ではどうぞ!!
私立山星高校、そこそこの進学実績を持ち、
自由な校風が特徴の学校。そんな高校にも
『生徒は絶対に部活に入らないといけない』
と言う絶対遵守のルールが存在する。
「なんだよそのルール、俺に対するあてつけかよ」
おっと思わず口に出してしまった。一人で考えて
一人でつっこむとか大丈夫かよ俺…
まぁ数ある部活の中でも自由に活動できる部活に
入れただけでもまだましと言えるだろう。
「おい、ぶつくさうるさいぞ比企谷」
げっ…面倒な奴にきかれてた。
「今、『面倒な奴に聞かれてた』と思ってただろ」
なぜ分かる、エスパーかお前は…
こいつの名前は稲葉姫子、俺が所属している
文化研究部、通称文研部の部員の一人であり、
髪は黒色でセミロングくらい、
よく漫画とかに出てくるクールビューティを
絵にしたような奴だ。
「何でわかるんだよ稲葉…それより比企谷は次の
文研新聞のネタは考えたか?」
「いや、まだだ」
「そう言う太一の方はどうなんだよ?」
「俺か?俺はもちろんプロレスだ!今度のネタは……」
という具合に稲葉の質問に熱く語り始めたのは
八重樫太一。茶色で少しツンツンした髪が特徴的、
ドがつくほどのプロレスオタクである。
「黙せ」
「いや、そっちが訊いたんだろ」
「アタシはネタを用意できたか、つまり
イエス・オア・ノーの質問をしただけだ。
それ以上の内容言及について頼んだ覚えはない。
つーか、聞きたくない」
相変わらず稲葉の言葉はストレートで手厳しい…
確かにその通りなのだが
「もう少しオブラートに包んでもいいんじゃないか?」
ほら雰囲気も微妙な感じだし……
そんな何とも言えない空気の中、ガラガラと扉が
大きな音を立て開かれ、同時に快活な声が室内に響く。
「チィース!遅れましたぁ!」
凍てついていた空気を溶かすようなそんな暖かく
キラキラと輝く笑顔がそこにあった。
彼女の名前は永瀬伊織、ぱっちりとした二重と、
特にこだわりなくくっているであろう
黒髪が印象的であり、この部の部長兼
ムードメーカーである。
だが俺のことを唯一変なあだ名で呼ぶ奴だ。
「ってあれ?太一と稲葉んとヒッキーだけ?」
「なぁ永瀬、そのヒッキーって
呼び方どうにかできないか?」
「へっ?ヒッキーって可愛くない?」
んな訳あるかその呼び方だと俺が
引きこもりみたいだろうが。
まぁクラスで『ぼっち』である事は認めるが
断じて引きこもりではない。
そんな事をもんもんと考えている内に永瀬は奥に
設置されているソファへとダイブしていた
「伊織、スカートが捲れてスパッツが丸見えだぞ」
「別にいいじゃん」
「俺たちもいるんだぞ」
正直少しは気にして欲しい。
目のやり場に困るというか…
「一チラ見百二十円」
「金とるのかよ。…その割には良心的な価格設定だな」
「太一…お前に他意は無いんだろうが、
その発言はリアルに犯罪っぽくなるから
その辺で止めとけ」
稲葉のツッコミが入り、永瀬は「くくく」
と悪戯に成功した子供の様に笑う。
正直、こんな光景を見ていると、
違和感と温度差を感じてしまう。
それは俺がまだこの空間に慣れて
いないからなのだろうか…
「ところで、永瀬の次のネタはなんだ?」
太一はそう声をかけた
「う~ん、実はこの前、『文研新聞』に足りない
ものについて考えていたんだよ」
「で?」
「スキャンダラスな面は稲葉んが、校内外の
マニアックな情報についてはヒッキーが
担当していからいいとして、後エロティックで
デンジャラスな成分が足りないと言う
結論に至りました!!」
「誰も校内新聞でそんな写真週刊誌ばりの
刺激は求めてないと思うぞ」
そもそもその内容だと本来の趣旨から
外れてしまっているだろ。
「そんなわけだから稲葉ん、次はエロにも
挑戦してみよう!」
「高一の純情な乙女にエロネタ書かそうとするな」
純情な少女が持つべきはずの恥じらいなど、微塵も感じさせない様子で稲葉が返す。
「いやいや記事はわたしが書くんだよ。だから稲葉んは、エロスを感じさせる写真を
