オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第33話

アルフはクレマンティーヌに今の状況を説明し、ズーラーノーンの拠点は何処かと問うことにした。

 

「クレマンティーヌ、事情は今言った通り。だからズーラーノーンの拠点を教えてほしい」

 

「場所を移していたら分からないけど、墓地にある神殿を拠点にしてたよ」

 

クレマンティーヌの答えを聞き、繋がったままのメッセージでアインズに報告する。

 

「アインズさん、拐った奴は墓地の神殿にいるみたいです」

 

『分かりましたが、今誰と喋っていたんですか?』

 

「僕の眷属です、後で紹介するので急いでください」

 

メッセージを切り、アイテムボックスからクレマンティーヌの持っていたスティレットに近いものを二本取りだし、彼女に渡した。

 

「これは?」

 

クレマンティーヌは武器を受け取り、いろんな角度から観察している。その武器は彼女のスティレットより少し長く、柄の部分にはそれぞれ紅と黄の宝玉がはめ込まれ、その宝玉の中では同色の淡い光が揺れている。

握り具合を確かめるため柄を握ると、自分の手のサイズに合わせて変化する、これは魔法の武具の特徴だ。

 

「折れた武器の替りにそれあげる。素材はヒヒイロカネと龍の鱗を合成した物、紅い宝玉の方が第五位階の炸裂(バースト)、黄の宝玉の方には第五位階龍雷(ドラゴン・ライトニング)が込められてる。1日5回しか使えないから注意してね」

 

「えっ!?」

 

クレマンティーヌは驚いた表情で武器とアルフを交互に見つめる。それもそうだ、魔法のこもった物は高額であり、その力が強ければ強いほどその額が跳ね上がっていく。さらには聞いたことの無い素材と、最強種である龍の鱗を使われた武器だ。

この世界では第三位階を使えれば大成したとされ、それ以上となると英雄の域だ。そんな魔法の入った武器、買うとしたら白金貨の山ができるであろう武器をポンとだす自らの主人に驚きを隠せない。

 

「アルフさん、クレマンティーヌ。何してるの?」

 

そんなとき、ぶくぶく茶釜が現れた。

 

「ちょうど良かった。茶釜さん話したいことが」

 

 

 

アルフはぶくぶく茶釜に今起こっている事態を説明する。ンフィーレアと言う人物が拐われ、その人物のタレントを利用して大量のアンデッドを召喚してこの都市を死の都にしようとしていると。

 

「ずいぶんと物騒なことになってるみたいだね」

 

ぶくぶく茶釜は感想をのべる。それと同時、店の外が騒がしくなり、男がなにやら叫んでいる。

 

 

『緊急事態発生‼墓地よりアンデッドが溢れだしています‼ 一般人は退避、冒険者は直ちに武装し墓地に集合してください‼』

 

冒険者ギルドの職員だろう、手に拡声のマジックアイテムを持っている。おそらくここ以外でもギルドの職員がはしりまわっているだろう。

 

「アインズさんがいるなら今夜中には事が終息するとは思うけど、確認しに行きますか?」

 

「そうですね、アインズさんがどんな感じで戦士職をやってるのか気になりますし」

 

ぶくぶく茶釜の言葉にアルフが答える。

 

「じゃあ行こうか、集団飛行(マス・フライ)

 

魔法発動とともに、その場にいる三人の体が浮き上がり、アルフは二人の手を掴んでもう一つ魔法を発動する。

 

上位転移(グレーター・テレポーテーション)

 

視界が暗転し、次の瞬間。三人は墓地の上空に転移していた。

 

 

 

「・・・・・・これが、転移魔法」

 

そうクレマンティーヌが呟いた。知識では知っていたが、この目で見て体験するのは初めてだった。

 

物珍しげに下を見回すと、そこには人影があった。

その人物は漆黒の全身鎧(フルプレート)を着用し、両の手には巨大なグレートソードが握られている、それは常人であれば両手で振るう物だが、その者は軽々と片手で振り回し、スケルトンやゾンビを切り裂き、砕き、なぎ倒している。

 

圧倒的。その言葉が相応しくあるが近接戦闘になれたもの、クレマンティーヌからみればそれはただ力任せに振り回しているようにしか見えない。

 

おそらくあれがアルフの言っていたアインズなる人物なのだろう。

 

 

 

その光景を見ているアルフの視界の端に何かをとらえ、そこに視線を向けると、そこには巨大なハムスターが浮いていた。

 

「ん?」

 

よく観察すると、巨大ハムスター自体が浮いているのではなく、何者かに支えられて浮いているのがわかった。

 

何者がそうしているのか気になり、ハムスターの前に回り込む。そこには見知った顔があった。

 

「ナーベラル、何してるの?」

 

「アルフィリア様、ぶくぶく茶釜様。これがアンデッド達に狙われるのでこうやって退避させております。それと今はナーベと名乗っております」

 

彼女が礼をしてそう答える。

 

「ああー」

 

ナーベラルの言葉に納得する。アンデッドは生者を憎む、それを反映しているのか命あるものを襲う傾向がある。まぁこちらもそれを考えて墓地の上空に転移したのだが。

 

「アルフィリア様、そちらの者は何者ですか?」

 

ナーベラルの視線の先にはクレマンティーヌがいる。

 

「彼女は元人間、現僕の眷属だよ」

 

「元下等生物など、アルフィリア様の眷属には相応しくないかと思います」

 

「・・・・・・」

 

ナーベラルは人間が嫌いなのか当りがきつい気がする。もしかしたらナザリック全体がそうなのかも知れない、今度確かめようと思いながら、ナーベラルに言う。

 

「ナーベ、僕の選んだ者に何か文句でもあるのかな、僕はナザリックのためになると思ったんだが、僕の考えが間違っていたと?」

 

実際は容姿が主な理由である、それっぽいことを言えば誤魔化せると思い口にしたが、それが思ったより効果を発揮したことに頭を抱えることになる。

 

「い、いえ!けっしてそんなことは、浅はかな考えで発言したことをお許しください」

 

ナーベラルは背筋を伸ばし、少しばかり震えているように見える。

 

「・・・・・・許す、以後気を付けてくれるなら問題はない」

 

「ありがとうございます!」

 

「はぁ・・・・・・」

 

そんなやり取りをしているうちにアインズが墓地内の神殿にたどり着き、神殿の前にいた複数の人影と対峙していた。

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