お徳用瑞雲さんが入室しました。
お徳用瑞雲:てぇへんだ! てぇへんだ!
ライバック:どーしたハチベエ、そんなに慌てて?
雷電☆命 :もちつけ
アァーー!:一皮は剥ける手術でも受ける気になったか?
お徳用瑞雲:親方てえへんなんだ、南鳥島を誰かが奪還したんでぇい! クソホモは黙れ!
ライバック:あぁその事か。まぁこいつでも見てとりま落ち着け
ライバックさんが画像を貼り付けました。
お徳用瑞雲:なん…だと!?
アァーー!:ふむ。これがどうしたのか?
お徳用瑞雲:鈴谷の香取型コスプレだぞヲイ!? ってホモには分からんわな。
雷電☆命 :なんかすごくえっちぃね。
ライバック:うちの青葉が撮ってきた。現在、江田島で先生やってるみたい。
お徳用瑞雲:へぇ。画像保存しとこ。
雷電☆命 :よし! それじゃあ私もとっておきをだしてやろう。
雷電☆命 さんが動画を貼り付けました。
そこに映し出されたのは、動画を貼り付けた本人と指揮下の第六駆逐隊の面々と自称、艦隊のアイドルがどこかのステージで歌って踊っているもの。
ステージといってもどこかの商店街の一角に作られた小さなものである。観客は両手両足で数えられるくらいだ。
お徳用瑞雲:なぁにこれ?
ライバック:何してんのお前?
アァーー!:ダンスの出来がイマイチだな。あと電の目が死んでいる。
雷電☆命 :ふっふっふ。どう驚いた? あんまり可愛いからってオカズにするなよ?(*ノωノ)
お徳用瑞雲:まぁ、うん。可愛いとは思うよ。ちょっと俺の趣味じゃないけど。
ライバック:誰をオカズにすればいいんですかね(困惑
アァーー!:メスに興味はない! ガチムチな雄を用意しろ。話はそれからだ!
雷電☆命 :お前らっ…おまえらぁぁぁ! 那珂さん可愛いだろうがっ! 那珂さんに謝れ!
お徳用瑞雲:お前が一番失礼だろうがっ! 那珂ちゃんに謝れ!
ライバック:それで、なんでこんな事したのよミコト。
雷電☆命 :はぁ? ライバックがしばらく大人しくしてろって言ったんじゃんか?
ライバック:ええ、言いましたとも。
雷電☆命 :だから提督業をお休みしてアイドル業してたんじゃん。
ライバック:は?
雷電☆命 :うちの子達にアイドルコスさせてさらにプロデューサー気分まで味わえる。私、天才じゃね?
お徳用瑞雲:…信じられるか? こいつが国防の一端を担ってるんだぜ?
アァーー!:…英霊たちが泣いているな。
雷電☆命 :そんなに褒めるなよ。テレル(〃▽〃)
ライバック:時々、こいつの性格が羨ましくなる。
アァーー!:しかし、地域貢献や親睦を考えれば悪い手ではないのかもしれないな。
お徳用瑞雲:一理ある。って言っても俺がいるところはほとんど人いないからその手は使えないけど。
ライバック:伊勢と師匠がキレッキレのダンスしてる所なんて想像できないしね。
お徳用瑞雲:そうだな。って、本題忘れるところだった。南鳥島の件だよっ!
ライバック:全員知ってるよ。ちょっとばかし関わったし。
お徳用瑞雲:くわしく
ライバック:今、メール送った。呉とか横須賀は今、上も下も大騒ぎしてんぜ?
お徳用瑞雲:くっ、僻地にいる影響か。早速読む。
雷電☆命 :私には?
ライバック:お前には何回も説明したよね!? なるほどわからんってその都度、お前言ってたよね!?
雷電☆命 :そうだったのかー。
アァーー!:ミコト嬢。一つ質問良いかね?
雷電☆命 :なにさ?
アァーー!:那珂さんは君の指揮下に入ったのか?
雷電☆命 :そうそう。スペシャルアドバイザーとして口説いたら、意気投合してね。
お徳用瑞雲:それでいいのか艦隊のアイドル…。
アァーー!:うちにも最上が来ないものか。
ライバック:男の娘の可能性を考えているなら100ぱー無いから。
アァーー!:(´・ω・`)
雷電☆命 :ホモが顔文字使うと穢された気がするから使わないでくれる?
