホーネットでこちらを叩く腹積もりのようだ。
人命重視のアメさんらしくない作戦だ。それだけ焦ってきているのか。
とにかく、ロングアイランドの狙いはガ島に艦載機で爆撃だろう。
そしてそれに食いついて来た日本の艦隊群を空母機動部隊で叩く。
史実で日本がやった様な戦法だ。
さらにアメさんは輸送部隊をガ島に送り込もうとしている。
あんだけバカスカ沈めたって言うのに、ツラギ方面から転用だろうが、本当に嫌になる物量だ。
もしかして、本隊の方すらこちらを欺く囮なのか? そんなにガトー推しか。
…嘆いていても仕方がない。ポーランドに転生じゃないだけまだぬるいハズ。
さて、腹を決めようか。
もともと独自行動をしている我が艦隊(陸奥、村雨、五月雨、春雨)
空母群を含む主力艦隊と輸送部隊、どちらかなら狙える距離だ。
…そんな事、ミック先生搭載の俺にしかわからんけど。
敵を殺して味方を生かす。
分かってはいるが胃がムカムカしてくる。
戦果評価を考えれば、空母を含む艦隊に突撃した方がいい。
だが、航空機の直援の無い中、こちらは戦艦とは言え随伴は白露型三隻。
主砲の仰角55度じゃ対空戦の不安が残る。リスクが高い。
となると輸送船団か…。
戦前から戦果評価改訂を訴えてはいるんだけど、海軍の戦果評価は敵戦艦や空母が高く、艦艇が小さくなるにつれ、評価点が下がる。
輸送船は評価点が低い。だから味方は積極的に敵の輸送船を狙わないという一面もある。
変なところでガチンコに拘るのは海軍の伝統か…。
できれば、潜水艦は積極的に輸送船を狙っていって欲しい。
見た目の派手さは戦艦を沈めるより薄いだろうが、通商破壊はボディーブローの如くじわじわと効いてくる。
史実で日本が身を持って知っている。
だから、なんとしても戦果評価点を改訂させる。その為には出世しなくては…。
…やはり空母を狙うか?
「おい、長野」
山澄君の顔を見る。彼は戦争を生き残って侍従武官していた時の事を後に綴る。
陛下の生活ぶりとか、何を思っていたか、自分の考察を交えたそんなような手記だ。
「…増速してガ島方面へ」
「どういう事だ?」
「敵輸送部隊を叩く」
駄目だな。リスクは少ない方がいいに決まっている。
ここで無理したら亀作戦にも影響が出る。
「おい、一から説明しろ」
「…時間が惜しい。艦隊に指示をだせ」
「ええい! 艦隊増速! ガ島に進路を向けろ! さぁ、説明しろ」
もう山澄君たらせっかち…なんだ…と!?
また貴様かカンガルーっ! 来るなっ! 寄るなっ! ぶっ飛ばすぞーー!
第二次ソロモン海戦概要
1942年8月31日から翌9月1日にソロモン諸島の北で発生した海戦。
ミッドウェー海戦以来となる大規模な日米空母機動部隊の激突となった。
海戦までの経緯。
第一次ソロモン海戦で連合国の護衛部隊、輸送部隊は壊滅。
ガダルカナル島に上陸したアメリカ海兵隊員約5000人は日本軍の艦砲射撃により、さらに3000名が死傷した。
日本軍は一木支隊第1梯団917人を駆逐艦6隻でガダルカナル島(以下、ガ島)に送り込んだ。
第1梯団は主力の到着を待たずにアメリカ軍と交戦に突入し激戦を繰り広げる。
日本軍はガダルカナル島へ増援の輸送船団を編成。
第三艦隊(空母「瑞鶴」「翔鶴」「飛龍」「龍驤」が主力)と第二艦隊をトラックから出撃させ、輸送船団の支援に当たらせた。
アメリカ海軍第61任務部隊(空母「サラトガ」「ホーネット」「ロングアイランド」が主力)もガ島近海に戻ってきた。
また、ガ島で苦戦を強いられている海兵隊増員のために、先の第一次ソロモン海戦で難を逃れた海兵隊6000人を乗せた輸送船団をニューカレドニアから進発させた。
海戦
8月31日、日本側は空母「飛龍」「龍驤」、重巡「利根」、駆逐艦「時津風」「天津風」にガ島を攻撃させてアメリカ空母の艦載機をおびき出し、
その間に「翔鶴」「瑞鶴」がアメリカ空母を撃破する作戦に出た。
奇しくもアメリカ側も護衛空母「ロングアイランド」、巡洋艦1隻、駆逐艦3隻で同じ作戦に出る。
9時、「ロングアイランド」艦載機が「飛龍」「龍驤」を発見。
11時過ぎ、重巡「筑摩」の水上偵察機がアメリカ空母を発見。
12時30分、「ロングアイランド」隊、飛龍へ攻撃。爆弾1発が命中。
13時50分、「飛龍」「龍驤」隊がロングアイランドを攻撃。魚雷2本、爆弾3発命中。
14時30分、「翔鶴」隊の攻撃により、「ホーネット」に爆弾2発が命中。
14時40分、「ロングアイランド」沈没。
15時18分、「ホーネット」隊の攻撃により翔鶴に爆弾1発命中。
日本海軍第二艦隊は夜戦をもって連合国艦隊を叩くべく行動したが、発見できず23時に撤収した。
9月1日
3時19分、独自行動をとっていた戦艦「陸奥」第二駆逐隊(村雨、五月雨、春雨)は揚陸間近の連合国輸送部隊を発見し、夜戦をしかけ、重巡1隻、輸送船2隻を撃沈して部隊を撤退させたが、
