騒音部の一行   作:川端アイモ

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橋の上の決闘

再会の喜びも程々に遂に第一の門付近まで来た一行は草むらの影から様子を伺うことにしたのであった。そこにはラッキーと同じ風貌をした鬼が二体、待ち受けていた。

 

「やっぱり居やがるな!」

 

「どうする? このまま突撃する?」

 

「いや! 待ちんさい! ここはワシに任せてもらおうか」

 

「何か策はあるのか?」

 

「ふふふ……ここで見てるんじゃ! 宗一! ポイントカードは預かるぞい!」

 

宗一からポイントカードを受け取り普通に歩いていくラッキー……

 

(野郎ッ! まさか裏切り……)

(待って! もう少し様子をみましょう……)

 

門に着き何やら鬼達と話し込むラッキーを見守る一同に緊張が走る。

 

(やっぱり!)

(そんな……ラッキー!)

 

もう我慢出来んっと宗一が飛び込みそうになった時、ラッキーはそそくさとこっちへ帰ってきた。

 

「待たせたのう! ポイント押させてくれ言うたら意味が通じなくてのアニメ屋さんの話になって手こずったわい! とにかくそれぞれの推しメンの話になっての……」

 

「ラッキー……今は推しメンの話はいい」

 

「そうか? ほれ! 見てみんさい」

 

そこには確かに印が刻印されていた。

 

「あぁ……俺のポイントカードが……」 

 

「ねぇ……この方法で印を全部集めたら早くない……」

 

「直美よ……とにかく次へ行くのだ……」

 

テンションが低い宗一に次の門を探させ、またアプリで目的地に目星をつける神父と伸二だが神父は抱いた懸念を口にした。

 

「厄介だな……」

 

「どういう意味ですか? 神父?」

 

「ふむ……伸二よ。私の携帯の画面を見ろ」

 

神父の携帯を覗き込んだ時、伸二にも神父の考えている事がわかった様だ。

 

「これは……」

 

「そういうことだ」

 

押し黙る二人の様子を不思議に思った直美が声をかける。

 

「で……何が厄介なの?」

 

「あぁ……姉さん。これなんだけど……」

 

「次の目的地は橋の向こうだ」

 

「それが何か問題なの?」

 

「恐らく数百メートルの間、身を隠す場所が存在しない。オオカムズミノミコトの話では門には鬼や雷神が複数いるらしいからな」

 

「へ? でも、さっきみたいにラッキーに印をもらって来て貰えばいいじゃない?」

 

「もしそれが失敗したら? 数百メートル離れた所で我々はフォロー出来るのか?」

 

その言葉に直美は考えこんでしまった。神父の言う通りでラッキーに行ってもらうのは容易いが必ずしも成功する訳では無いのだ。

 

「じゃあ……いよいよ!」

 

「あぁ……本格的な衝突となりそうだ」

 

一行は次の目的地に向かっていた。

 

しかし、神父の提言で相手の戦力がわからない以上、無用な戦闘は避けて体力の温存を図る事にした。

そのおかげか大した戦闘もないまま目的地周辺まで来る事が出来た。

 

「おっし! お前ら! ここからは隠れる事は出来ねえ! 思うままブチのめしてやろうぜ!」

 

「腕がなるわい!」

 

「あまり雑魚に時間をかけるなよ。我々の本命は門の守備だ」

 

先走りしそうな二人に釘を刺す神父。

 

「わかってるって!」

 

「いささか不安だが……行くぞ!」

 

目的地まで数百メートル疾走。やはり橋の上には結構な数の醜女がいた。

だが、勢いに乗る宗一とラッキーが根こそぎ薙ぎ倒し、撃ち漏らした分を直美らが仕留める具合だった。

あらかた仕留めた後、どうやらこの門を守る鬼が一匹こちらに向かってきた。

 

「おいおい! やっこさんの登場だぜ! 気ぃ引き締めな!」

 

「うむぅ……んっ! お前らちょっと待ちんさい!」

 

「どうしたってんだよラッキー!」

 

「ありゃ……ノブ太じゃ! 知っとるじゃろ?」

 

「ノブ太っていやぁラッキーの連れのノブ太か?」

 

「そうじゃ! もしかしたら話せば分かるかも知れん! お前たちここで待っとれ!」

 

待つ様に言ってラッキーはノブ太の方へと駈け出して行った。

 

「おぉい! おどれはノブ太じゃろ! 生きとったんかぁ!」

 

「…………」

 

ラッキーの問いかけにも沈黙を貫くノブ太。

 

「どうしたんじゃ? またソースの素晴らしさについて語り合おうや?」

 

そのラッキーの言葉にみるみる鬼の形相になるノブ太。

 

「ど……どうしたんじゃ? お好み焼きは広島が発祥って言ったのをまだ怒っとるのか?」

 

「僕は……」

 

「ん? オタフクが好きなんか?」

 

「僕は『醤油』だあああああああああああ!」

 

「何ィィィィィィィィ! ぐはああああああああああああっ!」

 

ノブ太の強烈な一撃に血を吐きながらぶっ飛ぶラッキー。

 

「ラッキー!」

 

「ガハッ……なるほど……あくまでソースを否定するか……」

 

((ソース?))

