オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第45話

王都リ・エスティーゼ

 

アルフは馬車をゆっくり走らせながら、待ち合わせをしている人物を探していた。

 

「地図だとだいたいこの辺りのはずなんだけど・・・・・・」

 

馬車を広場の端に停めて辺りを見回し、探していた人物、セバス・チャンを見つけた。

セバスもこちらを確認し、一礼して歩き始めた。

 

 

颯爽と歩くセバスの姿に、道行く女性達の大半が振り返り、熱い視線を送る。

そしてセバスの行く先を目にした男性達は、アルフを見て惚け、息を飲む。

リ・エスティーゼ王国の第三王女、黄金とも呼ばれる彼女と同等、もしくはそれ以上の人物がそこにいればそうなるだろう。

 

セバスは最近噂になっている、絶世の美女に仕える有能な執事であると。そして主人は金の髪をしており、性格は悪いらしい。だが、セバスの向かっている方向には、艶の有る美しい黒髪をした美少女がいる。少なくとも主人ではないはずだ。

 

通行人達がそんなことを考えている間に、二人は馬車に乗って行ってしまった。

 

 

 

 

馬車の御者台にはアルフとセバスが座り、手綱はセバスが持っている。馬車がゆっくり進むなか、二人に羨望と嫉妬の混じった視線がいくつも向けられる。

 

「セバス、久しぶり。調査の方はどんな感じ?」

 

「お久しゅうございます。調査の方は魔法と強者、どちらも順調でございます」

 

「後で報告書全部見せてもらっても良いかな? あと活動資金の補充もしておくよ」

 

「ありがとうございます、報告書の方はまだ最新のモノの部類分けが済んでいないのもございますので、少々お時間が必要になります。

話は変わりますが、荷台にぶくぶく茶釜様といる女性は誰なのでしょうか?」

 

「ん、拠点に着いたら教えるよ。敵じゃないから安心して」

 

そうして馬車は、セバスが拠点に使っている屋敷に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

王都リ・エスティーゼ 某所 会議室

 

そこには、貴族派閥と呼ばれる貴族達が集まっていた。

 

「全く、王は何を考えているのだ。たった一人の為に昼餐会を開くなど」

 

「そうですな。いくら民を救ってくれたとはいえ旅の者、どこの馬の骨とも知れぬ者を王城に招くなど正気とは思えん」

 

その言葉に、貴族達が同意を示す。

 

何故こうして集まって愚痴っているかと言うと。先程王城で行われた報告が原因だ。

それは、民と戦士長達を救ったアインズと共にいたアルフィリアと言うと女性が昼頃、この王都に入った。と言うものだ。

それを聞いた王、ランポッサ三世は民と戦士長達を救った礼として昼餐会を開くなどと言ったのだ。

 

そして派閥内の貴族の館に有る会議室を借り、話し合っている。

 

「聞いた噂によるとかなりの美女と言う話だ」

 

「だが、しょせんいなかの村娘であろう。昼餐会で粗相をするのではないかね?それに、ちゃんとした服を用意できるのか?見窄らしい農民の姿で来られてもなぁ」

 

「もし、噂通りなら妾にしてやっても良いかもな」

 

その言葉を聞き、複数の下卑た笑いが会議室に響いた。

 

 

 

 

 

 

アルフはセバスが拠点に使っている屋敷におり、今は報告書に目を通し始めて三時間ほどたっている。

 

「アルフィリア様、お茶が入りました。少し休まれてはいかがでしょうか?」

 

セバスが心配そうに言い、アルフの前にあるテーブルにお茶の入った湯呑みを置く。

 

「ありがとう、少し休むよ」

 

アルフは手に持った報告書の束をテーブルに置き、湯呑みを手に取り、お茶を啜る。

 

拠点に着いてから、クレマンティーヌを二人に紹介し、クレマンティーヌとソリュシャンは部屋の隅で拷問談義に花を咲かせている。

話の内容はアレだが、仲が良いのは良いことだ。

 

お茶を啜りながらソリュシャンに視線を向ける。

ソリュシャンはぶくぶく茶釜を抱き抱えており、ぶくぶく茶釜はその豊満な胸を頭に乗せ、満足そうにしている。正直言って羨ましい。

 

次にセバスへと視線を移す、彼の肩にはゲオルギウスがとまっており、寝ている。

この屋敷に入ってからずっとこの状態だ。

 

「ゲオルギウス重くない?」

 

「そんことはございませんよ」

 

セバスがそう言いながら、ゲオルギウスの頭を撫でる。

どうやらゲオルギウスはセバスが気に入ったようだ、同じ龍として何か通じるモノでもあるのだろうか?

 

「それなら良いけど。そう言えばさっきお願いした件はどうなってる?」

 

「はい。物件の方は準備の方はすんでおります、立地的に冒険者が多く通る場所を選んでおります」

 

「ありがとう、こんなことまで頼んでごめんね」

 

「いいえ。至高の御方の役に立つ事こそ我々の喜びですので、お気遣いなく」

 

セバスはそう言いながら、1枚の紙をテーブルの上に置く。紙には建物の位置と間取りが書かれている。

セバスに頼んでいたことは、王都で店を開くのにちょうど良い物件探しだ。

 

アルフは紙に目を通し、確認を終えた紙をセバスに渡し、アイテムボックスから無限の背負い袋を一つ取り出した。

 

「このまま契約進めていいよ。あと、これは活動資金、白金貨80枚入ってるから家の購入費はそこから出して」

 

「畏まりました、では失礼いたします」

 

セバスは袋を受取り、家を購入するため屋敷を出ていった。

 

アルフは先程見ていた報告書を一枚取り続きを読む。それは、アダマンタイト級冒険者、蒼の薔薇に関するモノだ。

エ・ランテルではろくな情報がなかったが、この報告書には事細かに記されている。

 

そしてアルフが気になったのは魔剣・キリネイラムと所属している忍者についてだ。

 

魔剣・キリネイラム。かつて十三英雄の一人が所持していたとされる武器。そして、忍者はLV60にならないとつけない職業だ。

この世界では30ほどが人間の天井だと思っていたが、違ったのだろうかと考え、もしかしたら前提条件を無視して職業を自由にとれるのだろうか?とも考える。

 

「うだうだ考えてても仕方ないか」

 

報告書と湯呑みを置いて伸びをし、固まっていた関節がパキパキと音を立てる。

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