残るは新人と一夏の試合のみとなった。お互いセシリアに敗北しているが、その経験をどう活かすかが勝負の鍵となるだろう。
西側ピット
一夏は不安になっていた。セシリアに負けた。これは必然とはいえ彼はそのことに気を取られている。もしかしたら新人にも負けてしまうのではないか、自分がもう守られるだけの存在ではないと証明できないのではないか、そんな負のスパイラルに陥りかけている。
「大丈夫か一夏?」
・・・・・・
箒の呼びかけにも応答せず、黙り続ける。顔は下を向いたままだ。背中は丸くなっていつもより小さくみえる。そこに箒は
バンッ
全力の平手を一夏の背中にお見舞いする。背中を唐突に叩かれた一夏はいきなりの事態に驚く。すぐに下手人を探す、と言ってもそこに他の人は、今手をさすってる箒しかいないわけだ。
「
「ん?ああ、いつまでもうじうじしているから喝を入れてやったのだ。男とあろうものがたった一回の敗北でしょげてどうする。しかもあれは、剣道初心者が千冬さんに挑むようなものだ。勝てないのも無理ない」
「なっ!?俺が絶対に勝てないと思ってたってことか?」
「まあ、どんなものでも初心者が経験者を打ち倒す、そんなことが起こるのはほとんど無いと思っていただけだ。それにそんな調子で新人に勝つことができるのか?」
「うっ、むぅぅぅ」
「はぁ、一夏。私はなぜそこまで新人を目の敵にするのか知らない。だがな、真剣勝負に余分なモノは持ち込むな。新人はお前が勝たなければ認めないような器量の狭い男か?少なくとも今までを見るからにそんな人物には私は見えなかった」
「箒……」
「勝つことだけを考えてはダメだ。ただ無心に相手に全力をぶつけることだけを考えろ。そうすれば結果は自ずとついてくる」
男前なことを言うが箒は女の子だしまだ15の高校生だ。だが、その言葉には不思議な説得力が宿っている。とくに勝つことだけを、に関してまるで経験があったかのようだった。そこを言うときだけ顔をしかめていたので何かあったのだろうが、そこは踏み込まないでおこう。
箒の喝は一夏に効いたようだ。憑き物が落ちた様な顔をしている。顔を下に向けてどんよりとした雰囲気な彼はもう居ない。完全復活といったところだろう。試合まではまだ時間がある。が、彼はすぐにでもカタパルトに乗って
「元気が出た様で何よりだ。
頑張れよ一夏」
「ああ、ありがとう箒。
これでいける気がする」
時間が開始時刻まで迫る。箒はすでに観客席の方へと移った。トイレに行こうとした生徒が、顔や耳が真っ赤になってそれを手で隠している箒を見たそうだがそれはまた別のお話し。一夏は白式を展開するとカタパルトの上に乗る。そして、二回目の空へと飛び立った。
東側ピット
機体を修理してもらっている新人。さすがに自爆とセシリアのミサイルビットの爆破の衝撃でスラスターやいろいろと破損したので取り替えやらを今行っている。ただぼーっと天井を見つめる。話し相手もいないから暇なのだ。武器は先ほどのグレネードランチャー以外はすぐに用意できるらしいので問題は無い。一夏が思いつめているというのにこっちはとくに何も感じていない様だ。まあ、平常運転なのは良いことなのだが、緊張感が無いのもどうかと思う。一夏に対する作戦を考えるとか、色々時間を潰すことができるものはあるのにとくに何もすることなく、ただ時を待つ。
修理が終わり武器の点検をする。先ほどの様に千冬が来ることもなくただ待つだけであった。カタパルトに機体を乗せる。
「勝負をする以上、負けるつもりはありません」
誰に言うわけでもなく、ただ一人呟く。これを聞くのは意識があると言われているらしいISだけだろう。そんなことは気にせず発射態勢に入るカタパルト。
ラファールは勢いよく打ち出され、空を駆る。
そして
二人の戦いが幕をあける
歯医者に行ってきた作者です。神経に近いでかい虫歯がレントゲンの結果見つかり、治療のために歯に穴を開ける際に痛すぎて自然と「あっがぁぁぁ」悲鳴が出ました。めちゃくちゃ痛かったです。
生々しい話をしてしまい申し訳ない。
次回で委員長決定戦は最後。勝利を手にするのはどちらか?