オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第29話

夕刻

 

アルフは客を消化し終え、カウンターに顎を乗せて脱力していた。

 

「今日も終わった・・・・・・」

 

「今日は銀貨が多いですね」

 

声のするほうに視線を移すと、昨日と同じように無限の背負い袋を覗き込んでいる。

 

「後は入口に鍵かけて営業終了かな?」

 

そう言い、カウンターから顎を離し椅子から立ち上がり、伸びをする。

 

それと同時、店の扉が開きドアベルがなる。

 

そこには短い金髪をし、漆黒のマントを着た若い女性が立っていた。顔立ちは整っており、猫科動物を思わせる可愛らしさがあるが、肉食獣を思わせる雰囲気をまとっている。

 

「あなたが最近噂の強化屋の店主?」

 

「そうですが。あのもう閉店なのでまた明日、店の営業時間に来てもらえると助かります」

 

そう言いながら、アルフはカウンターから出た。

 

「あなたに強化してほしい宝珠があってねー。拐いに来たの」

 

女性は店の中を見回しその言葉を発した後、小さな声でなにか呟くのが聞こえた。

 

 

〈疾風走破〉

〈能力向上〉

〈能力超向上〉

 

 

それと同時、店の床を蹴りアルフに迫る。蹴られた木の床は捲れ上がり、破片が宙を舞う。

 

その手には鋭い銀の色が握られ、アルフの腹部を貫かんとそれがつき出された。

 

 

だが、それはアルフを貫くことはなかった。

店の中に響いたのは肉を貫く音ではなく、バキンッと金属の割れる音。

 

女は飛び退き、音源であるアルフの腹部と、手に持った武器を交互に見る。

スティレットは先端が砕けひび割れており。アルフの腹部の前には、何かの金属片を握った手がある、おそらく握られた金属により武器が砕かれたのだと女は理解した。

 

「チッ・・・・・・何その金属。ずいぶん硬いけど、アダマンタイト?」

 

「いいえ、あんな柔らかいのじゃないよ。 じゃあ今度はこっちの番ね」

 

金属片をエプロンのポケットにしまうと同時、床を蹴る。相手とは違い、床は割れずそのままだが速度はこちらが上回っている。

その速度のまま相手の首を右手で鷲づかみし、床に叩きつける。

 

「ガハッ‼」

 

叩きつけると同時、床が陥没し女が吐血する。

 

 

「お、おまえ・・・・・・なにもの・・・・・・」

 

掠れた声が聞こえる、あの衝撃で首は折れなかったのか、と感心していると。日が完全に落ち、変化がとける。

 

「・・・・・・人狼(ワーウルフ)。 人間じゃなかったのか・・・・・・」

 

「まぁ一応ね。 で、貴女に提案があるのだけど、僕のシモベにならない?」

 

「何言ってんだおまえ・・・・・・」

 

そう言いながら睨み付けてくる。

 

「君のことが気に入ってね。容姿もそうだけど、速度を生かした戦闘スタイルに共感したんだ。人間をやめる覚悟があるなら、更なる強さを与えられるけど。どう?」

 

「・・・・・・断ったらどうなるの?」

 

「うーん。 僕の正体知られちゃったし、このまま頭と体にはさよならしてもらおうかな?」

 

「・・・・・・分かった、その提案受けてあげる」

 

「ありがとう」

 

そう言いながら手を離す。

 

「僕の名前はアルフィリア・ルナ・ラグナライト、貴方の名前は?」

 

「クレマンティーヌ」

 

クレマンティーヌはその場で胡座をかいて座り、首を擦り拗ねたような声で名乗った。

 

「そんな簡単に私を信用して良いの? 後ろからドスッていくかもしれないよ?」

 

「まぁその時考えるよ。それに、貴女じゃ僕を殺せないし」

 

「で、私はどうすればいいの? 強さをくれるって本当?」

 

「とりあえずそのマントを脱いで。 強さに関しては貴女次第かな」

 

「もしかして私騙された?」

 

そう言いながら着ていたマントを脱ぐ。マントをの下にはビキニアーマーみたいな鱗鎧(スケイルメイル)を来ており、その鱗はよく見ると冒険者の証のプレートであり、さまざまな色がある。

 

「騙してないよ。ちゃんと強くなる方法教えてあげるから心配しないで。それと、これから僕がすることに抵抗しないでね」

 

そう言うと、アルフは座っているクレマンティーヌに抱きついた。

 

「あんたそういう趣味なの?」

 

「まぁ中身男だし、否定はしないかな」

 

「ちょと、それどういうこと?」

 

「後で話すよ」

 

そう言い、アルフはスキルを発動する。

 

〈眷属化の牙〉

 

それは対象を獣人にし眷属とするものだ、追加される種族は対象者の特性に左右され、猫や犬、狼、牛とさまざまある。

 

アルフはクレマンティーヌの首筋にその牙をたてる。

 

「んぅ」

 

クレマンティーヌの口から甘い声が漏れ、身動ぎする。この状態をもう少し楽しみたいが、首筋から口を離す。

 

そこには犬歯でつけた傷があったがすぐに消えてなくなった。それを確認し、抱きしめていたクレマンティーヌを解放する。

 

アルフは少し離れて彼女を観察する。体からは力が抜けきり、その顔は惚けて目の焦点が合っていない。

 

次の瞬間変化が起きた。

人間の耳が消え、頭部には猫耳、尻には細長い尻尾が生えた。

 

どうやらクレマンティーヌは猫科の獣人になったようだ。




クレマンティーヌに猫耳と猫尻尾を生やしたかっただけです。

最初は某AUOのように心臓抉り出して握り潰し、蘇生させて暗示かけて放流する予定でしたが面倒になり眷属に。
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