一、二枚撮らせてくれれば……」
「嫌に決まってんだろうが!なんでアタシが男子の
性欲処理の材料を提供しなくちゃならないんだよ!」
「稲葉が想定する『校内新聞に掲載が許されるエロス』
の定義が気になるところだな」
「おい八重樫、あいつら聞いちゃいねぇぞ」
ニュアンスからして相当エロそうだな…
最早、完全に純情な乙女とは思えなくなっているような…
「つーか、伊織。お前の方が美少女なんだから、
そういうのに向いてるんじゃないか?」
「ノン、ノン。私は脱いだらダメなアイドルタイプ
だから、確かに可愛さでは上でも、妖艶さみたいのを
感じさせたい時は稲葉んの方がいいんだって」
「こ、この二人、完全に脱ぐ前提で
話しているじゃないか……!」
「八重樫、ひとつひとつに付き合ってると疲れるぞ」
実際に俺は、この空気と絡みで早く
家に帰りたいと感じている。
「理屈は分からんでもないが…妖艶さなんて
男子高校生に需要があるとは思えんぞ。
普通にもっと健全なものがウケるだろ」
「いや、案外、今時の高校生には大人っぽい
魅力の方がウケると私の勘が告げてるんだよ」
「勘かよ」
長瀬かの言葉にボソッと太一がつっこむ。
黙ってればよかったものを…
「そういえばここに高校生サンプルが
二人いるのを忘れてたな」
ほら、標的に…って俺もかよ!?
「太一とヒッキーは私と稲葉んの
どっちに脱いで欲しい?」
「そんなの…」
「そりゃ、男子生徒全員を代表するなら、
『両方脱げ』ということに…」
って八重樫の馬鹿が、そんな事を言ってしまったら…
「十五時十五分、八重樫太一、比企谷八幡、
『女子部員二人に対して服を脱ぐように要求ス』、
と。稲葉ん、記録した?」
「もちろんだ、今月の編集紀行はこれで決まりだな」
にんまりと笑いながら、稲葉はキーボードを
叩いていた。
「ちょっと待て、俺は何も…」
「い、一応言ったのは事実だから反論できない…」
「そこで認めるな、八重樫、お前はそうだが、
俺は事実無根なんだぞ」
「言っても言い負かされるだけだぞ」
確かにそうかもしれないが……
こんな時に部活内の力関係をはっきりと思い知らされる。
長瀬が漫画を、俺は小説を読み、稲葉がパソコンに
向かい、八重樫が明日の授業の予習をする
というスタイルで三十分ほど時間が経過した。
今日は部員六人が集まって話し合いをする日と
決まっていたのだが、後の二人がやって来ない。
「そういえば今日、青木の様子が
何か変だったんだよな…」
そう太一が呟いて、再び会話が再会される。
「それって体育の時か?」
ピクリと反応した稲葉が、探るような
視線で太一に尋ねる。
「唯も、体育で見たときどことなくおかしかったよね?」
「そうなのか、じゃぁ、もしかすると何かあったのか…
まさか、ついに青木の猛烈アタックが実ったとか…」
「それだけはないな。少なくとも今のままじゃ、
一生かかっても無理だ。あいつが見落としている事に
気づかないかぎり_」
八重樫と稲葉が、なかなか部室に来ない二名についての
会話をしていた、まさにその時、控えめながちゃり
という扉の開く音がした。入り口から残りの
文研部員である二人がおぼつかない足取りで歩いてくる。
長身の男は青木義文。軽くパーマのかかった長めの髪が
特徴的で、簡単に言ってしまうと、いつもへらへらした
軽そうな感じの長身優男だ。
もう1人は桐山唯。全体的に活発的な印象があり、
明るい栗色をしたロングヘアーと、とても小柄な
見た目がとても特徴的な少女だ。
しかしなぜか、今日の二人は元気さの欠片も
感じられない、まさしく、衰弱しきった姿だった。
机の一片に八重樫、長瀬、稲葉、と座り。
その向かい側に青木と桐山が並んで座り、
その後ろで俺が壁にもたれる様に立つという形で
話は始まった。と言っても青木と桐山は
顔面蒼白なまま、時折お互いの顔を確認し合うだけで、
一行に話を切り出せずにいた。
「で、えーと?どー・・・したのかな?」
何となく重苦しい雰囲気の中、
長瀬が先陣を切って尋ねる。
