オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

40 / 94
第40話

シャルティアとエインヘリヤルの攻撃が続く。

 

エインヘリヤルがアルフへと近接攻撃を仕掛け、シャルティアは隙を見て魔法を撃ち込む。

 

アルフの戦闘スタイルは手数の多い対多腕種との一対一と、一対多数の近接戦を主眼においているため、一対多数の近接と魔法の複合戦となると対処が難しくなる。

 

その証拠に、加速を重ねてシャルティアを狙って攻撃しても力の聖域(フォース・サンクチュアリ)を使われ、その隙にエインヘリヤルが攻撃をしてシャルティアから引き離す。

 

それを数回繰り返し、アルフのHPが少しずつ削られていく。

 

「・・・・・・HP調整が難しいな」

 

もうHPが30%ほど削られている、対するシャルティアはといえば一旦は40%近く削ったが、リジェネレートとスポイトランスの効果で10%近く回復されている。

 

「ふふ、このままいけばアルフィリア様と・・・・・・」

 

シャルティアがよからぬ妄想をしているようだ。

とりあえずこの隙に攻撃魔法を撃ち込んでみる。

 

広範囲魔法最強化(ワイデンマキシマイズマジック)彗星の一撃(コメット・ストライク)

 

魔法を発動し、上空から巨大な彗星が落ちてくる。

 

「なっ!? 〈力の聖域(フォース・サンクチュアリ)〉」

 

シャルティアは慌てて防御魔法を発動させるが、これは攻撃目的ではないので意味はない。目的は魔法の付属効果、防御魔法を無効化し一時的に使用できなくなる、というのが目的だ。

 

彗星がシャルティアに直撃し、防御魔法ごと押し潰し、地面に巨大なクレーターを作る。

 

「くっ、こんなことで。アルフィリア様との睦事は諦められないでありんす!」

 

土煙が舞うクレーターからシャルティアの声が響く。

 

「この体が男なら歓迎なんだけどね、シャルティアは女の僕が目的のようだし、女の体だとどうなるかわからないから遠慮させてもらうよ」

 

アルフはそう言いながら五つの指輪を使って十の加速を重ね、空中を蹴り、シャルティアを爪による斬撃で攻撃する。

 

空中を蹴り、すれ違う瞬間に攻撃する。それを十、二十と繰り返し、シャルティアのHPを削っていく。

 

「ぐっ、〈眷属招来〉!」

 

シャルティアはスキルを発動させ、数多の眷属を召喚し、物量でアルフを押て引き離す。

 

魔法最強化(マキシマイズマジック)朱の新星(ヴァーミリオンノヴァ)

 

そこにシャルティアから魔法が放たれ、眷属ごとアルフを焼く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アインズ様、アルフィリア様は大丈夫でしょうか・・・・・・」

 

「大丈夫だ。アルフさんの顔をよく見てみろ」

 

アルベドは戦闘中のアルフへ視線を移し、その顔を見る。

アルフは追い詰められているにも関わらず、その顔には笑みがある。

 

「この模擬戦はアルフさんが本気で戦えるかの実験でもあるのだ」

 

「実験ですか?」

 

「うむ、彼女の本気は凄まじくてな。本気で一撃を放てば神に叱られ、本気で加速すれば世界がその負荷に耐えきれずラグ、世界自体が遅くなってしまってな。

ちょうど頃合いか、アルベドよ彼女のHPを見てみろ」

 

アインズはそう言い、アルベドはアルフのHPを確認する。

シャルティアとの攻防で先程まで少しずつ削れていたHPが、50%になってからは全く減っていない。

 

「これはいったい」

 

「不思議だと思わなかったか? コキュートスの四つ腕による攻撃を完全に防ぎきり、隙がないとも思える連撃の隙をつき一撃を入れたアルフさんが、たかが二手同時攻撃でどうにか出来るはずもない」

 

「では、アルフィリア様はわざとダメージを負っていたと?」

 

「うむ、彼女が本気を出すには三つほど条件があってな。その一つがHPが50%以下であること、あとの二つは模擬戦後に説明しよう」

 

そうしているうちに、戦闘の状況が変り、互いににらみあっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルフィリア様、降参したらどうでありんすか?」

 

「面白い冗談言うね、本番はこれからだよ」

 

言い終えると、アルフに変化が起こった。

 

アルフの体がバキバキと音を立て、筋肉が隆起し骨格が変わっていく。

その過程で装備が体に取り込まれ、全身が漆黒の毛で覆われ、顔と腕には金のラインが入り、手足には赤黒い焔が灯される。

その姿は二足で立つ、身長二メートルの獣であった。

 

 

完全異形形態

 

一部の異形種は複数の形態をもつ。人間形態や半形態時にペナルティーを受け入れることで、完全異形形態時にボーナスが得られる。

 

変化が終ると同時、装備している世界級(ワールド)アイテム、グレイプニルに変化が起こった。

 

グレイプニルが淡く発光し、金の焔が灯される。

 

 

「ふぅ、この姿になるのも久しぶりだな」

 

「エインヘリヤル‼」

 

シャルティアはアルフが完全異形形態に変わったことに焦り、エインヘリヤルに指示をだし突撃させる。

 

エインヘリヤルが槍を突き出すが、手の甲で弾かれ。がら空きになった胸に手刀を打ち込まれてぶち抜かれ、その体が崩壊していく。

 

「そんなバカな‼」

 

エインヘリヤルはシャルティアと同等の能力を持ち、HPも70%も残っていた、それが一撃で倒されたのだ。

 

「シャルティア、降参したらどうかな?」

 

「くっ!〈眷属招来〉‼」

 

シャルティアは召喚できる残り全ての眷属を呼び出し、己の盾とする。

 

それを見たアルフはアイテムボックスから一本の大太刀を引きずり出す。

 

それは黒曜石で出来ており、長さは180cmもある鍔の無い美しい大太刀、その刀身には紅いラインが入っており、淡く発光している。

 

「攻撃範囲限定・距離、千」

 

その大太刀を握り、大上段で構え、刀に込められたスキルを発動し力一杯降り下ろす。

 

 

世界分断(ワールド・ディバイド)

 

 

大太刀が力を発動し、一直線に斬撃が飛ぶ。

その斬撃は空を裂き、地を割り、盾にした眷属が消滅していく。

 

「〈力の聖域(フォース・サンクチュアリ)‼〉」

 

シャルティアは防御魔法を発動するが、その上からダメージが入り、蘇生アイテムが役目を果たし砕けてしまった。

 

 

「そこまで、勝者・アルフさん」

 

勝者を告げる声が平原に響き、模擬戦は終了した。




設定

完全異形形態
アルフがそれになる条件は
夜であること、月が出ていること、HPが50%以下の3つ。

追加されるスキルがいくつかあり、その一つが防御魔法を無視して貫通ダメージを与える。

彗星の一撃(コメット・ストライク)
範囲攻撃魔法、攻撃力は低めだが付属効果で防御魔法を無効化し一時的に使用できなくなる。使用できなくなる時間は1分、最強化すると30秒伸びる。

黒曜石の大太刀
名前は崩界の大牙。能力は攻撃範囲と距離の強化。
世界分断(ワールド・ディバイド)
斬撃を一直線に飛ばす。
最初は技名は無かったが無言で放つのも味気ないとアルフが付けた。

グレイプニルその2
全てのステータス-15%の効果が全ステータスを5倍にするに変わる。発動条件は完全異形形態であること。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。