ぶくぶく茶釜に蹴り飛ばされたペロロンチーノを追い、アルフも転移門をくぐる。
門はくぐり終えると消滅し、目の前には
その背中は大きく斬られ、血が流れている。
辺りにはペロロンチーノはいない、ちゃんと空に上がったみたいだ。
少女に近づくと、アンモニア臭がする。
今の状況を整理してみる。
目の前には生者を憎むと設定文にあるアンデッド、その隣には完全武装した謎の人物・・・・・・。
恐らく少女とその妹はモモンガとアルベドに恐怖して漏らしてしまったのだろう、と思い至る。
「モモンガさん、ちょっと」
小声でモモンガを呼び、さっき思ったことを口にする。
「モモンガさん、顔隠してください。ユグドラシルでは一般でしたが、あの子の反応を見るとアンデッドは設定文そのままの存在だと認識されているっぽいです」
モモンガは考え込むように顎にてを当てている、恐らくアンデッドの設定を思い出しているのだろう。
「あの子の対応は僕がやります」
モモンガが了承し、手に持っていたポーションが渡された。
アルフは少女に歩み寄り。近くで立ち止まると少女と目線を合わせるように屈みこんだ。
「お嬢さん、大丈夫? あそこにいる人は怖い顔してるけど優しい人だから安心して。
これは治癒のポーションだから飲んで、その傷痛むでしょ?」
少女はポーションを受け取り、一息でそれを飲み干す。そして驚きの表情を浮かべた。
「うそ・・・・・・」
少女の背中から大きな傷が消える。信じられないのか、何度か体をひねったり背中を触ったりしている。
その光景に満足し、アルフは少女に微笑みかける。
「痛みは無くなったな?」
後ろからモモンガの声が響く。
「は、はい」
ポカーンという擬音が表現として最も近い顔で頭を振る姉。
モモンガから言葉が続く。
「お前達は魔法というものを知っているか?」
「は、はい。村に時々来られる薬師の・・・・・・私の友人が魔法を使えます」
「・・・・・・そうか、なら話が早いな。私は
モモンガは魔法を唱える。
〈
〈
姉妹を中心に半径三メートルの微光を放つドームが作り出された。
「生物を通さない守りの魔法と、射撃攻撃を弱める魔法をかけてやった。そこにいれば大抵は安全だ。
それと、念のためにこれをくれてやる」
驚く姉妹に簡単には魔法の効果を説明し、モモンガは二つの見すぼらしい角笛を取り出し、放り投げる。
「それは
このアイテムには微妙なメリットがあり、このアイテムで召喚されたゴブリン達は一定時間が経つと消滅するのではなく、ゴブリンが死亡するまで消えない。時間稼ぎくらいにはなる。
モモンガは後ろにアルベドを伴って歩き出す、それに気づいてアルフもその場を離れる。しかし、数歩も行かない内に声がかかる。
「あ、あの た、助けてくださって、ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
その声にモモンガの歩みが止まる。その瞳に涙をためながら、感謝の言葉を紡ぐ二人の少女をモモンガはぐるっと振り返って眺める。それから短く返答した。
「・・・・・・気にするな」
「あ、あと、図々しいとは思います! で、でも、あなた様しか頼れる方がいないんです! どうか、どうか! お母さんとお父さんを助けてください!」
「了解した。生きていれば助けよう」
モモンガが軽く約束すると、姉が大きく目を見開く。助けるという言葉が信じられなかったような驚き。
それからすぐに我を取り戻すと、頭を下げる。
「あ、ありがとうございます! ありがとうございます! 本当にありがとうございます! そ、それとお、お名前はなんとおっしゃるんですか」
名乗ろうとし、モモンガという名は口からこぼれなかった。
もし、他のギルドメンバーがこちらに来ているのなら、己の存在を知らせたい、俺は、俺達はここにいると。
知らせるなら、分かりやすい方が良いだろう。
「・・・・・・我が名を知るが良い。我こそが アインズ・ウール・ゴウン」
誤字脱字の指摘ありがとうございます。