 

一同は意味がわからないが、とにかく話は決裂したのは理解できた。

 

ザッ…… !

 

迫るノブ太に臨戦態勢を取る一同……だがラッキーの手によって遮られた。

 

「グハッ……ペッ……待ちんさい! これは奴とワシの信念を賭けた漢の勝負じゃ! 手出しは無用じゃあ!」

 

意味は分からないが漢の勝負と言われれば手を出すのが無粋な気がして来る。鬼気迫るラッキーの迫力にも負けて一同は見守ることにした。

 

「ノブ太よ! おどれの体にソースの良さを染み込ませたるわい!」

 

するとノブ太は小さな木の実を取り出した。

そして、それをアソコの蛇に食べさせた瞬間、頭上の空間が切り開かれ巨大なアヒル隊長が現れた。それがノブ太の頭に刺さった刹那、細かいパーツに分かれノブ太の体に装着された。

 

余りの事態に「ポカーン」としてたラッキーだったが気を取り戻し思わず叫んだ。

 

「なんじゃあああ! それは! 卑怯じゃろ!」

 

だが、ノブ太は容赦なくラッキーを攻撃した。

ノブ太の攻撃をとっさに避けたラッキーだったが自分がさっきまでいた所を見て凍りついた。

 

「凍っとるじゃと! おどれの能力か!」

 

「…………」

 

「くっ!」

 

しかし、ここである考えがラッキーの頭をかすめた。

(待て! 待つんじゃ! ノブ太が変身出来るならワシも……)

 

取っておいた柿を取り出し構えるラッキー。

 

「こうなりゃヤケじゃ! 変身!」

 

グニュンッ !

 

さすがに柿は蛇の口にはデカかったみたいで入らない。

 

「なんじゃと! 入れ! 入れ!」

 

薄ら笑いを浮かべながらラッキーに迫るノブ太。

 

「ええい! 入れと言うに!」

 

ノブ太がトドメの一撃を放った。

 

「気合じゃあ! 食わんかあああああああああ!」

 

ゴクリッ !

 

何とかねじ込む事に成功した。しかし蛇も「もう無理でっせ~あんさん」と言いたげにグッタリしてる。

だが何とか間に合ったようだ。ラッキーの頭上が切り開かれ巨大な白い下駄が出てきた。それが頭に刺さると無数の下駄に分かれラッキーに装着された。

 

「ねえ伸二……?」

 

「どうしたの姉さん?」

 

「なんで向こうは鎧っぽいのにラッキーは全部下駄なの?」

 

「食べ合わせが悪かったんじゃないかな……」

 

そんな二人の会話などつゆ知らずラッキーはなんか小宇宙を爆発させる人みたいなポーズを取っている。

 

「やっと追いついたぞ! ノブ太!」

 

「…………!」

 

「ここからは……ワシのステージじゃあ!」

 

ドガッ ! ドガッ ! ドガガガガガガガッ !

 

二人の攻防は一進一退かに思えた。だがノブ太には奥の手があった。周囲一体の地面を凍らせ高速移動しだしたのだ。摩擦ゼロの足場は立つ事も困難だ。これには流石にラッキーも身動き出来ず次第にノブ太に押される展開となった。

 

「ギギギギ……ノブ太……これがおどれの奥の手か?」

 

ノブ太は「フッ……」と笑うように攻撃を続ける。

 

「じゃが……忘れとらせんか? ワシは一切能力を使っとらんことを!」

 

ガキィッ !

 

突如ラッキーに装着されていた下駄の一部が宙を舞いノブ太の一撃を食い止めた。

ノブ太は意に介した様子もなく攻撃を続けたが一つ、また一つと増える下駄に全ての攻撃を止められた。気がつけばラッキーの周囲を取り囲む様に幾重にも下駄の結界が張り巡らされる。

 

「なぁ……ノブ太よ? 小細工はヤメにせんか? 男なら真っ向からの殴り合いじゃ!」

 

そう言うとラッキーは下駄の結界を解いてしまった。

 

「さあ……ワシはやめたぞ! 今度はおどれの番じゃ!」

 

そんな話にノブ太が耳を貸すはずがなく急所めがけて一撃が飛ぶ。

だが、ラッキーはその一撃を片手で止めると憐れむ様に言葉を繋げた。

 

「誇りまで失ったか……これ以上そんなおどれを見るのは我慢ならん!」

 

「……!」

 

「見せてやる! 今世紀最大と呼ばれたワシの必殺ブローを!」

 

「ギャラクティカジャスティス!」

 

ドッガアアアアアアアアアアン !

 

ノブ太は数十メートル先の対岸まで吹き飛び民家の壁に激突した。

ついに決着をみた勝負。見守っていた一同がラッキーに駆け寄る。

 

「ラッキー! なんだその一撃は! なんか彗星っぽいのが見えたぞ!」

 

「ありゃあワシがボイストレーニングの為に開発した『ギャラクシアン・シンセサイザー』で習得した必殺ブローじゃあ!」

 

(シンセサイザー?)

 

なぜシンセサイザーで必殺ブローが習得出来るのか全く理解出来ない一同だったが、とにかくラッキーそう言うんだからそうなんだろうと無理矢理に納得するのであった。

 

とにもかくにも、無事に第二の門を通過した一同はその場を後にするのであった。

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