「いや、まぁ、それは話そうと思うんだけど、
なんつーかさ・・・」
青木が頭を掻きながら言い淀む。
「どうしたんだよ、本当に。なんか悩んでるんだったら
相談してくれよ。ある程度なら力になれるはずだぞ」
八重樫も二人を促す。
「おう、それは、マジでサンキュ。さっきみんなには
話そうって二人で決めたんだけどさ、いざとなると
ちょっとな・・・でもホント、これを誰かに言うとなると
結構勇気がいるというか・・・」
「さっさと吐け」青木の声を遮って稲葉が鋭く言い放つ。
青木が少々ビビリ気味に頷いた。
稲葉はどういう状況でも容赦が無かった。
「実は俺たち昨日の夜」
全員が息を呑み、室内が水を打ったように
静まりかえる。青木はタメを作り、しっかりと
その沈黙を行き渡らせ、そして。
「―魂が入れ替わってたんだ!」
そう叫んだ。
「は?」と稲葉
「へ?」と八重樫
「あっはっはっは・・・・・・は?」と長瀬
三者三様、とりあえず呆気に取られる。
俺はというとあまりのアホな申告に呆れ、
深くため息をついてしまっていた。
「だから俺と唯の魂が入れ替わってたんだよ、
マンガみてーに・・・・・・だっ」
「おお、脳天唐竹割り」
稲葉が青木に叩き込んだチョップの正確さと鋭さに、
八重樫は思わず感心していた。てか、
アホな事をすると、稲葉のあれをくらうのか・・・
「フリの割にボケがつまらん」
「違うって、ボケじゃなくて大マジメに
言ってるんだよ‼」
「じゃあ今の青木は唯って事?その割には
バカ丸出しなとことか全く変わってない
気がするんだけど?」
「だから『入れ替わってた』で過去形なんだって!
今は元通りに戻ってんの!」
それからも青木は無駄に大きなジェスチャーで必死に訴えようとするが、言ってる事があまりにも荒唐無稽で、八重樫たちも困惑するばかりだった。
「・・・やっぱり嘘よ、あれが現実とかあり得ない。
うん、ない。やっぱ無い。あれはただの悪夢よ!」
桐山はそう自分に言い聞かせるように、
立ち上がりながら叫んでいた。
「う、裏切られた!?さっきはお互い
アレが事実だったって確認したじゃん!」
「だから言ってるでしょ、アレは夢だったの!」
「~っじゃあ俺たちは同じような夢を見て、
しかもその夢の中で『入れ替わってた』て
時間の認識も一緒で、お互いが入った事の無い
部屋の間取りの認識とか、
俺が動かしちゃった小物の位置とかも、
同じように現実でも動いてたって事も
偶然って言うのか!?」
「そんなもの偶然に偶然と偶然が重なっただけよ!
第一入れ替わるにしても何であんたとあたしなのっ!」
噛みつかんばかりに桐山が吠える。
「まぁそれはあれじゃね?運命っつーか、
前世の因縁っつーか。だからもう、
このまま付き合ったらいいじゃ~ん」
「なんで行き着く先がそこなんだよ」
と思わず俺はつっこんでいた。
当人たちには全く聞こえていないようだが。
「ひぃぃぃぃぃ!そんな事を言い出すから嫌なのよっ!
伊織~変態が変な言いがかりつけてくるよ~」
と泣きながら桐山は永瀬に飛びつく。
永瀬は「はいはい、どーどー」とじゃれ付く犬を
なだめるように、桐山の背中を撫でていた。
「え?結局認めてくれないのって俺だから……?」
がくーん、と肩を落とした青木に、
八重樫はドンマイと声をかけていた。
正直、状況がいまいち理解できなかったが、
理不尽なのか、自業自得なのか判別しがたいが、
青木が惨めだという事だけは理解できた。
どうも、チャッキーです!
さてさて、今回は部活内の雰囲気を何となく
描くような話になりました!
正直言って原作の『ココロコネクト』と
話の流れは全くと言えるほど変わりません。
そこに比企谷八幡が入り込むような…
そんなコンセプトです。
最初の投稿からほとんど時間がたっていないのは
もともと最初からここまで投稿する予定だったからです。
次からはすごく遅くなってしまいますが
長い目で見ていてください。
それでは、今回はこの辺で終わりとさせていただきます。
最後に、たくさんの意見、お待ちしております。