カラクリの行方   作:うどんこ

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初めまして。うどんこと言うものです。初めての投稿作品ですが楽しんでもらえると幸いです。


本編
第一話 邂逅


 

──昔、昔あるところに一匹の(ホロウ)がいました。その(ホロウ)は色々な物を作るのが大好きでした。武器や防具、その他便利な道具、終いには自由に動かす事の出来る「人形」まで作っていました。その(ホロウ)の住処は作品と作りかけの物でいっぱいでした。

 ある時、その(ホロウ)(ホロウ)の王さまに呼び出しを受けました。王さまは言いました。「このわしの為にお前の最高傑作を作ってみせろ」と。その言葉を受けてその(ホロウ)は意気揚々と帰って行きました。しかし、待てども待てどもその(ホロウ)は王さまの元へと完成の知らせを届けに来ませんでした。痺れを切らした王さまは、王さま直々にその(ホロウ)の元へと参りました。王さまがその(ホロウ)へ問い正すと、「まだまだ出来は不十分だから」とその(ホロウ)は返しました。今現在の成果をみせろと王さまが凄むと、仕方がないといった様子で自分の『試作品』の力を王さまに見せました。その『試作品』の力を見た王さまはその『試作品』を壊してしまい、その(ホロウ)の『研究成果』を全て台無しにしてしまいました。その事態にその(ホロウ)は泣いて王さまの元から去って行きました。それ以来王さまの元へその(ホロウ)の話が聞こえてくる事はありませんでした。昔、昔の話です──

 

 

 

 

 

 虚圏(ウェコムンド)の砂漠の中、一人の死神の姿がそこにはあった。その死神はまるで何かを探しているかのようにあちこちを行ったり来たりしている。

 

「ここら辺に昔の住処があるって聞いたんやけど……ホンマにまだおるんかいなその子」

 

 そう独り言を言っている死神──市丸ギンはとある命令によってこの場を訪れていた。

 時は少し遡る──

 

「ギン、少しばかしお使いを頼んでもいいかな?」

 

 そう言葉を発するのはこの虚夜宮(ラス・ノーチェス)の頂点に立つ藍染惣右介その人である。その表情は何処か嬉しそうにしていた。

 

「別にええですけど……ってか隊長、なんかいい事でもあったんすか?」

 

 藍染の表情の違いに気付いた市丸はなんとなくそのことを聞いて見た。すると藍染は何時ものように嘘で塗り固められたような笑みへと表情を戻した。

 

「まあ、私にとってはいい事かな? 話を戻すけど、ギン、君にある(ホロウ)をここに連れて来て欲しいのだけれども、頼めるかな?」

 

 藍染直々の頼みである。これを断れる者はこの虚夜宮(ラス・ノーチェス)にはいないだろう。

 

「別に構わないですけど……その隊長の探している子って何処にいるんですか? この広い虚圏(ウェコムンド)で探しだすのはけっこう骨が折れるんですけど」

 

 そう言う市丸の心配は無用だと言う様に藍染は言葉を返した。

 

「ああ、心配しなくてもいいよ、()()はおそらくここからそう離れていない所にいるだろうからすぐに見つかる筈さ」

 

 そう言って市丸に地図を渡した。虚夜宮(ラス・ノーチェス)とおそらく目的地であろうバツ印だけが描かれた簡素な地図である地図を渡し終えた藍染は話は終わりだと言った感じである。市丸はそのまま任務に出掛けていった。

 

──そして現在へと時間は戻る。

 市丸は地図の目的地であろう場所を何度もウロウロしていた。その場所はひらけた砂漠が広がっているだけで建物や誰か他の人物の姿もなかった。見渡す限り砂漠が広がっており、目的の(ホロウ)などいる気配すらない。

 

「ホンマなんもない所やな……隊長の言っていた(ホロウ)なんておるんかいな。実はからかわれているだけだったりして……」

 

 そう言いながら右往左往していると、

 

