事後処理の話をしよう。
アリーナは今回の襲撃による修理や、バリアの強度見直しを検討されることとなりしばらく各アリーナを一時閉鎖することとなった。また、ハッキングされたことに対する対応不足や以後ハッキングされないようにコンピュータセキュリティの見直しもされている。上への始末書に苦労しそうな話だが、事の次第によっては死人が出かねない大事件ゆえどの部署も躍起になって作業をしている。今回のことをもみ消すために上層部も動かざるおえないからお互い様なのだろう。
生徒の方では一部PTSDにかかる生徒もいた。傾向が高いのは特に一年のIS主義者の生徒だ。絶対だと思うがためにその絶対を破壊された衝撃は凄まじかったようだ。他にバリアを破壊されたことで改めてISは兵器なんだと認識し、ISに触れれなくなった生徒もいた。宇宙服も高性能になれば兵器になるとは皮肉なものだ。
保健室は窓から夕暮れの赤を取り入れ白いカーテンやベッドがオレンジ色に灼けている。運び込まれた3人の生徒は今日、影の功労者となったものたちだ。
一夏は白式の待機状態である腕輪のある右手を上に向けてかざす。自分は守ることができたのか、みんなを守れたのだろうかと自問自答を繰り返す。怪我をした人はいないが心が傷ついた人はたくさんいた。それを守ったと言い張ることはできないとそう思う。対戦相手であったティナが最後の一撃を決めなければきっと死んでいた。
まだ弱い、人を守るなんてできっこない、自分は
白と青を基調とした腕輪を見やる視線は、疲れからか思考の途中で意識と共にゆっくりなくなっていった。そのまま眠りについた一夏を起こしてくれる者は一人もいない。
鈴音は見ていた。一夏が寝るまでカーテンの端からそっと。新人と共に。
「ようやく寝たみたいね」
「ええ、そのようです。骨にヒビが入ってるし疲れているはずなのに千冬さんの手伝いもしてましたから」
「色々終わって一安心、とは言えないわね。外部からこの学校を襲ってくるやつがいるってわかったんだから」
「皆さん大変そうにしてました、ところでティナさんは?」
「初の実戦と自分が撃ったミサイルが自分に向けて牙を向いたんだからかなり疲れてるわね。そこのベッドでもうぐっすり寝てるわ」
鈴音ご指差す場所は一夏とは別にカーテンで閉じられているベッドであり、最後の一撃を放ったティナ・ハミルトンが息を引き取ったかのように横たわっている。
「僕は何もできませんでした」
「当たり前よ、新人は専用機持ちじゃない。あくまで男ってだけの一般生徒よ」
「一夏くんにはああ言ってしまいましたが、何もできない無力感は辛いものです。僕も専用機が欲しいと思ってしまう」
「専用機持ちになってもいいことなんてほとんどないわよ。めんどくさいことに呼び出されるし、下手したら死ぬわ」
「でも…」
「今は守られてればいいんじゃない?
それでいつかは新人が今日の一夏みたいに誰かを守ってあげればいいのよ」
「くるでしょうか」
「くるわ」
無念を叫ぶ声は、穏やかな優しさに包まれてゆっくりとその炎を小さくしていった。
だが無念を叫ぶ声は決して一つではない
「もしもし、ーーーー」
IS学園の敷地内で一本の電話が繋がった
これにてチャイナリターン 編は終了です。
では皆様良いお年を