オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第10話

「はぁ・・・・・・」

 

来たときとは変わって、上機嫌になったデミウルゴスが部屋を出ていったと同時、アルフは深いため息を付いていた。

 

一応信頼はしてもらえたようだが、その信頼が重い気がする。

 

お腹が空いてきたので食堂に向かおうと決め、錬金部屋にいるマリアを呼ぶ。

彼女はホムンクルスで食事量倍化のマイナススキルがついている、そんな彼女を放っておくのも忍びないと思い、連れていくことにする。

 

錬金部屋を出てきたマリアの腕には、先程起きたばかりであろう黒龍が「くぁ~・・・・・」とあくびしている。

 

黒龍を抱えたマリアをつれ部屋を出て、ナザリック内を食堂に向かって歩き出す。途中一般メイド達とすれ違うとき、会釈をする。

 

しばらくして食堂にたどり着き、中を見渡すと中にはプレアデスの数名と一般メイド達がいた。

グループを作って会話しながら食事したり、プレアデスを中心にして食事したり、中には一人黙々と食事をとっている者もいる。

 

そんな中、見知った二人を見つけた。

 

「アルフさん、こっちこっち」

 

ピンク色の体をくねらせ、ぶくぶく茶釜が手招きしている。その隣では、弟であるペロロンチーノが物を口に詰め込みながら手をふっていた。

 

食堂のカウンターで料理を注文して受け取り、ぶくぶく茶釜とペロロンチーノのいる席に向かう。この時黒龍はというと、マリアの頭の上でぐでっとしながら尻尾を振っている。

 

「おはようございます、ぶくぶく茶釜さん、ペロロンチーノさん」

 

「おはようございます」

 

「ふぉふぁひょふ グホッ!」

 

口に物を詰めてしゃべる弟の脇腹に、姉の肘らしきものが突き刺さる。

 

「愚弟、口に物詰めて喋るな」

 

ドスの効いた声が食堂に響く。暫しの沈黙の後、食事をとる音や話し声が戻ってきた。

 

「姉ちゃん痛い・・・・・」

 

「あんたが悪いのよ、食事マナーくらい守りなさい」

 

そのやり取りを見ながら椅子に座り、その隣にマリアも座る。

 

「その子、前見せてくれたアルフさんの秘蔵っ子?」

 

そう言い、料理を口に運ぶ。ぶくぶく茶釜が食べているのは鮭の塩焼き定食というもので、公害で食材が激減する前は朝食でよく出てきた物らしい。

ペロロンチーノが食べているのは焼きそばだ、これは祭りの出店などでよく出たものらしい。

 

らしい、というのも、元いた世界では一般市民では高級品でありなかなか食べられないものであり、資料でしか見たことないものだからだ。

 

「そうですよ、主に近接系と鍛冶職を取らせてます。マリアご挨拶」

 

「ぶくぶく茶釜様、ペロロンチーノ様、御父様がいつもお世話になってます、マリアと申します」

 

そういい、黒龍を頭に乗せたまま器用に一礼した。

ぶくぶく茶釜に眼をやると、マリアの頭に視線が釘付けになっている。

 

「あのさ、一つ聞いてもいい?」

 

「いいですよ」

 

「この子の頭に乗ってるの、あの黒龍? 魔獣使いや竜騎士達が血反吐吐きながらボーナス全額ぶち込んでも出なかった、流れ星の指輪(シューティングスター)より排出率が低い、あの黒龍?」

 

ぶくぶく茶釜は震えているその手を黒龍に伸ばす。

 

「その黒龍ですよ」

 

「まじですか‼」

 

今度は口を空にして喋るペロロンチーノも、黒龍に視線が釘付けになる。

 

その時、近づいてきたぶくぶく茶釜の手を黒龍がかじった。

そのままはむはむと甘咬みしている。

ピンク色の肉棒を甘咬みする黒龍・・・・・・。

なんとなくいけないものを見ているような気がしたので、マリアの頭から黒龍をとり、抱き寄せる。

 

「それにしても、その黒龍初めて生でみたよ。モモンガさんが見たら興奮して暴走しそう」

 

「ですね」

 

ぶくぶく茶釜の言葉に同意し、その光景を想像した。

 

食事も終わり、黒龍に調理場からもらった生肉をあげていると。食堂入り口からセバスの声が響いた。

 

「ぶくぶく茶釜様、ペロロンチーノ様、アルフィリア様、モモンガ様がお呼びです、事情は歩きながら話すので御越しください」

 

 

マリアに黒龍を任せて食堂を出たアルフ、ぶくぶく茶釜、ペロロンチーノは廊下を歩きながら、セバスの説明を聞いていた。

なんでも遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートビューイング)を使っていたら、どこぞの兵隊に村人が襲われているのを見つけて助けに行ったそうだ。

 

そうこうしているうちに、目的の部屋に着いた。

部屋には開かれた転移門(ゲート)があり、机の上には騎士を殺すモモンガの姿が映し出されていた。

 

「皆、今の見てどう思った?」

 

ぶくぶく茶釜はそんなことをいう。

 

「私は心が動かなかった、モモンガさんが人間を殺したのに何も感じなかった」

 

「「・・・」」

 

アルフとペロロンチーノは無言で同意していた。人間が死ぬところを見ても心が動かない、それは精神まで異形種になってしまったからだろう。

ここで考えていても無意味と思い、アルフは二人に指示を出す。

 

「ぶくぶく茶釜さんはここで待機しててください、遠隔視の鏡を使って何か変化があったら〈メッセージ〉ください」

 

「分かったわ」

 

「ペロロンチーノさんは向こうに行ったらすぐ空に上がってください」

 

「なんで!」

 

ペロロンチーノが声を荒げた、なんとなく心当たりを突いてみる。

 

「あの二人の少女に欲情してませんか?」

 

「・・・・・・」

 

無言になり、顔を反らすペロロンチーノ。そんな弟をじと目で睨む姉。

 

「今は緊急事態なので即行動してください、ことが終わったら戯れて良いですから」

 

「本当に!」

 

眼をきらきらさせながらこちらの手を握ってくる。

 

「本当ですが、今の貴方にこの言葉を送りましょう。

yesロリータnoタッチ、性的なことはせず、紳士的に振る舞ってください」

 

ペロロンチーノが強く頷き、声をあげる。

 

「いざ、幼子の元へ!」

 

その時、姉の見事なドロップキックが愚弟の脇腹にクリティカルヒットし、転移門の向こうへと消えていった・・・・・・。




ペロロンチーノさんはロリコンさんです、エンリも守備範囲に入っているかは謎ですが、多分入っていると思います。
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