一部はガ島に座礁する形で揚陸を果たした。
この時、「陸奥」は深夜にもかかわらず2万3千メートルの距離からの砲撃を命中させている。
後に陸奥の指揮官の一人が「陸奥は散布界が狭いからやりやすかった」と同期に語っている。
6時00分、日本軍輸送船団はアメリカ陸軍のB-17に空爆を受け、軽巡「神通」が中破、「睦月」、輸送船「金龍丸」が撃沈されるが、
近くを航行中の「陸奥」と第二駆逐隊が護衛に加わり、輸送船三隻からの揚陸を果たした。
海戦後
9月2日、「ホーネット」は損傷修理の為、撤退中に日本潜水艦「伊26」の雷撃で沈没した。
9月3日、上記同様に撤退中、日本潜水艦「伊33」の雷撃で戦艦「ノースカロライナ」が大破した。これは「サラトガ」を狙って外れたもの。
結果
日本は空母2隻が損傷、連合国側は空母2隻喪失。
艦船の損害だけ見れば日本側の勝利といえる。
その一方で艦載機の損失は大きく、補填に時間がかかる結果となった。
アメリカ側も空母戦力が「サラトガ」のみとなり苦しい戦いが続くことになる。
また、ガ島では更なる激戦が繰り広げられることになり、泥沼の様相を見せ始める事となる。
「テートークゥー! どこ行ったデスカー!?」
遠くから紅茶好きの長女の声が聞こえ、柔らかさを感じながら意識が浮上する。
すまんな。ちょっと色々限界なんで勘弁してください。
下半身的な意味でも、精神的な意味でも…。
ボーっとしている頭でそんな事を考えて、何気なく周りを見渡せば座礁した平波の艦橋。
まさかこんなところにいるとは思うまい。
いや、そのうち見つけ出されるかな? まぁそれでもちょっと一人になりたいねん。
男の子は孤独にならねばならない時があるんだ。
とは言いつつ、こんな所で賢者タイムになるような息ヌきするのは流石に気が引けるのでしないけど。
では何をしていたかと問われれば、ちょっと歴史のお勉強だ。
廃墟に残されていた読める近代史関係の本と、平波にもそれ系が何冊か置いてあったので、それらを見てミック先生の補足を受けて色々と考えていた。
俺が関わった事で微妙に歴史変えてる影響をね、確認していたといった方がいいのかな。
…寝てしまったようだけど。
さて、個人的に一番変化があったと思うところは憲法。
大日本帝国拳法にCQCやジークンドーを取り入れて発展させた現代の日本国拳法。
今や世界の三大武道の一つとして多くの者が日夜、技を磨いている。
と冗談はさておき、
──他二つの武道が気になるのですが。
…ワイマール剣法とウル・ナンムと呼ばれる古武術とかでいいんじゃねぇの?
──承知。
拳法じゃなくて憲法。
何かと話題の九条だが、この世界だと一項は一緒だが、二項が違う。
要約すれば自国防衛の為の陸海空、最低限の防衛力は持ちます。という事だ。
朝鮮戦争では米国の要請を受けて戦力を提供している。これが自衛に当る当らないで揉めたそうだが。
流石にベトナムの時は要請されても出さなかったらしい。
これが個人的に一番大きな変化だと思う。
で、曲がりなりにも軍が残った故に負の遺産も残ってしまったようだ。
変に高いプライドとか、陸と海の仲の悪さとか、
陸軍も海軍も米国には負けたが他には負けてないっていう認識で、歴代の政権はシビリアンコントロールに苦労していたようだ。
半島の戦争では『解き放たれた猟犬』なんて揶揄されるぐらい暴れ回った様だ。
そのお陰なのかは分からないが、日米同盟は多分、前々世の平成時代より強固のように思える。
頭は柔らかいものの上に乗っているようだけど…。
…え? ちょっと待って…榛名?
近い近い近いっ! 瞳を閉じて顔を近づけてくる金剛型の三女の顔。
肌きめ細かいなぁ。
ってそうじゃない!
「…何をしている?」
「あっ、お、おはようございます?」
遠ざかっていく顔。そして把握した。
俺の頭頂部が榛名のお腹に付くような形で膝枕されとるんだが…。
「……」
「榛名は大丈夫です」
…何が大丈夫なんですかね?
──提督ーっ! 空から女の子が!
…は?
姉を出し抜く妹。
空挺部隊に女性なんて、おかしいって野暮なことは言わんといて。
あと陸奥の艦長さんが侍従武官を務めたのは史実では36年の4月か5月位からですが、本作では前年の12月から務めてもらっています。
たぶん同期で一番、苺入餃子の異常性を知っているお方。
彼を通して自然災害予測書なるものを陛下の方へ。
竹島はきっとアレだよ。
国籍不明の武装集団を追い払った、とかそういう事になってるんだよきっと…。
おまけ
図鑑説明 浜風(苺味)
浜風です。数々の激戦に参加しました。
レイテでは金剛を中心とした輪形陣。そして武蔵の最後、運命の坊ノ岬では、雪風らと共に大和を護って奮闘し、その後金剛の最後も見届けました。