オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第15話

アインズ・ウール・ゴウンという人名を、頭の中で検索しても該当するものはなく、偽名の可能性がある。とりあえずは向こうの話しにのって、ある程度情報を得た方が良い。そう判断したニグンは顎をしゃくって会話を続けるように促す。

 

「素晴らしい。・・・・・・お時間をいただけるようでありがたい。さて、まず最初に言っておかなくてはならないことはたった一つ。皆さんでは私達には勝てません」

 

ニグンは僅かに眉をひそめる。

 

「無知とは哀れなものだ。その愚かさのつけを支払うことになる」

 

「・・・・さて、それはどうでしょう? 私は全て観察していました。その私がここに来たというのは必勝という確信を得たから。もし皆さんに勝てないようだったら、あの男は見捨てたと思われませんか?」

 

正論である。

 

魔力系魔法詠唱者(マジック・キャスター)であればもっと別の手段が似合う。

 

その沈黙をどう受け止めたか。アインズは言葉を続ける。

 

連れているのは炎の上位天使(アークエンジェル・フレイム)か、そのモンスターは何が由来かと。

 

「独り言はそれくらいにして、こちらの質問に答えてもらおう。ストロノーフをどこにやった?」

 

「村の中に転移させました」

 

「・・・・・・何?」

 

答えるとは思っていなかったニグンは困惑の声を上げ、その理由に思い至る。

 

「愚かな。偽りを言ったところで、村を捜索すれば分か 」

 

「 偽りなど滅相もない。お聞きになったから答えたまででしたが・・・・・・実は素直に答えたのにはもう一つだけ理由があります」

 

「・・・・・・命乞いでもする気か? 私達に無駄な時間をかけさせないというのであれば、考えよう」

 

「いえいえ、違いますとも。・・・・・・実は・・・・・お前と戦士長の会話を聞いていたのだが・・・・・・本当に良い度胸をしている」

 

嘲りを含んだニグンに対し、アインズの口調と雰囲気が一気に変わった。

 

「お前達はこのアインズ・ウール・ゴウンが手間をかけてまで救った村人達を殺すと広言していたな。これほど不快なことがあるものか」

 

「・・・・・・ふ、不快とは大きく出たな、魔法詠唱者(マジック・キャスター)。で、だからどうした?」

 

僅かに威圧されながらもニグンは嘲笑を含んだ態度を変えたりはしない。

 

「先ほど取引と言ったが、内容は抵抗すること無く命を差し出せ、そうすれば痛みは無い、だ。そしてそれを拒否するなら愚劣の対価として、絶望と苦痛、それらの中で死に絶えていけ」

 

アインズが一歩踏み込む。

 

それを合図にして戦闘が始まった。

 

ニグンは部下に指示をだし二体の炎の上位天使(アークエンジェル・フレイム)がその手に持つ炎の剣をアインズに突き立てる。

 

アインズは何もせずに剣に貫かれた。

 

「無様なものだ。下らんハッタリでこちらを煙に巻こうと・・・・・・」

 

そこで疑問を覚える。

 

なぜ、アインズの死体が大地に倒れない?

 

「・・・・・・何をしている、すぐに天使を下げさせろ。剣が刺さっていては倒れまい?」

 

「い、いえそう命じているのですが」

 

部下の戸惑ったような声に、ニグンは弾かれたように再びアインズに視線を送る。

 

天使の翼が強くはためいている。

二体の天使がゆっくりと左右に別れるように動いた。ただしそれは異様な動き方。誰かに無理やり動かされるように離れていく。

 

「・・・・・・言っただろ? 君たちじゃ私達にには勝てないと。人の忠告は素直に受け入れるべきだぞ?」

 

静かな声がニグンの耳に飛び込む。

視野に入る光景。それが一瞬だけ理解できなかった。

 

剣を胸部と腹部に突き刺されながらも、アインズは平然とたっている。

 

「嘘だろ・・・・・・」

 

部下の一人の呻きは、ニグンの内心を代弁していた。剣の突き刺さっている箇所や角度から推測すれば、あれは確実に致命傷だ。

にも関わらず、アインズに痛みを感じている様子は見受けられない。

 

無論、驚きはそれだけではない。

アインズの伸ばした両手の先にあるのは二体の天使たちの喉。それぞれの手でアインズは暴れる天使をつかんで離さない。

 

「ありえん・・・・・・」

 

「・・・・・・何らかのトリックに決まっている」

 

「あ、当たり前だ! 剣が体を貫いているのに無事なはずがなかろう!」

 

慌てふためき、叫び声が上がる。特殊部隊として幾つも死線や激戦を潜り抜けて来たが、そんな光景は見たことがない。ニグンたちの召喚できる天使でも、あれは無理だ。

混乱に包まれたニグンたちに、平然とした、痛みというものをを一切感じていなさそうな平坦な声が届く。

 

「上位物理無効化 データ量の少ない武器や低位のモンスターの攻撃による負傷を、完全に無効化にする常時発動型特殊技術(パッシブスキル)だよ。 さて・・・・・・この天使は邪魔だな」

 

アインズは両手にそれぞれ掴んでいた天使を、拳ごと地面にすさまじい速さで叩きつけた。ズン、という音とともに大地が振動したと思ってしまうほどの桁の違う力を込めて。

 

アインズはゆっくりと立ち上がる。

 

「さて、つまらん児戯に十分、満足したか? では取引は拒絶したと受け取らせてもらおう。次はこちらの番だ」

 

天使を屠ったアインズは姿勢を正しながら手をゆっくりと広げる。

 

気持ち悪い静けさの中、アインズの言葉はどこまでも大きく聞こえる。

 

「いくぞ? 鏖殺だ」




重要な部分はいじりにくいです。

ドミニオンはアルフが相手をする予定です。

今更ながら、アルフの容姿はこんな感じです。

【挿絵表示】

そのうちペンいれと色をいれる予定です。

絵をまともに描いたのは数年ぶりなので、変なところがあるかも知れませんが気にしないでください。
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