夕刻
アルフは客を消化し終え、カウンターに顎を乗せて脱力していた。
「今日も終わった・・・・・・」
「今日は銀貨が多いですね」
声のするほうに視線を移すと、昨日と同じように無限の背負い袋を覗き込んでいる。
「後は入口に鍵かけて営業終了かな?」
そう言い、カウンターから顎を離し椅子から立ち上がり、伸びをする。
それと同時、店の扉が開きドアベルがなる。
そこには短い金髪をし、漆黒のマントを着た若い女性が立っていた。顔立ちは整っており、猫科動物を思わせる可愛らしさがあるが、肉食獣を思わせる雰囲気をまとっている。
「あなたが最近噂の強化屋の店主?」
「そうですが。あのもう閉店なのでまた明日、店の営業時間に来てもらえると助かります」
そう言いながら、アルフはカウンターから出た。
「あなたに強化してほしい宝珠があってねー。拐いに来たの」
女性は店の中を見回しその言葉を発した後、小さな声でなにか呟くのが聞こえた。
〈疾風走破〉
〈能力向上〉
〈能力超向上〉
それと同時、店の床を蹴りアルフに迫る。蹴られた木の床は捲れ上がり、破片が宙を舞う。
その手には鋭い銀の色が握られ、アルフの腹部を貫かんとそれがつき出された。
だが、それはアルフを貫くことはなかった。
店の中に響いたのは肉を貫く音ではなく、バキンッと金属の割れる音。
女は飛び退き、音源であるアルフの腹部と、手に持った武器を交互に見る。
スティレットは先端が砕けひび割れており。アルフの腹部の前には、何かの金属片を握った手がある、おそらく握られた金属により武器が砕かれたのだと女は理解した。
「チッ・・・・・・何その金属。ずいぶん硬いけど、アダマンタイト?」
「いいえ、あんな柔らかいのじゃないよ。 じゃあ今度はこっちの番ね」
金属片をエプロンのポケットにしまうと同時、床を蹴る。相手とは違い、床は割れずそのままだが速度はこちらが上回っている。
その速度のまま相手の首を右手で鷲づかみし、床に叩きつける。
「ガハッ‼」
叩きつけると同時、床が陥没し女が吐血する。
「お、おまえ・・・・・・なにもの・・・・・・」
掠れた声が聞こえる、あの衝撃で首は折れなかったのか、と感心していると。日が完全に落ち、変化がとける。
「・・・・・・
「まぁ一応ね。 で、貴女に提案があるのだけど、僕のシモベにならない?」
「何言ってんだおまえ・・・・・・」
そう言いながら睨み付けてくる。
「君のことが気に入ってね。容姿もそうだけど、速度を生かした戦闘スタイルに共感したんだ。人間をやめる覚悟があるなら、更なる強さを与えられるけど。どう?」
「・・・・・・断ったらどうなるの?」
「うーん。 僕の正体知られちゃったし、このまま頭と体にはさよならしてもらおうかな?」
「・・・・・・分かった、その提案受けてあげる」
「ありがとう」
そう言いながら手を離す。
「僕の名前はアルフィリア・ルナ・ラグナライト、貴方の名前は?」
「クレマンティーヌ」
クレマンティーヌはその場で胡座をかいて座り、首を擦り拗ねたような声で名乗った。
「そんな簡単に私を信用して良いの? 後ろからドスッていくかもしれないよ?」
「まぁその時考えるよ。それに、貴女じゃ僕を殺せないし」
「で、私はどうすればいいの? 強さをくれるって本当?」
「とりあえずそのマントを脱いで。 強さに関しては貴女次第かな」
「もしかして私騙された?」
そう言いながら着ていたマントを脱ぐ。マントをの下にはビキニアーマーみたいな
「騙してないよ。ちゃんと強くなる方法教えてあげるから心配しないで。それと、これから僕がすることに抵抗しないでね」
そう言うと、アルフは座っているクレマンティーヌに抱きついた。
「あんたそういう趣味なの?」
「まぁ中身男だし、否定はしないかな」
「ちょと、それどういうこと?」
「後で話すよ」
そう言い、アルフはスキルを発動する。
〈眷属化の牙〉
それは対象を獣人にし眷属とするものだ、追加される種族は対象者の特性に左右され、猫や犬、狼、牛とさまざまある。
アルフはクレマンティーヌの首筋にその牙をたてる。
「んぅ」
クレマンティーヌの口から甘い声が漏れ、身動ぎする。この状態をもう少し楽しみたいが、首筋から口を離す。
そこには犬歯でつけた傷があったがすぐに消えてなくなった。それを確認し、抱きしめていたクレマンティーヌを解放する。
アルフは少し離れて彼女を観察する。体からは力が抜けきり、その顔は惚けて目の焦点が合っていない。
次の瞬間変化が起きた。
人間の耳が消え、頭部には猫耳、尻には細長い尻尾が生えた。
どうやらクレマンティーヌは猫科の獣人になったようだ。
クレマンティーヌに猫耳と猫尻尾を生やしたかっただけです。
最初は某AUOのように心臓抉り出して握り潰し、蘇生させて暗示かけて放流する予定でしたが面倒になり眷属に。