アルフ達は鎧を着たアインズの横に降り立ち、ズーラーノーンと思われる人物達と対峙する。
「やぁ、カジッちゃん。元気にしてた?」
「クレマンティーヌ。貴様なぜそちらにいる」
「簡単なことだよ、こっちの方が魅力的だったから鞍替えしちゃった」
クレマンティーヌは腰のホルダーに入った黄の宝玉がはまったスティレットを引抜き、かつての仲間であった者達にその切っ先を向ける。
「あんた達にこんな武器ポンと渡せるの? カジット・デイル・バダンテール」
〈
スティレットに封じられた魔法が発動し、龍の姿をした雷がカジット達を襲う。
「こい!」
カジットが手に持った石をかかげると同時、空から降ってきた巨大な白い塊に龍雷を弾かれた。
「ちっ・・・・・・スケリトル・ドラゴンか」
降ってきた白い塊、スケリトル・ドラゴンはクレマンティーヌを睨むように顔を向けている。
「普通であればその武器は最強の部類に入るだろうが、魔法に絶対の耐性を持つスケリトル・ドラゴンの前では無力!さぁ行け、奴等を踏み潰せ!」
カジットの命令を受けスケリトル・ドラゴンが飛び上がり、急降下してくる。
だが、その攻撃は届かない。クレマンティーヌの前に出たアインズが、スケリトル・ドラゴンの前足による攻撃を片手で受け止める。
「二人で楽しく会話するのは良いが。私を忘れてもらっては困るな」
「何?!」
「そんなに驚くことか? ふん!」
アインズはもう片方の手に握られたグレートソードを振り、スケリトルドラゴンの腕を切り飛ばした。
「ぐ、戻れ!〈
スケリトル・ドラゴンが飛び退き、カジットの魔法を受けて腕を再生させる。
「前から思っていたが、魔法が効かないと言っておきながら魔法で回復するのは納得できないな・・・・・・ナーベラル、加減無しであれを潰せ」
「畏まりました」
ナーベラルはいつの間にか巨大ハムスターを木上に置いて、アインズの前で一礼し、装備が冒険者から戦闘メイドの物へと換わる。
「スケリトル・ドラゴンには魔法が効かないと思っているようなので、下等生物に知恵を得る機会を与えましょう。お代はあなたの命ということで」
ナーベラルの両手は帯電し、バチバチと音をたて雷がのたうち、輝いている。
「確かにスケリトル・ドラゴンは魔法に対する耐性を持っている。でも、それは第六位階以下の魔法の無効化という能力」
手を合わせると同時にバチンと雷撃が弾け、 離した両手の間には龍の形をとった雷撃が行き交い、バリバリと激しい音をたてる。
「つまりはそれ以上の魔法を使用できるこのナーベラル・ガンマの攻撃は無効化出来ないということ・・・・・・アインズ様の踏み台、本当にご苦労さま」
〈
ナーベラルの両手からそれぞれ一本ずつ、のたうつ龍のごとき雷撃が打ち出される。
人間の腕よりもはるかに太い雷撃をその身に受け、スケリトル・ドラゴンの白い巨躯が打ち震える。龍が巻きつくように、スケリトル・ドラゴンの全身を覆う雷撃は、死体を動かす偽りの生命を全て焼き尽くしていく。
「ば、バカな!」
雷撃の龍はスケリトル・ドラゴンを焼いてもその威力は衰えず、その後ろにいたカジットにも襲いかかった。
龍雷はカジットを直撃し、声もなくその命を焼き尽くし、肉の焼ける臭いが辺り一帯に広がっていく。
「下等生物でも焼けると良い匂いがする・・・・・・エントマのお土産にどうかな」
人間を捕食する同僚の名前を出しながら、嘲りの笑みをナーベラルは浮かべた。