アァーー!:……。
パラパラと雨が窓を叩く音を聞きながら、男は立ち上げていたパソコンの電源を落とす。
7月に入っても、こうして雨が降ると些か肌寒さを感じる。少し前に桜が散ったばかりだ。
まだ桜の木の下に行けば落ちた花びらを見つけることが出来るかもしれない。
男はその様な詮無きことを考えながら温くなったコーヒーを口に含む。
今では高級品になってしまったそれは少し前に米国アラスカに赴いた際に爆買いしてきた品である。
男の名前は 出羽 颯介(でわ そうすけ)。
福島県出身で父親にご先祖は白虎隊に所属していたとも海軍大将だったとも言われて育った。
特記すべき事はそれくらいで、ほかは普通に育ってきた青年である。
そしてある日、艦これプレイ中にリアル艦これ世界へと投げ出された。
その世界では観測者組と呼ばれ、その中で提督という職についており、仲間内ではお徳用瑞雲と名乗っている。
「ここの夏はまだ遠いな」
窓の外を眺めながら一人呟く言葉は雨音に消えていく。
そこは大日本帝国海軍の機動部隊が集結し、真珠湾攻撃のため艦隊がハワイへ向け出港した場所として知られている。
単冠湾(ひとかっぷわん)である。
「あ、君まだ起きてたんだ」
執務室の扉が開き、そこには伊勢型2番艦のクールなお姐さん
容姿はブラウン色のおかっぱの様なショートヘアで瞳の色も髪と同じ色。
服装は和服をベースにした軽装で、白地の上着に中には黒いインナーを着ている。
艤装を展開していない今の状態でも海軍制式軍刀は帯刀している。
「師匠こそ何か用?」
「…前から聞こうと思っていたんだが、なぜ私を師匠と呼ぶんだ?」
「風格的に?」
「…そうか」
執務室に雨音が響き、どこか緩い空気が流れる。
「あー、それで師匠はどうした?」
「廊下に明かりが漏れていたのでな。空き巣なら斬ってやろうと思ったのだが…」
「そうか…いやいや、もし空き巣でも斬るなよ!?」
「…駄目か?」
「駄目だろ!」
「…そうか」
「何で一瞬、間があったのかな!? はぁ、まぁいいや。師匠、南鳥島が解放された」
「それは目出度いな。どの部隊だ?」
「うん、まだ詳しい所まではよくわからんけど…」
そう言って出羽(お徳用瑞雲)はどの部分まで言うべきかと思案する。
ライバックやホモの推測まで話すというのは憚られるし、金剛が暴走した原因なんかは触れない方が良いかなどと短いながらの時間で、話す内容を組み立てていく。
結論として、南鳥島にいる苺入り餃子が本土に対して行った報告の内容を話すことにした。
深海棲艦の勢力下海域ってどうなってんだろうと哨戒活動の一環として出かけた苺入り餃子とその指揮下が、深海棲艦勢力下に深入りしすぎて救難信号を発し、そこに駆け付けた金剛、榛名、浦風、時雨、夕立と共同して、敵中枢艦隊を倒しました。
金剛たちマジすげぇといって賞賛したあとシーワックスが艦首切断で南鳥島に座礁してるんで助けてくださいといった内容だ。
語っといてはなんだがこれは無理あるだろうと思う出羽だった。
そもそも深海棲艦勢力下では救難信号が遠くまで届かないのは海軍では常識。
よしんば仮に届いたとして救難信号を受信してから直ぐに駆けつけられる位置に金剛達が居たことになる。
そんな都合のいい事なかなかあるものではない。
「…南鳥島にいる提督は面白いな」
「面白い?」
以前は海軍学校の教官やっていた艦娘をほとんど指揮下において、今回は南鳥島に向かった時には父島にいた問題児扱いされていた艦娘も指揮下に入った。
今回の事はもちろん金剛達の力が大きいのは分かるが、父島にいた艦娘に協力を得られるくらいの関係を築いただけでは無く自分の艦隊に組み込んでいるのだ、
面白いというより訳が分からない。
「まるで長野艦隊じゃないか」
「え、あぁそうか。そうなるのか」
「北号作戦を知っているな?」
唐突な話題転換に困惑を抱きながらも頷くお徳用瑞雲。
「もともと完部隊の援護に金剛達を向かわせる予定だったらしい。だが、何処かに消えていたらしくてな。我々が本土に戻って来た後にしれっと現れた。司令部は相当お冠だった様だが、何処からか油槽艦を持ってきて有耶無耶になったんだ。松田司令に会いに長野提督がやって来た時、事の顛末を聞いて、普段は理知的な松田司令が大笑いしていたな」
「へぇ。でも何で今その話したんだ?」
「何故だろうか、思い出した。もしかしたら長野提督だったりしてな?」
腕を組み薄く微笑む日向。
「はっはっは。もしそうなら潜水棲姫が海上を走って逃げるな」
「しれっとした顔で現れても私は驚かないな。まぁ会ってみればわかる事だが、誰か助けに行っているのか?」
