オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第41話

模擬戦が終了し、アルフは辺りを見回していた。

 

平原だった場所は、隕石と彗星によるクレーターが出来、地面は焼け、千の刃が突き出し、一キロに渡って切断されている。

 

そんな切断痕の横では、シャルティアが膝と手を突き項垂れてぶつぶつと何か言っている。耳を澄ませると「アルフィリア様との睦事が、逢瀬がぁぁ」と聞こえた・・・・・・。

 

 

 

「随分派手にやりましたね」

 

アインズの声が聞こえ、声のする方へ振り向くと、アインズ、ぶくぶく茶釜、ペロロンチーノ、各階層守護者、クレマンティーヌがいた。

 

「アルフさん、全力でやらなくて良かったの?」

 

「全力でやったら世界が壊れるってわかって言ってますよね」

 

ペロロンチーノの問にあきれたようにアルフが答えた。

 

そんな話をしていると、アルフの右手の甲がちょんちょんとつつかれ、そちらに目を移すと、アウラがいた。

 

「アルフィリア様、すごく綺麗な毛並みですね」

 

「そうかな」

 

アウラに言われ、腕を上げたり体をひねって自分の毛を確認する。

 

「それでですね、もしよければ触らせてもらえないでしょうか?」

 

「お、お姉ちゃん、失礼だよ」

 

アウラが頬を赤く染め、もじもじしながら言葉にし。マーレが慌てたように自らの姉を止めようとする。

 

「いいよ、触っても」

 

そう言いながら、アルフはアウラを抱き上げた。

抱き上げられたアウラはわさわさと胸や腹、腕辺りを触り、頬擦りをする。

 

「思った通り、すごく良い。フェンより触り心地良い」

 

その光景を見ていた守護者達からアウラに嫉妬の混じった視線が向けられ、それに気づいたアウラはこれ見よがしにアルフに体を寄せて頬を擦り寄せる。

 

「アウラばかりずるい、わたしもアルフさんモフる」

 

そう言ってぶくぶく茶釜が加わり、尻尾に絡み付いてくる。

 

その後、ナザリックヘ戻るのだが。アウラとぶくぶく茶釜は毛の手触りが気に入ったのか、満足するまでアルフから離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

ナザリック地下大墳墓・第九階層 アルフの自室

 

「お帰りなさいませ、お父様。そちらのかたは?」

 

自室に入ると、マリアが出迎え、アルフの後ろにいるクレマンティーヌを不思議そうに見ている。

 

「この子は僕の初めての眷属で名前はクレマンティーヌ」

 

そう言いながら振り向き彼女を見るが、ボケーっとしていて心ここに在らず、といった感じだ。

 

「クレマンティーヌ、どうしたの?大丈夫?」

 

「あ、うん。さっきの戦いが神話で読んだり聞いたりしたのより凄すぎて・・・・・・」

 

アルフはクレマンティーヌの理解が及ばない事が目の前で起き、脳が処理しきれず考えることを放棄していると理解した。

 

「まぁ、とりあえず入って、風呂に入るなりそのままベッドで寝るなり好きにして良いよ」

 

「うん、頭がこんがらがってるからそのまま寝る」

 

そう言うと、着ていた鎧を脱ぎ捨て、ベッドにうつ伏せに倒れこんでそのまま寝てしまった。

 

「うむ、なかなか刺激的だな」

 

クレマンティーヌの姿は胸には何も着けず、下は黒のピッタリとしたパンツで、尻尾があるため少し下げられている。

 

「マリア、布団かけてあげて。私は汗流してくるから」

 

「襲わなくていいんですか?」

 

「疲れてるみたいだし、そのまま寝かせてあげたいかな。明日からは大変になるかもしれないし」

 

「畏まりました」

 

その言葉を聞き、アルフは風呂場へと向かった。

 

 

「お父様の眷属、ねぇ。分類的には私の妹、になるのかしら? 姉妹でお父様を手篭めにするのも良いかもしれない、でもレベルが足りないかな・・・・・・」

 

そこには自らの父を手篭めにする計画をたてている娘がいた。

 

 

 

 

翌日

 

ナザリック地下大墳墓・第二階層 迷宮区 9:00

 

アルフとクレマンティーヌは朝食をとった後、その場所に来ていた。

アルフはそこへ来た目的をクレマンティーヌに話しておらず、彼女は疑問符を浮かべながらついてきている。

 

「あ~ちゃん、こんなところで何するの?」

 

「ん? 貴女を眷属にしたとき言ったでしょ、強くなる方法を教えるって・・・・・・着いた」

 

アルフが立ち止まり辺りを見回す、そこは少し開けたところで、広さは10㎡くらいはある。そんな広場のはしにメイドが立っていた。

 

「マリア、準備の方は終わってる?」

 

「終わっております。回復アイテムの準備とこの場所の設定は言われた通りに」

 

マリアの答えに頷くアルフ、クレマンティーヌはいまだに疑問符を浮かべている。

 

「クレマンティーヌ、貴女にはここでレベル上げと言う儀式をしてもらいます。パワーレベリングの方が効率は良いけど費用がかかるのと、戦闘経験がつめないのでやりません」

 

「れべる上げ?」

 

「まぁ、儀式と言っても出てくるモンスターをひたすら倒す簡単かつ苦行的なモノだよ。 ここはアインズさんに言ってLv30、こっちでは難度だっけ? それが90くらい、クレマンティーヌと同格のスケルトンがうようよ出来るよう設定してもらいました」

 

「は!? 本気で言ってる?」

 

クレマンティーヌの知識では、スケルトンは雑魚であり、自分と同等のスケルトンなどいない。

 

「本気だよ、じゃあまず一体目」

 

そう言うと、目の前に剣と盾を持ったスケルトンが一体湧いて出た。

 

「倒せば次が出てくるから、どんどん行ってみよー」

 

アルフの言葉を聞き、クレマンティーヌはモーニング・スターを引き抜いた。

スケルトン等には刺突武器は効果が薄く、打撃には弱いので苦手であってもこれを選んだ、普通のスケルトンであれば盾の上からであろうと、一撃で終わる。

そう思い、スケルトンに接近しモーニング・スターを振り抜く。

 

だが、スケルトンは盾で攻撃を弾き、剣で反撃を仕掛けてきた。クレマンティーヌはそれを紙一重でかわし、飛び退いた。

 

「本当に私と同じくらいの強さがあるのみたいね・・・・」

 

「あ、忘れてた。クレマンティーヌ、これ使って」

 

アルフはアイテムボックスから複数のアイテムを引き出し、クレマンティーヌに差し出す。

 

「この腕輪、アンクレット、サークレット、指輪は取得経験値増加の装備で、この武器は見た目はスティレットだけど中身は打撃武器って意味不明な物」

 

クレマンティーヌはアイテムを装備し、スティレットを見つめる。

 

「あーちゃん、なんでこんなの作ったの?」

 

「今回のための特別製、耐久値もそれなりにあるから気にせず打ち合って良いよ」

 

中身はあれだが確実に自分の使っていた物より格上だ、そんなものがポンポン出てくる状況にすでになれてしまった自分がいる。

 

クレマンティーヌはスティレットを握り締め、目の前のスケルトンとの戦闘を再開した。

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