オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第4話

「モモンガさん、魔王ロールさまになってましたよ。

あと、とんでもないことになりましたね」

 

「アルベド、モモンガさんに完全にホの字ですねぇ、リアルでエロゲのようなことを始めようとするとは思いませんでした」

 

アルフとペロロンチーノはニヤニヤしながらそう言ってくる。

 

「あ゛あアァぁぁ……あれはつまらない冗談だったのに……こんなことになると知っていたら、あんなことはしなかった、俺は……タブラさんの作ったNPCを汚してしまったのか……」

 

モモンガは膝と手を床に突き嘆いている、そこにぶくぶく茶釜が寄り添い肩に手をかけ、

 

「過ぎたことを悔やんでも仕方ないよ。それに、タブラさんNTR属性もあったはずだから問題ないどころか、両手を上げて喜びそうかな」

 

その言葉にモモンガは撃沈した、確かにタブラさんならあり得る、そう理解してしまう。

 

「モモンガさんいじるのはこの辺にして、いろいろ試さないといけませんね。魔法やスキル、アイテムがちゃんと使えるのかとか、発動の感覚とかゲームとの差違もですかね。

モモンガさんもそれが目的で闘技場を集合場所に決めたみたいですし」

 

ぶくぶく茶釜がモモンガの復帰を待ちながら言葉を続ける。

 

「まずはこのリングからですね」

 

アルフは自分の左手人差し指にはまっているリングを見る、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン、ギルドの紋章が刻まれた指輪、ギルドメンバーの証であり、大墳墓内、玉座の間とギルドメンバー達の部屋以外なら自由に転移することができるマジックアイテム。

 

凹んでいた状態から復帰したモモンガとペロロンチーノ、ぶくぶく茶釜は頷き、リングに転移先である闘技場の通路を念じ、転移する。

 

 

 

 

 

するとナザリック地下大墳墓・第六階層 闘技場への通路にいつの間にか立っていた。

 

 

「成功ですね」

 

ぶくぶく茶釜は辺りを見回しそう告げる。

先程までの光景が一変し、周囲は薄暗い通路へと変わっている。ここは闘技場へと続く通路。

皆は歩き、光が指す方へと通路を進む。出口が近づくにつれ草木の匂いが鼻腔に入ってくる。強い青臭さと大地の匂い、 それは深い森の匂いだ。

 

通路を出て視界に映ったのは、何層にもなる客席が中央の空間を取り囲む場所、 円形闘技場があった。

 

モモンガ達は闘技場の中央に歩を進めながら、空を眺める。そこには真っ暗な夜空が広がっていた。

もし周囲に明かりが無ければ、空に浮かぶ星すらも見えたことだろう。

 

勿論、この場はナザリック地下大墳墓の第六階層、地中であり今見上げているのは偽りの空だ。

ただ凝り性なギルドメンバーによってかなりのデータを割り振っており、時間の経過と共に変化する。日光と同じ働きをする太陽すら浮かぶ。

 

モモンガ達は周囲に目をやる。ここにはぶくぶく茶釜が作り出した双子が居たはずだが。

 

「とあ!」

 

掛け声と共に貴賓席から跳躍する影、六階建ての建物に匹敵する高さから飛び降りた影は、空中で一回転し着地した。

 

「ぶい!」

 

両手にピースを作る。

飛び降りてきたのは10歳ほどの子供で、幼い子供特有の少年とも少女とも取れる可愛らしさがある。金の絹のような髪を肩口で切り揃え、耳は長く尖っており、薄黒い肌、

森妖精(エルフ)の近親種、闇妖精(ダークエルフ)と言われる人種だ。

 

「アウラか」

 

モモンガは登場した闇妖精の子供の名前を呟く。

ナザリック地下大墳墓第六階層の守護者であり、幻獣や魔獣等を使役する魔獣使い(ビーストテイマー)野伏(レンジャー)、アウラ・ベラ・フィオーラ。

 

アウラは小走りにモモンガに近づいてくる。小走りではあるが獣の全速力と同等のスピードだ。瞬時に二人の距離が近づく。

 

アウラは急ブレーキをかけ、地面を削り土煙を起こす。

そして子犬がじゃれついてくるような笑顔を浮かべ、モモンガに挨拶する。

 

「いらっしゃいませ、モモンガ様。あたしの守護階層までようこそ」

 

アウラは挨拶のあとモモンガの後ろの人影が気になったのか、覗くように体を右に傾ける。

 

「あっ!!」

 

アウラは視線の先には手を振るような感じで体を変形させているぶくぶく茶釜が居た。

 

「ぶくぶく茶釜様あぁーー!!」

 

ぶくぶく茶釜を確認するとすぐさま飛び込んでいく。ぶくぶく茶釜は体をくねらせアウラを優しく受け止め、その頭を撫で始めた。

 

「久しぶりだね、アウラ。長い間留守にしてごめんね。

マーレもおいで!」

 

ぶくぶく茶釜が呼ぶと、先程の貴賓席からもう一人、履いているスカートの裾を押さえながら飛び降りた。

 

マーレ・ベロ・フィオーレ、その容姿はアウラとそっくりだが、姉より幾分大人しいようだ。

 

マーレはテッテッテという擬音が似合いそうな速度で走ってくる。当然、全力で走っているのだろうが、アウラと比べるとかなり遅い。モモンガの下に着くと、

 

「お、お待たせしました、モモンガ様……」

 

びくびくと、モモンガを窺うように上目遣いをし、モモンガの後ろにいるぶくぶく茶釜が気になるのか、ちらちらと視線がそちらに行く。

 

それを見たモモンガはマーレの頭を撫で、

 

「存分に甘えてこい」

 

そう言ってマーレをぶくぶく茶釜のもとへ行くように促す。マーレは一礼し、ぶくぶく茶釜の胸に飛び込んだ。

 

自分を創造したぶくぶく茶釜に甘えるアウラとマーレ。そのアウラとマーレを優しく包み、頭を撫でるぶくぶく茶釜。

その光景は実にほほえましかった。




忠誠の儀迄が意外に長いです

アウラとマーレ可愛いですよね。
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