「あぁ、とりあえず制空権確保したみたいだ。とんでもねぇ方法で。そいでライバック…長門の提督が迎えに行くってさ」
「そうか」
執務室に雨音が響き、どこか緩い空気が流れる。
ここではいつも通りの光景である。
長野グループ本社の応接室で、現代表の長野業雅は何とも言えない表情を浮かべていた。
応接室にある一つのソファーに腰掛けながら周りを見渡す。
「おい息子よ。なんとかしてやれんのか」
右を向けば自身の父がムシャムシャとバナナを頬張りつつ、一人掛けのソファに大きな態度で座っている。
代表の椅子をとっとと引退して押し付け悠悠自適に自分の趣味(自動二輪)の研究に精を出している父親に思うところはある。
今は言ってもしょうがないので言わないだけだが。
「私からもお願いしたいんだけどねぇ」
そして父親の正面、ローテーブルを挟んで向かい側、つまり業雅から見て左側には現内閣の閣僚の一人が吸っていた煙草を灰皿に押し付けたところだ。
正面には三人は座れるソファーがあるが、そちらは無人。
しかし、テーブルには5つのカップ。
ソファーから少し離れた位置に、頭部が少し寂しくなっている男と、後頭部に寝癖がついた男。
その二人組が土下座しているのである。
「なんとかと言われてもな。もう一度この状況の説明をして貰いたいんだが…」
父親と閣僚の一人がアポ取ってきたのだ。何か大事かと思い、こうして面会している。
政治資金か、はたまたグループの協力で何かしたいのか? 食料関係? それともエネルギー関係か? はたまた経済か? 胸中で様々な考えを巡らせていた所に、
「どうかっ! 苺ちゃんルートを組み込むことのご許可を!」
これである。
土下座する寝癖がついているほうの男が吼える。
「えぇと、皇国ファクトリーさんのえぇと」
「失礼しました。私、佐藤と申します」
土下座体勢から頭を上げずに床を這い、頭上に名刺を掲げる佐藤と名乗った人物。
名刺を受け取り、
「ご丁寧にどうも。というか頭を上げて、そちらに座って頂きたいのですが…」
「いえっ! ご許可を頂くまで決して頭を上げない覚悟でこの場に赴いてまいりました! どうかっ! どうかご許可の程を!」
困惑するしかない。
「親父、だからどういう事なんだ?」
「皇国ファクトリーっていうのはゲーム屋だ」
「そりゃ知ってる。
長野 業貴(ながの なりたか)は長野業雅の高校生になる息子である。
プチ反抗期中で、百合恵提督の弟である。
将来の夢はロックスターか電車の運転手と堅実なのか夢見がちなのか父親としてちょっと心配な今日この頃。
「わが社の製品をお買い上げいただきありがとうございます! ご許可を頂けるなら今後わが社の製品の一切お代は結構ですので是非とも! あ、私、加藤と申します。佐藤(砂糖)と加藤(果糖)で糖質コンビなどと呼ばれています。ははは」
今度は頭頂部が少し寂しくなっている男、加藤が佐藤と同じように近づき名刺を捧げた。
この動き、気持ち悪いと思いつつも顔には出さずに名刺を受け取り、再び席を勧めるが答えは同じだった。
「皇国ファクトリーさんの製品でなんて言ったっけ?」
「はいっ! 『太平洋戦姫 ~ 桜花のワルキューレ ~』です先生」
「そうだそうだ。それに登場するキャラクターの苺ちゃんがね。壱業氏がモデルなんだけど、私もルートが無くて残念に思ったもんだ」
政治家がゲームキャラの話、ましてや副総理と防衛大臣を兼務している男から出るとシュールである。
ちなみに何故この場にいるのかと言えば、政治献金とパーティー券の購入をしてくれた相手だからだ。
「つまり、そのゲームキャラ使用許可が欲しいという事ですか?」
「いえ、キャラ自体はもう世の中に出ているのですが、今まではサブキャラ扱いで個別のシナリオを潰さ…諸事情により断念していたのです」
「それの許可ということですか」
「はい! 是非ともお願いします」
「本人の名前でも無いし、あくまでもモデルってだけなら長野の許可は必要ないのでは?」
「そ、それでは個別ルート解禁しても宜しいので?」
「え、まぁ、いいんじゃないですか?」
その言葉に佐藤と加藤は顔を上げて立ち上がり、雄たけびを上げながら抱き合ったのだった。
業雅はその姿にまた困惑しながらも目の前の茶を啜る。
「よし、じゃあ息子の邪魔してはなんだし、行きましょう」
と父親は、全員を急かす様に出ていく。そして扉を閉める前に
「息子よ、婆ちゃんをちゃんと説得するんだぞ?」
と言って出ていった。業雅はこの日何度目かの困惑をするのであった。
北号作戦は1945年5月に行われました。その頃、苺餃子は米の輸送船団を襲ったり硫黄島に艦砲射撃してました。