オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第49話

ガゼフ達との手合わせを終えたアルフはその後、第3位階までの主要な魔法の特性や攻撃範囲を教えたり。自分のような近接戦闘ができる魔法詠唱者とは違う、純粋な魔法詠唱者のとる戦法の基礎等を教えていたのだが、気付いたときには日が沈み始めていた。

 

「すまない、つい熱が入ってしまった・・・・・・」

 

「いえ、こちらも復習できたので構いませんよ」

 

こんな時間になってしまったのはガゼフ達が原因だ、アルフが魔法の説明をし、ガゼフ達がその魔法の実演をしてくれないか、と言うので。アルフが覚えている第3位階までの魔法を片っ端からやるはめになってしまった。

 

「今日は本当に勉強になった。これは依頼の報酬だ、それとこれも返さなくてはな」

 

後ろにいた戦士が前に出て皮袋を差し出し、ガゼフは指輪を外した。

 

「ストロノーフさん、それは差し上げます」

 

アルフはそう言いながら袋を受け取り、一歩下がった。

 

「いや、しかしこんな高価なものを・・・・・・」

 

「休憩の時に戦士達から聞きましたよ。カルネ村で会ったときの装備は万全なものではなく、貴族からの横槍で五宝物を持っていけなかった、と。そこで、五宝物に匹敵する物を一つだけでも個人で所有していれば少しは安心でしょ?」

 

「それはそうだが」

 

「ではこう言うのはどうでしょうか。私はこの国民のために、貴族の妨害に負けないように、それを貴方に託します。

まぁ本音を言うと貴方の在り方は好感が持てます、たとえ殺されるとわかっていても民のためその身を挺する。そんな人が自分の利益しか考えない貴族の謀略で死ぬのは惜しい、と思いまして。こんな理由では不足ですか?」

 

「・・・・・・わかった、これはありがたく受け取っておこう」

 

ガゼフは指輪をポケットにしまったが、まだ納得しきってはいないようだ。

 

「では、私は依頼が終わったと組合への報告があるので。失礼します」

 

 

 

その後、アルフ達は冒険者組合で依頼達成の報告をし、帰路へとついたのだが。

 

「あ!」

 

「どうしたの?あーちゃん。発情期が来たの?」

 

「そんなモノは来ておりません。ただ、冒険者組合に店の宣伝頼むの忘れた・・・・・・」

 

「んー、もうそろそろ変化が解けるし、明日で良いんじゃない?」

 

ぶくぶく茶釜の言うとおり、あと少しで日が完全に沈み変化が解けてしまう。

 

「そうですね。一応明日は朝から店を開けて、昼休みに外食するついでに宣伝を頼みます」

 

 

 

そして、家に着き、リビングに行くとクレマンティーヌとペロロンチーノがいた。

 

「あーちゃん、茶釜ちゃんお帰り」

 

「ただいまぁ。で、あんたなんでここにいるの?」

 

ぶくぶく茶釜はクレマンティーヌに返事をし、弟に強く当たる。

 

「姉ちゃん酷い!久しぶりの弟だよ、もう少し優しくして」

 

「私に弟なんていない、可愛い妹ならいるけど」

 

そう言いながら、ぶくぶく茶釜はアルフに抱きついた。

 

「で、なんで私とアルフさんとクレマンティーヌの愛の巣にあんたがいるわけ?」

 

「さらっと凄いこと言うな。まぁ俺がここにいるのはクレマンティーヌの話し相手になるためだよ」

 

「だいたい三時頃だったかなぁ、あーちゃんと茶釜ちゃんがここにいないんだもん。ソリュシャンも昼頃から回らなくちゃいけないところがあるとかで出掛けちゃったし、それで暇そうなペロロンチーノ様を呼んだってわけ」

 

「暇そうって心外な。俺一応アインズさんと一緒に冒険者やってるんだけど」

 

そう言いながら、ペロロンチーノは首から下げているプレートを持ち上げる。プレートは白金(プラチナ)で、アルフの一つ上だ。

 

「あんたが冒険者ねぇ・・・・・・冒険者になった本当の理由は?」

 

「もちろん、冒険者組合で扱っている部外秘のモンスター情報でエロ系モンスターがいるかどうかを確かめること!」

 

ペロロンチーノが力説した直後、その脇腹にぶくぶく茶釜の拳が突き刺さった・・・・・・。

 

 

 

弟を沈めた後、ぶくぶく茶釜は寝る準備をするため寝室に行き、姉による一撃から復活したペロロンチーノはアインズのもとに戻った。

 

「そういえば、今日は何してたの?」

 

「ん、今日は王国戦士長から名指しの依頼が入って、王城で訓練の手伝いしたり、戦士長と手合わせしたりかな」

 

「なんで呼んでくれなかったの、私もガゼフ・ストロノーフと戦いたい!」

 

クレマンティーヌの質問に答えたのだが、彼女はテーブルに突っ伏し、駄々をこねるようなしぐさをしている。

 

「わかった、今度ストロノーフさんから依頼が入ったら呼んであげるから」

 

「本当に?」

 

「本当だから、機嫌なおして」

 

そう言いながらクレマンティーヌの頭を撫でた。

 

 

 

その後、ぶくぶく茶釜の呼ぶ声が聞こえ寝室に行ってみると、そこには三人で寝ても大丈夫なほど大きなベッドが鎮座していた。

 

エ・ランテルでは別々だったが、何故このベッドにしたか彼女に聞いてみると。

 

「私が二人と一緒に寝たいから。それにベッドは大きい方がいろいろ出来るから」

 

だそうだ・・・・・・。貞操の危機を感じるが、そこはぶくぶく茶釜を信じるしかないだろう。

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