今回はセシリア対新人です
二機のISが空中に浮いている。一方は先ほど試合をしたばかりの青がパーソナルカラーな機体。ブルーティアーズとセシリア・オルコット。対してもう一方はこの会場にいる誰もが見慣れた量産機。デュノア社が誇る汎用型の機体。ラファールリヴァイブと天下新人。会場は先ほどの盛り上がりは見せず、誰もが緊張に声を出せないでいる。織斑一夏の圧倒的敗北。それが浮ついていた彼女たちの気持ちを叩き落とし、楽観視という名の言葉を消した。
これが代表候補性の実力
織斑千冬の弟だからといって、そんな簡単に初心者が代表候補性を落とせるはずがないのである。一回の被弾もなく、武器へのエネルギーチャージとブースターによる減少しかないバーフェクトゲーム。才能でも性能でも覆すことのできない努力と経験。それが彼女の強さなんだと理解できたのは同じ候補性であるシャルと、他数人のみ。機体の性能と考える者もいれば、初心者なんだからしかたないとまだ甘い考えを持つ者もいる。まあ、そいつらがどうなるかはこれからに期待としよう。
ああ、例えばの話だが。初心者でセシリアを落とすなんてのはまさにアニメや漫画、それも努力を嘲笑う神様チートなんていうものがはびこる世界だけだ。現実はそんな人の努力を簡単に踏みにじれるほど腐ってはいない。ぽっとでのやつには現実を見せてやれ。
え?新人はチートに片足突っ込んでないかって?残念、彼は学者二人の間に生まれた子ども。その遺伝子はしっかりと受け継がれているのだと言っておこう。
失礼、話が逸れた。
そんな静かな観客席の中に一人、シャルは新人のことを考えていた。さすがに新人なら勝てるなんて考えてはいない。ただ一言、彼に伝えるのを忘れていたのを後悔しているだけだ。
新人、頑張ってね
試合開始まで残り30を切る。両者は既に相手を倒すことのみを考えている。集中力を研ぎ澄ませ、一人は鋭い眼光を目にやつし、一人は無表情のまま相手を見つめる。
カウントダウン
3
2
1
開始!
ブザーとともに両者が動き出す。
盾を構えながらセシリアへと特攻する新人。心の中で撃った回数を数えつつ、手に持つハンドガンの弾倉を空にする勢いで撃ち続ける。対するセシリアはまずは様子見か回避を重視する。初心者の数撃ちゃ当たるはランダム故に一夏の特攻よりも対処がしづらい。
12発目。新人はハンドガンを捨てるとショットガンを片手で構え放つ。セミオートで放たれる散弾はセシリアの機体の薄い球形のシールドを掠り、微妙なダメージを与える。
セシリアは盾をどう対処するかを考える。散弾が迫る中、思考を冷静に張りめぐらせる。
あの盾は打鉄に搭載されているタワーシールド。貫くには同じ位置を何度も狙わなければならない。そこまで考えるとセシリアはバックブースターに切り替え、新人に向き合うように機体を反転させ2秒、愛銃の引き金を引くとタワーシールドにレーザーが当たる。セシリアの予想通り撃ち抜くことはできない。が、新人は防御のために撃つと判断した瞬間盾で体を完全に隠し、攻撃を止める。セシリアの攻撃に二度目が来ないと盾から覗こうとした瞬間、
新人の背中が爆発する
否、
セシリアのビットには二つ種類がある。4機のレーザービット、そして2機のミサイルビットだ。セシリアはあの盾は視界を邪魔すると判断すると、防御させるためにわざと狙ってから撃ったのだ。新人の視野を潰すと同時にミサイルビットを背後にしのばせるために。
そして、新人は爆破の衝撃で武器と盾を手放してしまう。そこに待つのは、狙いの定まったスターライトの銃口。
簡単に新人のSEは4割を切った
新人は衝撃でぐらつく頭で考える。ここから少しでも報いる方法はないかと模索する。他に積んでいる武器はあとは6つ。賭けに出るには十分と判断すると、手元にあるものを領域から取り出すとピンを抜き、捨てる。次の瞬間、新人の周囲を煙が覆い隠す。対IS用スモークグレネード。効果は煙の中に強力なジャミングを放ち煙の中のISはハイパーセンサーが使えなくなる代わりに、煙の外のISのハイパーセンサーに捉えられなくなるものだ。本来は煙に包まれハイパーセンサーが使えなくなって動揺しているところを、集団で制圧射撃することで相手をリンチにするためのものだが、一対一なら使えるかもしれないと持ってきたものだ。そして、新人は次を取り出す。そして、スコープを覗き込み先ほどセシリアがいたであろう場所へと勘で狙いを定める。もちろんアシスト無しでだ。そしてその引き金を引く。弾丸は煙に穴を開けると、セシリアの機体ギリギリを通り抜ける。もちろん直撃弾ではないがそれでも50は削った。
それの正体はアンチマテリアルライフルの弾丸である。それはアリーナの観客席を守るためのシールドに阻まれると、潔く停止する。
すぐさまセシリアは前の経験を生かして周囲にレーザービットを展開すると、それと同時に何かを抱え込んだ新人がセシリアへと突っ込んでいく。スターライトのレーザーだけを避け、ビットのレーザーに当たろうとも速度は失わず、
残り50m
そこでさらにブースターを噴かし、加速をする。そして接敵する。セシリアは加速の時点で間に合わないと推測すると、愛銃を片付け近接のためにインターセプターというナイフを取り出す。いつもの彼女ならこんなすぐには取り出せないが今日は取り出すことに成功する。そして、それを新人に突き刺す。
が、新人には突き刺さらずそれは新人の抱えていたものによって遮られていた。
ナイフは弾丸、つまりはグレネードを貫いたわけだが、このグレネードは瞬発信管ーー衝撃によって爆破するタイプの信管ーーが付いている。あとは察しろ。
六発分のグレネードの爆発によって試合は幕を閉じた。
公式記録
試合時間3:26
先制攻撃 ラファール・リヴァイブのショットガン
最終攻撃 グレネードを使用した自爆。
天下新人 ラファール・リヴァイブ:0
セシリア・オルコット ブルーティアーズ:429
歯が痛い作者です。水曜に歯医者行きます。
次回はまた休憩挟んで新人対一夏です。
5/26 記録の部分でVSの所が新人ではなく一夏になっていたので修正