オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第42話

ナザリック地下大墳墓・第二階層 迷宮区 13:00

 

「あ、あーちゃん。ちょっと、休憩しない?」

 

クレマンティーヌはレベル上げを始めて約四時間、自分と同等のスケルトンを数十体休みなく倒し続け、疲労して膝に手をつき、大量の汗を流している。

 

「四時間ぶっ通しだったし、休憩にしよっか」

 

それを聞いたクレマンティーヌはドサッと仰向けに寝そべり、手に持ったスティレットを放り投げ、体に溜まった熱を吐き出すように息を吐き出した。

 

「あ~、床が冷たくて気持ちいい・・・・・・てか、これ本当に強くなれるの?」

 

「なれるよ。今のクレマンティーヌなら難度120くらいなら相手出来るはずだよ」

 

スキルを使ってクレマンティーヌを見る、種族と職業レベルが合わせて40になっている。おそらく獣人のスキルも幾つか発現しているだろう。

少し早いが、スキルで召喚する眷属と戦わせる事にする。

 

 

〈中位眷属召喚・オルトロス〉

 

 

スキルを発動し、アルフの影から這い出るように、二つの頭を持ち、尻尾が蛇になっている黒い犬が現れた。

 

「このモンスターの名はオルトロス、難度は120で火属性の魔法を二つほど使える。貴女にはこれと戦ってもらいます」

 

「スケルトンは見飽きてたからちょうど良いか」

 

そう言いながらクレマンティーヌは立ちあがり、腰のホルダーからスティレットを一本引き抜き、クラウチングスタートのような体勢をとり、複数の武技を発動する。

 

〈疾風走破〉〈超回避〉

〈能力向上〉〈能力超向上〉

 

オルトロスとクレマンティーヌが同時に床を蹴り、加速する。

オルトロスは複数の火球を吐き、クレマンティーヌは火球の間を縫うように回避し、オルトロスの下に滑り込んで思い切り蹴り上げる、浮いたオルトロスの胸にスティレットを突き立て、込められた魔法を発動した。

 

龍雷(ドラゴン・ライトニング)

 

龍雷がオルトロスの体内を駆け回り、肉を焼き破壊していく。

辺りには肉の焼ける匂いが漂い、オルトロスが炭化してボロボロと崩壊していく。

 

 

「どお? 難度120と戦った感想は」

 

「あ、うん。強くなったってのはわかるんだけど。なんかこう、他人事みたいな?」

 

まだ強くなった実感が薄いようだ。

 

「まぁ少しずつ理解すれば良いよ。

僕はこれからエ・ランテルの店を王都に移転する準備とかいろいろしてくるから、休み終わったらちゃんとレベル上げ再開してね」

 

そう言うと、アルフは上位転移(グレーター・テレポーテーション)を使って転移していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

城塞都市エ・ランテル アルフの店 寝室

 

暗転した視界が戻ると、そこにはぶくぶく茶釜がおり、荷物をまとめている。

 

「茶釜さん、荷物はかたつきましたか?」

 

「一応居住スペースは終わってるけど。アルフさん、私ばかりにやらせないでよ」

 

ぶくぶく茶釜は頬らしき所を膨らませ、怒ったような仕草をする。

 

「すみません、クレマンティーヌのレベル上げがありまして」

 

「それって、アインズさんの実験の手伝い?」

 

「いいえ。眷属にするとき、強くなる方法を教えるって言っちゃいましたから」

 

「あぁ、確かにそんなこと言ってたね」

 

「で、まだ途中ですがクレマンティーヌのレベルが10上がりました」

 

「レベル上げが有効って情報はアインズさんの役に立ちそうですね」

 

 

「では、僕は店の方のかたつけをしてきます」

 

アルフは店に行こうと寝室のドアに手をかけるが、ぶくぶく茶釜に呼び止められた。

 

「少し前に店の様子を見たんだけど、店の外が人で溢れて凄いことになってる。原因は事件の後、突然休んだことかな?」

 

「・・・・・・」

 

ぶくぶく茶釜が言った状況、冒険者が道を塞ぐほど溢れているのを想像し、言葉が出てこなくなる

 

「人気者は大変だね」

 

「・・・・・・出ていって説明しないとダメかなぁ」

 

「あーちゃんのファン達なんだから、大切にしないとダメだよ」

 

ぶくぶく茶釜がいたずらっ子のように言う。

アルフはため息をつきながら変化し、店に出ることにした。

 

 

 

 

 

 

店に出ると、ドアの外は人で溢れ、アルフを見た冒険者達が歓声を上げる・・・・・・。

 

(何あれ、すごく怖いんだけど・・・・・・)

 

思わず後退り、顔がひきつってしまう。

 

アルフは意を決し、店のドアまで進み鍵を開けたとたん、人が一気に雪崩れ込み、カウンターまで押しやられてしまった。

 

店に入ってきた冒険者達は、「嬢ちゃん大丈夫だったか!?」「アルフィリアさんが無事で良かった!」「俺たちアルフィリアちゃんが心配で心配で!」と、アルフを心配する言葉が次々出てくる。

 

「し、心配させてごめんなさい。それと、皆さんに言わないといけないことが・・・・・・」

 

アルフはどうして休んでいたかの理由と、事件が立て続けに起き、不安で一時王都に店を移す。と言う話をした。

 

「と言う訳なので、今日は移転前セールで能力付与を一つ銀貨二枚で承ります!」

 

アルフのその言葉を聞き、冒険者達は歓声を上げ、店の中は戦場と化した。

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