みんなにお礼を言いながら笑顔で更衣室へ向かう一夏。とにかく楽しい時間を過ごせたと満足が顔に溢れ出ている。更衣室に入るといきなりタオルがふわりと一夏の元へ飛んでくる。そこには既に着替え終わった新人が居た。一夏がセシリアと試合を始めてから今日はもう使えないだろうと先にシャルロットとともに退散しておいたのである。
「悪いな新人、アリーナ借りたのは新人だったのにあのまま俺が使っちゃって」
「いえいえ、一夏くんは代表ですからきっちり練習して優勝してくださいね。明日は他のクラスの人が使うので僕たちは使えませんが、箒さんとの剣道の練習もありますし頑張ってください」
「ああ、みんなも頑張ってくれてるし負けるわけにはいかないよな。たとえどんな奴にだって」
着替えながら言葉を交わす2人だが一夏がシャワールームに入ると、先に帰ってご飯を食べてますと新人は言って去って行った。
新人は食事を済ませて自室に戻るとそこでは、更識が鼻歌を歌いながら弁当箱を洗っていた。新人はただいま戻りましたと言うと、あら、おかえりなさいと更識は返してくる。それと、お弁当美味しかったわと微笑みながら新人に顔を向ける。無表情のままそれは良かったと返す新人、シャワーは既に浴びているのであとは弁当箱を洗い、明日の献立を考える。折角だから一夏くんを驚かせるため鈴さんを誘うことを考える。久しぶりに鈴さんの料理を食べて見たいなぁ、と思っているところに来客を告げるチャイムが鳴る。
既に弁当箱を洗い終えていた更識が返事をしながら来客の対応へと向かう。
どちら様ですか〜、と言いながら更識はドアを開けるとそこにいるのは、新人の中の噂の彼女、鈴だった。
「はじめまして、中国の代表候補生
「あらあら、私もいよいわ有名人かしら。生徒会長を務めている
「そりゃあIS学園のホームページに生徒会執行部にでかでかと載っているもの」
「えっ、私ホームページに載ってるの!?」
「そうよ、知らなかったの?」
「そんな…私の
と、噂の人物が噂をしていた人物をスルーして自己紹介からの漫才を繰り広げているのを見ていた。泣き真似をして崩れて行ったが、なんだミステリアスレディ計画って。
「計画ご破綻残念だけど、私ここに新人が住んでるって聞いたから来たんだけど知らない?というか、まさか女性と同室なんて無いわよね?
「呼びましたか?鈴さん」
「……」
フリを振られちゃあ黙ってられない。弁当箱を洗い終えた新人が無表情でこちらへと来たのだ。鈴が散々否定した事実が目の前にあることへのショックが彼女を固まらせた。しかも
「ねぇ、新人。せ、生徒会長と変なこととかしてない、よね?」
ん〜、と少し考える新人だがちらりと更識の方を見ると、鈴からは見えない位置でどうかアレをバラすのだけは、と合掌した手でサインしていた。
「特に何もありませんでしたよ、優しい生徒会長ですのでIS初心者の僕に色々教えてくださってくれるので、感謝していますね」
「そう、ならいいんだけど」
「そういえば、ちょうどいいところに来てくれました。鈴さん今度みんなでお弁当を一緒に食べようと思っているんですがどうでしょうか?久しぶりに鈴さんの手料理を食べて見たいなぁ、と思ってたところなんですよ」
「へ、へぇ…いいじゃない、私も参加するわ、それでいつやるのよ?」
「明後日あたりにしようかと、それと一夏くんとはまだ会ってませんよね?」
「明後日ね分かったわ。それで一夏とはまだ会ってないけど、それがどうかしたの?」
「折角ですからサプライズで鈴さんに登場していただいて、そのままみんなに紹介しようと思ったんです」
「それってセシリアもいるのかしら?」
「ええ、もちろんですよ」
「そ、そう。まあいいわ、明後日ね!腕によりをかけて作ってあげるから覚悟しなさい!」
「はい、楽しみにしてますね」
「じゃあ、今日はここで帰らせてもらうわ。新人の部屋もわかったし、あっそうそう私の部屋は1209号室だから、いつでも遊びに来てもいいわよ」
「ええ時間が見つかりましたらお伺いしますね」
新人の部屋を確認しに来ただけだったはずなのに、思いにもよらない展開で、手料理食べたいや一緒に弁当を食べよう、私の部屋に遊びに来てもいいなどなどたくさんのイベントフラグを立たせた鈴は、じゃあね!と元気よく言って去って行った。鈴が帰ってもまだ、およよよよと泣きまねしながら崩れていた更識をチョップで起こし、弁当箱を小さいタイプの乾燥機に入れるとスイッチを入れる。そのあとは勉強をしつつ、今日使った武装のそれぞれの簡単な感想を書いてまとめるといつもより早い時間に就寝に着く新人だった。