「なんだいキミは、人の研究所(ラボ)の近くをウロウロして何を探してるんだい」

 

 咄嗟に警戒を強めて声の主を探した。しかし、どの方向にも声の主は見当たらなかった。

 

「何を警戒してるんだい。別に私からは何もしないよ。それと声の主を探してるのなら自分の肩の上を見てみるといいよ」

 

 言われるがままに肩の上を見てみると、一匹の小鳥が肩に止まっていた。虚圏(ウェコムンド)にいるはずのない小鳥が止まっていたのである。すると小鳥は市丸に向かって言葉を紡ぎはじめた。

 

「何ビックリしてんのさ。そんなにこの小鳥が珍しいのかい? だからと言って持ち帰るのは駄目だよ。結構作るの大変なんだからね」

 

 そう言うと小鳥は市丸の肩から飛び立ち、目の前の地面へと降り立った。

 

「ホンマ、ビックリしたわぁ。いつの間にかボクの肩の上に小鳥が乗っとるからなぁ。ところでキミ本人は何処におるんかいな?」

 

 そう市丸が言葉をこぼすと、

 

「なんだい、私に用があって来たのか。しょうがないなあ、今から私の研究所(ラボ)に招待しようじゃないか。お茶くらいは出すよ」

 

 そう言うや否や、いきなり地面が揺れ始めた。しばらく待っていると、目の前の砂漠が割れ、その割れた地面から下に降りる階段が姿を現した。

 

「その階段を降りれば私の所まで来ることが出来るよ」

「えらい凝った仕掛けやなぁ。それじゃ、お邪魔しますわぁ」

 

 市丸が階段を降りて行くと、入口が閉まり、また何もない砂漠へと戻っていった。

 

ーーーーーーーー

 

 市丸は階段を降りている最中、周りの景色に驚いていた。天井も床も壁も全て機械のような物で構成されており、時折不気味な光を放っている。

 階段を降り終えるとそこには一つの扉があった。しかし、その扉には取手などはなく、市丸にはどうやって開ければいいか分からなかった。仕方なく近づいてみると、自動で扉は上へと上がり、開かれた。

 

「すごいなぁ、自動扉なんてもんもあるんかいな」

 

 そうして扉を潜った先には更に驚く光景が広がっていた。ベルトコンベアや巨大なモニター、何かを入れる為の巨大なカプセルなど工場と研究所が混ざりあった様な光景である。

 

「ホンマすごいなぁ……これ全部一人で作ったんかいな?」

「そうだよ。ここにある研究所(ラボ)は私が長い年月をかけて作った私のお城だよ」

 

 市丸が振り返ると、そこには一匹の(ホロウ)がお茶の入った茶碗を盆にのせて立っていた。

 

「ここにお客さんを連れてくるのはいつ以来かなぁ。それも死神を入れるなんてことは初めてだよ」

 

 そう言うとお茶を市丸へと勧めはじめた。市丸は受け取ったお茶をすすりながら、

 

「なんや、ボクが死神と知っておいてここまで連れて来たんかいな。どうするん、ボクがもしキミの命を狙ってここまで来たっちゅーたら」

「そんな奴はそもそもこんな所を探し出す事もしないよ。()()()()

 

 その言葉に市丸は眉をひそめた。

 

「……どっかで会ったことあったかいな? ボクの記憶が正しければ初対面の筈なんやけれど……」

「君達のことは色々知っているよ。藍染惣右介や東仙要のことなんかもね。別に関係ないけど浦原喜助や涅マユリなんかも知っているねぇ」

 

 そんな情報をポンポンと話す相手に市丸は思った事を呟いた。

 

「……キミ、一体何者なん?」

「私? ああ、そういえば自己紹介がまだだったね」

 

 そう言うと市丸の前でお辞儀をしながら言った。

 

「アンジェ、アンジェ・バニングスだよ。この研究所(ラボ)の所長さ。以後お見知りおきを」

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