オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第12話

アルフは今、モモンガとは別行動をとり、周囲に伏兵がいないか調べることにした。兵を探すにあたり、ちょうど良いスキルを発動する。

 

 下位眷族召喚 ガルム×3

 

アルフのもつ特殊能力の一つ。様々な獣系モンスターを召喚する能力で、今回呼び出すガルムは戦闘能力こそ低いが索敵能力が優れ、複数呼ぶことにより広範囲をカバーできる。

 

目の前に三体の狼型モンスターが現れた。

そのモンスター達との繋がりを感じる、これなら離れていても状況把握に問題はないだろう。

 

「行って」

 

そういうと3方向に散った。

 

「さてと。〈伝言(メッセージ)〉」

 

ガルムの姿を見送り、ペロロンチーノにメッセージを飛ばす。

 

「ペロロンチーノさん、そちらはどうですか?」

 

『姉妹の聖水の香りは素晴らしかったです』

 

「・・・・・・今の台詞、御姉様に報告してもよろしいか?」

 

『ちょまっ‼、冗談ですからそれだけは!』

 

ペロロンチーノは慌てて取り繕うが、アルフはそれが冗談ではなく、彼の嘘偽りない本心だとわかっている。

 

「はぁ・・・・・・で、今どんな状況?」

 

『今はモモンガさんが作った死の騎士(デス・ナイト)が襲撃者を蹂躙中、一応生きた敵をアルフさんの〈武の見極め〉で見た方が良いですね、あまりに弱すぎる』

 

アルフの持つスキル〈武の見極め〉は、対象者のLvとステータスを看破するものだ、Lvの差が大きければそれだけ詳細に見れるが、同Lvに近付くと見れる部分も減ってくる。

 

ガルム達に意識を向ける。森の中とその周辺は問題なし、嗅覚でも異常無し、鎧に使われている錆止めのオイルの臭いはしないとのこと。

 

「ペロロンチーノさん、そろそろ合流しましょう。

あと、モモンガさんはこれからアインズ・ウール・ゴウンと名乗るそうです」

 

『ん 何でアインズ・ウール・ゴウン? あれは俺達皆での名前だろ?』

 

「何か考えあっての事とは思いますが、こういったことは皆に相談してから、そうしてほしいです」

 

『じゃあ一応姉ちゃんにさっきの件言っときます、では』

 

「では後程」

 

メッセージを切り、村の方に歩を進めながら考える。

なぜ皆に相談せず独断でアインズ・ウール・ゴウンを名乗ったのか。

 

しばらく考えるも答えは出なかった。

 

「後で聞いてみるか」

 

 

 

村につくとすでに戦闘が終わっており、アインズが村人と交渉をしているようだ。

そのアインズの顔を見て、懐かしい思い出が、よみがえる。

 

嫉妬する者たちのマスク。通称嫉妬マスク。

クリスマスイブの一九時から二二時までの間に二時間以上、ユグドラシルにいると問答無用でてにはいるアイテムだ。

この仮面を持った非リア充グループを作り、数日間マスクを被ったギルドメンバー達がナザリック内を『リア充はいねーかー』と走り回り、挙げ句の果てにマスクを持った全員でそれを被り、たっち・みーを取り囲み奇妙な踊りをするという奇行をした。その中にはもちろんアインズとペロロンチーノも入っている。

 

アインズに歩み寄る途中、アルフの横にペロロンチーノが舞い降り、並んで歩く。

 

「最終状況は?」

 

「特に異常無し・・・・・・ところで先程の件なのですが」

 

ペロロンチーノが手揉みをしながらこちらを伺って来る、多分聖水うんぬんの話だろう。

 

「言わないよ、今後なにかに使えそうだし」

 

「酷っ!」

 

そんな話をしているとアインズの横に着く。

 

「・・・・・・あの、こちらの方々は」

 

村長らしき人物が聞いてくる。

 

「こちらは私の仲間の・・・・・・」

 

「ペロロンチーノです」

 

「アルフィリアです」

 

名乗り、一礼する。

 

「では、助けた姉妹を連れてくるから少々時間をくれないかな?」

 

