それから毎日がトントン拍子で進んでいった。朝練、弁当、朝食、予習、授業、昼休み、授業、放課後、特訓、夕食、復習、睡眠のサイクルを繰り返すとあっという間にクラス対抗大会の当日へ針は進んでいった。その間に一夏の動きの改善、出来る範囲での白式徹底調査、他クラスの情報収集など各々の動きにも成果は見られていった。今日はその披露宴となる。
場所は変わってアリーナ西側ピット。そこには我らが一組の面々が揃っていた。
「織斑くん、試合前のブリーフィングをするよ。体調とか大丈夫?」
「ああ、問題ない。いつでも行けるぜ」
「オッケー、なら確認して行くよ。偵察班の子たちからだけど前にも言った通り、四組以外の代表は未経験者だね。けど今から戦う二組の子は最近転校して来た中国の代表候補生、
だから今回はいかにして相手の隙をつく、または防御を崩すかで勝敗が決まるって言っていいと思う。新人くんと戦った時みたいに葵と
私たちからはこんなところかな。どうだった?」
一組のメンバーたちが集めた情報を元に相手の戦闘スタイル、思考、作戦を相手の立場から考えた結果をここで全て吐き出す。情報とは力だ、偉い人の言う通りこの戦いにおいて相手の情報は千両の価値に値する。
クラスメイトからの情報を一夏が頭に叩き込んでいる間に、新人はこの前使った仮想型ディスプレイを利用して今の情報を簡潔にまとめたものを白式へと送信する。
「ああ、すごい助かった。正直俺一人じゃ何もできなかったと思う。みんなの頑張った成果が俺を勝たせてくれるんだ。負ける気がしない」
笑顔でみんなにお礼を言う一夏。これで負けたら男の恥だと、自分を戒めつつ白式に意識を集中させる。ゆっくりと一体感に包まれながら白式を展開していく。
迷いを消し、戦装束を纏った武士は
「織斑くん、頑張ってね」「応援席から見てるからねー」「おりむーならだいじょーぶだよ〜」
各々の声援を受け取ると、彼女たちはピットから出て観客席へと向かって行った。残るは訓練班の四人だけ。
「一夏さん、練習と
「うむ、私としては少し言いたいこともあるが全力で勝ちに行くのは当たり前だからな。相手に失礼のないよう戦ってくるといい。頑張れ、一夏」
「一夏なら負けないよ、だから落ち着いていこうね。焦った時が一番危ないから。あと新人みたいな無茶はしないでね?」
「最後は僕ですか。
う〜ん、そうですね。一夏くん、気楽にいきましょう。せっかくの大会ですし剣道の時みたくお互いを称えあえる試合にして来てください。勝つ負けるは人の判断を鈍らせますから、楽しみながらがいいと思いますね」
セシリア、箒、シャルロットそして新人からの声援を受け取る。楽しむ…か、久しぶりに聞いたこの台詞は誰かからの受け売りらしいが、確かに緊張をワクワクに変え楽しもうというのは少し不謹慎と言えるかもしれない。みんなの期待を背負っていると考えると勝たなきゃと思ってしまう。だが義務感より楽しんで行くと言うのは悪くない、中学の時もそうだったと、一夏は中学の剣道大会を思い出す。
決勝前にかけられた言葉は楽しんでこいだった。なんでも新人の師匠は頑張れと言う言葉が嫌いらしい。理由は頑張れという命令に聞こえてしまい、心の何処かに義務感を持って戦うことになるからとか、勝たなきゃいけないという重圧に押しつぶされて焦ったり本来なら出きることでも凡ミスしてしまう、そんな風になる人が世の中に入るし、師匠もそうだったらしい。だから頑張れではなく楽しんでこいなんだそうな。
最後の緊張もほぐれ、一夏は振り返ると笑顔で答えた
「ああ、楽しんでくる!」
一夏を見送った四人は各々が自分の行く場所、へと別れて行った。
投稿再開をしてすぐに感想をくださった皆様、ありがとうございます。ありがたい話ですが今の作者は
この駄作をお読みいただき本当にありがとうございます