翌日
アルフは目を覚ますと、全裸に剥かれ、両手足を縛られていた。
なんてことはなかったが、ぶくぶく茶釜は寝巻の下に潜り込み、アルフの胸に自分の体を挟んだり、揉んだりしている・・・・・・。
「茶釜さん、何してるんですか・・・・・・」
「姉と妹のスキンシップをしようかと」
「・・・・・・で、クレマンティーヌは何してるの?」
ぶくぶく茶釜は今日も通常運転だ。視線をクレマンティーヌに移すと、彼女は下着姿でアルフに身体を寄せ、上目づかいでこちらを見ている。
「男の人ってこうすると喜ぶんでしょ?」
「まぁ、正直嬉しいけど。誰にソレ聞いたの?」
何となく予想はできるが、一応聞いてみた。
「ペロロンチーノ様。他にもいろいろ聞いたけど、まずはこれかなと思って」
あのエロゲ脳はクレマンティーヌにナニ吹き込んでんだ・・・・・・。
「茶釜さん、クレマンティーヌ。とりあえず退いて、起きれない」
そう言いながら二人を引き剥がし、着替えと食事を済ませ、店を開けようとしたのだが、店の外には人だかりが出来ていた。
「なんかデジャヴるなぁ・・・・・・でも、宣伝してないのになんでこんなに?」
「考えても仕方ないよ、宣伝費が浮いたと思えば良いんじゃない?」
ぶくぶく茶釜の言葉を聞き、そう思うことにする。これから約三日間は客との戦争になるのは予想できる、改めて気を引き締め、店を開けた。
それから二日間、エ・ランテルより多くの客が来た、さすが王都と言うべきか・・・・・。
「いらっしゃいませ」
そして三日目の朝、ドアベルが鳴り一組の冒険者入ってきた。その人物を確認した冒険者達が静になり、道を開ける。入ってきた冒険者は四人組で、先頭を行く人物は白銀の鎧を身に纏い、刀身は見えないが長さが背丈ほどある大剣を帯刀している女性。
その右隣を歩くのは、スパイク付きの鎧を身に着け筋肉の塊という表現が合いそうな大男で巨大な戦鎚を携えている。
その後ろには、アサシン系の軽装をし、露出が多目の少女。
さらにその後ろ、大振りな宝石が付けられた仮面を被り、漆黒のローブに身を包んでおり、性別や容姿はわからない。
スキルで見たところ他の三人はレベル30前後、それはいいのだが仮面を付けた人物はレベルが50あり、種族・職業の部分が一部読めなくなっている、おそらく何かしらの阻害アイテムを装備しているのだろう。
その冒険者を観察しているうちに、いつの間にか店の中にいた客達がいなくなり、入り口から覗き込んでいる。
入ってきた四人組の冒険者は歩を進め、カウンターの前で立ち止まった。
「貴女が最近噂の美人店主、アルフィリア・ルナ・ラグナライトね?」
「美人と言うのはちょっとアレですが。それであなた達は?」
「私は冒険者チーム、蒼の薔薇のリーダー、ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラよ」
白銀の鎧の女性がそう名乗った。
「蒼の薔薇、ですか。確か女性のみで構成された五人組のチームという話ですが」
「一人は依頼がはいって今はいないわ」
「いえ、そうではなく。何故男性がいるのでしょうか?」
そう言いながらアルフの視線は大男に向く。
「俺は女だ‼」
その言葉に他の三人がクスクスと笑った。
「えーっと、それって大胸筋じゃないんですか?」
「喧嘩売ってんのか?」
「やめなさい。この人はガガーラン、正真正銘女性よ、信じられないと思うけど」
「おなかいたい」
忍者の少女が笑いをこらえながら腹をおさえてる。
「そこで笑ってるのがティア。もう一人ティナがいるのだけど、先程も言ったとおり他の依頼でいないの。この子とは双子の姉妹だから片方の顔を覚えてもらえればいいわ」
「よろしく。私、一目見たとき惚れました、お嫁さんになって」
ティアはいつの間にかアルフの両手を握っていた。
なんかシャルティアと同じような眼差しでこちらを見ている。
「ごめんなさい、この子ちょっと変わってて・・・・・・」
ラキュースはそう言いながらティアを引き剥がした。
「で最後にこの子が」
「イビルアイだ」
仮面のしたから男とも女ともつかない声が聞こえる、仮面に変声の効果でも付いているのだろうか?
「で、ここからが本題なんだけど。貴女私達のチームに、」
「お断りします」
「・・・・・・ずいぶん反応が早いわね、まだ最後まで言ってないのだけど」
「たぶんチームの一員になれ、ですよね。私はそれなりに忙しいですし、冒険者としての等級は金です。アダマンタイト級である貴女達の足手まといにはなりたくないので」
「それは心配してないわ。冒険者組合でみた貴女の資料の備考欄に、実力はアダマンタイト級の可能性あり、とあったの」
「・・・・・・私の情報、王都に届いてたんですね」
エ・ランテルの組合長が余計なことを書いてくれたようだ。
「ええ、なんでもピンク色のスライムと難度200を超える龍を従える異国の美人店主とも書いてあったわ」
その言葉の後、蒼の薔薇の四人の視線がカウンターの上で丸まって寝ているゲオルギウスに向けられ、ガガーランがゲオルギウスをつつき始めた。
「このちっこいのが難度200ねぇ。ほれほれ、反撃してみろ」
ガガーランにつつき回され、ゲオルギウスが目を覚ますが、気持ちよく寝ていたところを起こされて機嫌が悪いのか、口の端しから黒煙の混じった火が漏れ出ている。
「ガガーラン、気を付けなさい」
「あ?」
「その子、アダマンタイトの塊を噛み砕いたそうよ」
その忠告は遅く、次の瞬間にはゴリッと嫌な音がし、音源を見るとガガーランの指がかじられていた。