アインズは考える。あの二人に口止めをお願いしなくてはいけない。自分の素顔について。

村人の反応を待たずにアインズはゆっくり歩き出した。魔法による記憶操作が効果を発揮するだろうか、と思いながら。

 

 

 

アインズは今、村長と話し合いをしている。ペロロンチーノは村の広場で助けた姉妹の妹と遊んでおり、アルフは椅子に腰掛け、その光景を姉妹の姉と見ていた。

 

要は難しい話はギルド長に丸投げして、部下はのんびり遊んでいる。という情況だ。

 

「改めて。助けていただいてありがとうございます。 わたしの名前はエンリ・エモット、妹はネムと言います」

 

エンリが椅子から立ち上り、深く礼をして言葉を紡ぐ。

 

「いえ、こちらも路銀目的で助けたのですから、気にしないで、頭を上げてください。僕はアルフィリアと言います」

 

エンリに頭をあげるよう促す。彼女は素直に従い、再び椅子に座る。

 

「それに、ネムと遊んでいただいて」

 

「いえ、彼は子供が好きなので気にしないで下さい」

 

現在、アルフとエンリの視線の先には、ネムの両手を掴んで、ぐるぐると回るペロロンチーノがいる。

ネムは楽しそうに笑い、ペロロンチーノはなんともいえない邪な雰囲気をしている。

エンリは単に妹が失礼をしないか見ているだけだが、アルフはペロロンチーノが変な行動を起こさないか見張っている。

 

「いえ、お礼を言わせてください。目の前で両親が殺されて塞ぎ混んでいたネムを笑顔にしてくださいました」

 

その言葉の後、葬儀の準備が整ったのか、他の村人が姉妹を呼びに来た。

 

エンリは椅子を立ち、気にするようにアルフを見た。

 

「お気になさらず行って下さい」

 

その言葉を聞きエンリは一礼し、ネムを連れて呼びに来た村人と葬儀に向かった。

 

 

 

『アルフィリア様。今よろしいでしょうか』

 

姉妹と別れた直後、タイミングを見計らったようにデミウルゴスからメッセージが入る。

 

「大丈夫だよ、何か問題でもあった?」

 

『いえ、今朝お聞きするのを忘れてしまったので、今お伝えしようかと』

 

「で、用件は?」

 

『はい、コキュートスがアルフィリア様と試合がしたいと申しておりまして』

 

アルフは少し考え、コキュートスとの試合いを受けることにする。

 

「わかった、試合は明日の夜九時頃がいい、場所は闘技場、試合のルールはその時に伝える、守護者やシモベ達が望むなら観戦を許可するよ」

 

『承知いたしました、では』

 

その言葉を終えると、メッセージが切れた。

ふと、隣を見ると、エンリが座っていた椅子にペロロンチーノが座っていた。

 

「さっきの誰から?」

 

「ん、デミウルゴス。 コキュートスが僕と試合したいんだって」

 

そう告げて、日が傾きつつある空を見る。

視界には茜色の空が広がり、雲がゆっくり流れていく。

 

「試合中、アルフさんはコキュートスに組敷かれ、衆人環視の中、あんなことやこんなことを・・・・・・」

 

「・・・・・・このエロゲ脳は。本当にぶくぶく茶釜さんに報告しようかな」

 

その言葉をいい終えた直後、土下座をするペロロンチーノが目の前にいた。

 

「すみませんでした‼」

 

その土下座は、それはそれは見事なものだった。




ペロロンチーノの変態度が増していく。

指摘により、今後の話を繋ぐために少し改編しました。

スキル説明

下位眷族召喚
動物系モンスターを召喚できるスキル、他に中位、上位も存在する。アンデッド作成の獣版
その辺りにいる小動物を媒介にすると制限時間を過ぎても存在できるようになる。

武の見極め
アルフが取っている拳闘士の職業スキル。
対象者のレベル、ステータスを看破することができる。
レベルに差があれば職業レベルの詳細、物理攻撃力等のステータスを事細かに見れるが、同じレベルだと合計レベルとだいたいのHP、MPしかわからない。
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