オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

31 / 94
第31話

「はぁ・・・・・・死ぬかと思った」

 

クレマンティーヌはのどに詰まったものを水で流し込み、ひと息ついている。

 

「よかった、眷属にして数十分で死亡とか洒落にならん。今日は家に泊まって行って良いよ、茶釜さん案内してあげて」

 

「了解、寝室はこっちよ」

 

ぶくぶく茶釜はそう言い、カウンター奥の扉を開けて進む。クレマンティーヌは立ちあがり彼女のあとを追って出ていった。

 

アルフは二人が出ていった後の店内を見回す。壁や商品棚には問題ないが、床が捲れたり陥没している・・・・・・。

 

魔法を使えばすぐにでも直るが、耐久値が下がるのでどちらにしろ張り替えなければならなくなる。

 

「しょうがないか」

 

そう言いながら魔法を使って床を直し、ポケットから金属片を取り出す。

その金属の名前はヒヒイロカネ、ユグドラシルでは丈夫な部類に入る金属。それを錬金術師の魔法を使い、溶かして床に塗布する。

 

少しもったいない気がするが、これで床が木のしなやかさがありながらも金属の耐久値をもつ物へと変わる。

 

床の修理を終え、店の戸締まりをして明かりを消し、店を出てキッチンに行くとぶくぶく茶釜が食事していた。

 

「茶釜さん、クレマンティーヌは?」

 

「あの子なら、早いけど疲れたから寝るって」

 

それを聞きながら、アルフはぶくぶく茶釜の向かいに座り、アイテムボックスから箱を取りだしテーブルに置いた。

 

「これ昼間のお土産、状態保存の箱にいれてあるから」

 

「ありがとう」

 

ぶくぶく茶釜は箱を受け取って中身を取りだし、口らしきところに入れ。それを見ながらアルフは向の椅子に座る。

 

「茶釜さん、クレマンティーヌのことどう思います?」

 

「うーん。ちょっとおかしなところはあるけどナザリックでは許容範囲内かなぁ。 そう言えば漆黒聖典ってニグンの情報にあったスレイン法国にいる強者を集めた部隊だよね。中には神の血を引きそれを覚醒させた神人ってのもいるらしい。神ってたぶんユグドラシルプレイヤーだよね」

 

「十中八九はそうですね。他にも13英雄もプレイヤーの可能性はありますね、まだまだ情報が足りないので近々王都にでも店を移しますかね」

 

「そうだね、王都の方がもっと情報が集まりそうだし、何より美味しい食べ物が沢山ありそう」

 

「じゃあ、何か大事件が起きたらそれを理由に王都に移り住むって感じでいいですかね」

 

「それでいいですよ」

 

その後今後の王都での方針を決めていくが、今の状態とあまり変わらないものとなり、明日も早いので寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

「ちょっと⁉や、やめ。そんなところに入ってこないで‼」

 

 

そんな声で目が覚めた。声のする方に焦点の合わない視線を向けるとベッドにうつ伏せになっているクレマンティーヌと、彼女の体に絡み付いているぶくぶく茶釜がいた。

 

焦点の合い始めた目で現状を確認する。クレマンティーヌは鎧を脱いでおり、胸は伸縮性のある黒い布を着け、下半身はスパッツをはいている。ぶくぶく茶釜はその布の隙間から手を入れ胸をまさぐり、尻を撫で回している。その姿はまさにスライムに襲われる女戦士、エロゲのシーンを実際にこの目で見れるとは思わなかった。

 

とりあえずアイテムボックスから録画用のスクロールを出し、録画を始める。

 

「ふふふ、良いではないか、良いではないか」

 

ぶくぶく茶釜はどこぞの悪代官の台詞を言いながら、まさぐり続ける。

 

「や、やめてぇ」

 

クレマンティーヌが半泣き状態で懇願するも、

「女同士なんだから良いじゃない、それにこれは身体検査よ?」と却下される。

 

「ん・・・・・・あん、やぁ」

 

その声は艶のあるものに変わり、顔は紅く、息が荒くなって来ている。そんなとき、クレマンティーヌと目があった。

 

「あーちゃん。た、助けて」

 

「ごめん、その人には逆らえないんだ。無力な主人を許しておくれ」

 

「裏切り者ぉ、ひぐぅ!!」

 

クレマンティーヌの体がビクンと跳ねる。おそらくどこかしらに何かが入ったのだろう。

 

「わ、私じゃなくあーちゃんの方をヤればいいじゃない!」

 

「貴女は前菜、アルフさんはメインディッシュ兼デザートなの。そのうち二人まとめて可愛がってあげるから安心して」

 

「・・・・・・じゃあ、僕は朝ごはんを用意してくるよ」

 

これ以上ここにいると巻き込まれると思い離脱することにし、スクロールを録画状態で置いて寝室を出ていく。

 

「バカぁ、この薄情者!人でなしぃ!」

 

寝室の扉を閉める直前、クレマンティーヌからの罵声が聞こえた・・・・・・。

 

 

 

 

朝ごはんの入った箱を担ぎ、寝室の扉を開けて中を確認する。

 

さっきと違う点は、ぶくぶく茶釜が満足そうに撮り終えたスクロールを見ており、クレマンティーヌはベッドの上でぐったりとしていて、目に光がない・・・・・・。

 

「クレマンティーヌ・・・・・・大丈夫?」

 

「・・・・・・ぅ」

 

僅かに反応がある、一応は生きているみたいだが。寝室を離れた十数分の間に何があったのかはぶくぶく茶釜が見ているスクロールに記録されているだろう。

 

「アルフさん、これ。後でコピーしてちょうだいね」

 

ぶくぶく茶釜からスクロールを受け取り、アイテムボックスにしまった。

 

その後皆で朝食をとったのだが、クレマンティーヌはそれから昼を過ぎるまで口をきいてくれなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。